category:入試対策親子で読みたい
進学NEWS
2023.02.01

入試で希望の結果が出ませんでした。どう気持ちを切り替えたらいいですか?

こんにちは。キャリアコンサルタントの中村です。

共通テストや入試の一部が終了し、自分が思っていた結果が出せなかった・・・という方もいらっしゃると思います。

志望校に向けてがんばってこられた方のなかには「もうどうしていいか・・・」などと気落ちしてしまって、これからのことになかなか気持ちが向けられない方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回は希望の結果が出なかった場合、どのように気持ちと向き合っていけばいいか一緒に考えてみましょう。

■ネガティブな感情を感じていい

まずは今、自分としては残念な結果になってしまったことについて「早く気持ちを切り替えなきゃ!」「落ち込んじゃダメだ!」などと、ネガティブな気持ちを感じることをいけないことだと思って、無理にポジティブにしようとしているところはありませんか?

もちろん、それで切り替えられる方はいいのですが、人間そんなにシンプルにできていないことが多いですし、これまでがんばってきた分、たくさん「信じたくない」「悔しい」「悲しい」「辛い」などのネガティブな気持ちが湧いてきているのは自然なことなのではないでしょうか。

一般的に感情は、蓋をしないで見ないようにすると、かえってあとから増幅してしまうものです。そのため、今もしも、ネガティブな感情が湧いてきているとしたら、出し切ってしまうということも気持ちを切り替える前段階として大事なことだと思います。

ネガティブな感情を思い切って感じて、場合によっては泣いてもいいですし、出し切ってしまいましょう。長引いてしまいそうだったら1日、数日など期限を決めてもいいですね。

■今ある選択肢のなかでどれを選ぶのか

気持ちを出し切って落ち着いてきたら、徐々に状況を受け入れて、今ある選択肢の中でどれを選ぶのか、今何ができるのか考えてみましょう。

まだ落ち着いてがんばれば志望校に行けるかもしれない、第二、三など別の志望校にするか、浪人するか、など人によって様々な選択肢があると思います。
このとき、頭の中で考えているだけでは、ぐるぐると堂々巡りする場合が多いので、何かのノートに書くなど、見える状態にしてみてください。見える状態にすることで、さらに冷静に選択肢が見えるようになるのでおすすめです。

それぞれの選択肢に対して、以前志望校選択のコラムで挙げたように自分の気持ちや感覚、頭で考えた損得勘定、世間の声や周囲の期待が混ざっていると混乱してしまう場合が多いので、それぞれ分けて考えるとより整理されておすすめです。

例えば、今時点で第一志望はかなり難しそうになってしまって、第2志望にするか、浪人するか迷っている場合の例としては以下のような感じで書くことができます。

<自分の気持ち>
・第1志望はプログラムが魅力的だし、もう一年頑張りたい気持ちはある。
・第2志望でもやりたい内容はできるから迷うな。
<頭で考えた損得勘定>
・浪人して予備校に通うとお金がかかる、だけど第2志望の学費も高い。
・第一志望の方がステータスはあるから捨てがたい。
<世間の声や周囲の期待>
・友達は浪人をしないと言っていたから浪人したら一人になってしまうかも。
・親はどちらでもいいと言ってくれているけど本当はどっちなんだろう・・・。

などなど、一通り書き出してみたら、次に何をしたらいいのか見えてくると思います。この場合だと、以下のような感じでしょうか。
・やりたいことやステータスについて、第1志望に行った場合と、第2志望に行った場合、どのように違うのかもう一度確認する。そのうえで自分にとって大事な要素を決めて、最終的にどちらの選択肢にするか決める。
・浪人して予備校にいった場合と、第2志望の学費を比較して、親御さんに相談する。
・浪人するとしたら1年間耐える覚悟や工夫があるかどうか、自分に問う。

次にすることが見えたら一つ一つ実行していって、最後は自分の価値観の話になってくるので「えい!」と決めることも大事です。

■選んだものを"正解"にしていく

最後に、正解がない進路選択のなかでは、「選んだものを自分なりの"正解"にしていく」という姿勢も大切です。

12月のコラムでも触れましたが、よく社会人の方に共感されることが多いキャリア理論「計画的偶発性理論(クランボルツ教授)」によると、「キャリアは8割が偶然に左右されている」さらに「偶然に起こったことを柔軟に捉えて前向きに生かす姿勢が重要である」と言われています。

希望通りにいかないことはキャリアの中でもよく起こりますが、その偶然を活かすことで自分の想像を超える面白い経験ができたり、後から考えたときに自分なりにはよかったのではないかなと思えるものにできたりするというケースはいくらでもあります。

希望した通りにならなかったことは残念ですが、新たな道ではきっとまた別の可能性が開けているのではないでしょうか。

[中村 文香]
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プロフィール : 中村 文香(なかむら あやか)

U-Discovery代表。国家資格キャリアコンサルタント。高校生からミドル世代まで、キャリアの転換期における意思決定や、周囲と協力しキャリアを築いていくためのサポートを行なっている。高校の進路選択では、人の心に関わる分野に興味がありながらも、就職で潰しがきくと、工学部を選択。北海道大学総合科学院総合化学専攻修了後、電子機器メーカーにて研究開発に従事。三十歳を目前に、今後のキャリアで本気で取り組みたいことを考えた結果、学生時代から関心のあったキャリア支援の道への転向を決意。同企業の人事部を経て独立。理系出身の分析力と大幅なキャリアチェンジの経験を活かした視点や、楽しみながらキャリアに取り組めるワークが好評。

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