category:進路選択親子で読みたい
進学NEWS
2022.11.01
高校生のための進路相談室

やりたいことが決まっていなくて焦っています

こんにちは。キャリアコンサルタントの中村です。


進路を考えようとすると、「やりたいことから決めよう!」という考え方がちまたには多いですし、周囲のお友達にやりたいことがはっきりしている人がいると「自分がおかしいのかな...」と心配になったり、焦ったりしてしまいますよね。

でも実は、進路選択で最も多いといっても過言ではないお悩みは「やりたいことが決まっていない」ということなんです。なかなかやりたいことが決まっている方って少ないのではないかと思います。

今回はそんなやりたいことが決まっていないときにどのように進路を考えたらいいか、一緒に考えてみましょう。

焦らなくても大丈夫

まずお伝えしたいのが、さきほどもちらっと出てきましたが「やりたいことが決まっていない」という方はとっても多いということです。

これは実は高校生に限ったお話ではなく、大学生や社会人でも多くの方が悩んでいることです。


そのような中で、私は特に若い方は今の環境の中だと「やりたいことが決まっていない」のは仕方がないのではないかと思っています。

というのも、年齢や背景が異なる属性の方があらゆることをやっている社会の中で、皆さんは同世代の人が集まっていて一斉にある程度決まった内容の勉強をする「学校」という、ある意味特殊な環境で多くの時間を過ごしていて(中には課外活動をがんばっている方もいらっしゃると思いますが)、この社会の中に無数にある進路やその後の仕事、働き方、生き方についてサンプルがとても少ないからです。

中にはそのなかからやりたいことが決まる方もいますが、ほとんどの方は、進学してから、もっというと社会に出てから、仕事だけではなくて、趣味、友人関係、家族関係、地域活動など、多くのことを経験される中でやりたいことをその時々の状況にあわせて決めていくことが多いと実感しています。

未来の選択肢を広げるような選択をするのもアリ

では、やりたいことが決まっていないなかで進路選択をどのように決めていったらいいか?についてお話ししていきましょう。


まずはたくさんある進路の中でざっくりとでもいいので方向性はあった方がいいので、現時点でのご自身のおおまかな興味関心を整理したり、その興味関心に関する情報に触れてみたりすることをオススメします。

過去のコラムに詳しい方法が書いてあるので、方向性の整理が足りないかな?という方は一度見てみて、できるところから取り組んでみてください。

自分の興味関心の整理>将来の夢がないとダメですか?

情報の整理の仕方について>進路が決められなさそうで悩んでしまいます。どうやって決めていったらいいですか?


次に「ざっくりとした方向性はあるけれど、そこからどう考えていいかわからない」という方は、未来の選択肢を広げるような選択をしてみるのも一つの手だと思います。


例えば、わかりやすい例だと、
・専門学校に行ってしまうと方向転換がしにくい傾向にあるので、大学それも学部の転向が可能な総合大学に行く。
・大学でも医療系や教育系など資格や免許を目指すような学部に進むと、資格や免許取得に向けた勉強や実習に時間がとられて方向転換がしにくいのでそれ以外の学部にする。
といったことが挙げられます。

そうして選択肢を広げたうえで、選択は未来の自分に託すという考え方もアリなのではないかと私は思います。

その先で意識したいこと

実際に、私は大学生の進路相談にのっているときに先程のような「選択肢を広げる選択」を高校生のときにした学生さんに何人かお会いしたことがありますが、自分なりにやりたいことを見つけて社会人になっていきました。


そんな彼らが高校を卒業してから学生時代にしていたことは「部活、アルバイト、サークル、イベント、企業のインターンシップ、旅行、留学、地域の活動など、自分の興味のあることはどんどん試してみて、今まで会ったことのないような職業の人や幅広い年齢層の人と話し、今後のやりたいことを見出すための材料となる仕事、働き方、生き方についてのサンプルを自分の中に増やしていった」ということです。

逆に未来に選択肢を広げても決めるための材料が少ないと、また同じことで悩んでしまうことにもなりかねません。


今より活動範囲がぐんと広がる高校卒業後は、自分の興味関心に従って小さくてもいいので様々な経験をすることを意識してみてください。


そのために、まずは目の前の進路選択を焦らずに、自分なりに納得できる形で決めていただけたらと思います。

[中村 文香]
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プロフィール : 中村 文香(なかむら あやか)

U-Discovery代表。国家資格キャリアコンサルタント。高校生からミドル世代まで、キャリアの転換期における意思決定や、周囲と協力しキャリアを築いていくためのサポートを行なっている。高校の進路選択では、人の心に関わる分野に興味がありながらも、就職で潰しがきくと、工学部を選択。北海道大学総合科学院総合化学専攻修了後、電子機器メーカーにて研究開発に従事。三十歳を目前に、今後のキャリアで本気で取り組みたいことを考えた結果、学生時代から関心のあったキャリア支援の道への転向を決意。同企業の人事部を経て独立。理系出身の分析力と大幅なキャリアチェンジの経験を活かした視点や、楽しみながらキャリアに取り組めるワークが好評。

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