将来の夢がないとダメですか?
こんにちは。キャリアコンサルタントの中村です。
進路選択について高校生の皆さんのお話を聴いていると、
「将来の夢がないんです。」
「やりたいことが見つからなくて...」というお悩みをよく伺います。
この「将来の夢」や「やりたいこと」について考えることは、
前回のコラムでお伝えした進路選択の流れのなかでは、最初の「自分を知る」というステップにあたります。
>進路選択まず何からやったらいいですか? 大切なことを教えてください。
今回はそんな「自分を知る」ステップや、「将来の夢」や「やりたいこと」についてどのように考えていけばいいのかお伝えします。
進路選択の最初のステップ「自分を知る」
このステップでは、基本的には学問の分野や仕事に対して、
自分の興味のあること、向いていそうなこと、将来の夢、やりたいこと、
大切にしたいこと、現実面(かかる費用や学べる場所)などついて、理解していきます。
さらに、進学して学びたいことや、就きたい仕事についてはもちろん、自分はどこで誰とどのように暮らしたいのかという生活面や生き方についてまで広げて考えてみることもおすすめです。
仕事はまだしたことがない方が大半だと思いますが、生活は普段しているのでイメージがしやすいでしょうし、仕事と生活、生き方というのは切っても切れないものだからです。
進路選択における"夢"や"やりたいこと"の誤解
しかしここで出てきやすいのは先ほどのような、
「将来の夢がない」「やりたいことが見つからない」というお悩みです。
このように悩む方の多くは、"夢"や"やりたいこと"について誤解をしていることが多いです。
それは、「"夢"や"やりたいこと"というのは、壮大で、カッコよくて、立派なものでなくてはいけない」ということです。
確かに、そういった立派な夢ややりたいことを自然に掲げられる方もいるかもしれませんが、それは実はかなり珍しいケースです。
このステップで理解する自分の夢ややりたいことというのは、
「将来は地元で自然に囲まれて家族と幸せに暮らしたい」とか、
「都会で様々な人に会って刺激的な生活がしたい」とか、
「興味のある分野の勉強を仕事に活かしたいな」とか、
「好きな趣味を続けられる生活がしたい」とか、
まずはそういった、ささやかと思えることでOKなのです。
将来の夢ややりたいことを見つける方法
ではここで、「将来の夢」や「やりたいこと」というものを見つける方法についてお話ししたいと思います。
まずはじめに、自分の中を整理することをやっていきます。
幼稚園→小学校→中学校→今を返って、自分が何に興味を持っていたのか、どんなときに嬉しかったり楽しかったりしたのか(勉強、部活、習い事、遊び、趣味、旅行、学校や家庭の行事など)をノートなどにどんどん書いていきましょう。
そして、書いたものを眺めてみて、キーワードを見つけていきます。
「物をつくるのに夢中になった」
「〇〇の分野の勉強が好き」
「自分なりのセンスがいい物に囲まれていると幸せ」
「自然の中で過ごすのが幸せ」
「海外で外国の人と交流するのが楽しかった」
「人の面倒を見て相手が喜んでくれるのが嬉しい」
といった感じです。
何もないところから思い出すことが難しい方は、診断ツールを使うとキーワードが出てくるので、そこから当てはまるものを選ぶというのも良いと思います。
こちらのサイトにも手軽にキーワードを抽出できるツールがあります。
>親子で「『好き』につながる仕事を発見」ぽいぽいぽんっ
また、保護者の方やお友達に自分の興味や好きなことについて聞いてみるのも良いでしょう。
こちらのサイトにも他己診断をサポートする(他の人の力を借りて自己を診断する)ツールがあります。
>親子で分析をする「他己診断」たこしん!!
次に、こうして出てきた学問や仕事、生活のキーワードについて、インターネットで調べてみたり、実際にやっている人のインタビューやSNSを見てみたり、近くの大人に聞いてみたり、学校や企業のイベントに行ったりして、イメージを膨らませていきます。
そのなかで、比較的「もっと知りたい!」とか「興味が持てそう!」とか「やってみてもいいかな?」と思えるようなものがあれば、それが「将来の夢」や「やりたいこと」の方向性となります。
方向性が決まったら、実現するためにはどれくらいお金がかかるのか、どこに行ったらできるのかなど、具体的に現実面を調べたり保護者の方と相談したりしていくという流れです。
今見つからなくても大丈夫!
先ほどお伝えした方法を試してみても、出てきた「将来の夢」や「やりたいこと」がはっきりしていなかったり、いまいちしっくりこなかったりして「こんなんで大丈夫なのかな...」と不安になる方もいらっしゃるかもしれませんね。
ですがご安心ください。
これまで様々な方の仕事についてお話を伺ってきた私ですが、高校生の時点ではっきりと「将来の夢」や「やりたいこと」が決まっていた方は少数と言っても過言ではないと思います。
なぜなら、高校生の皆さんはまだ経験が少ないので、シンプルに情報が少なくて分からないということが多いからです。
さらに、変化の激しい現代、将来皆さんが就くお仕事は現在存在していない可能性も大いにあります。(私が就いているキャリアコンサルタントという仕事も私が高校生の頃は日本ではほとんど存在しませんでした。)
そのため、今は大まかな方向性が決まったらOK、実際に動きながら「将来の夢」や「やりたいこと」について具体的にしていこう、というスタンスで考えると少し楽な気持ちで進路選択を進められるかもしれませんね。
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- プロフィール : 中村 文香(なかむら あやか)
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U-Discovery代表。国家資格キャリアコンサルタント。高校生からミドル世代まで、キャリアの転換期における意思決定や、周囲と協力しキャリアを築いていくためのサポートを行なっている。高校の進路選択では、人の心に関わる分野に興味がありながらも、就職で潰しがきくと、工学部を選択。北海道大学総合科学院総合化学専攻修了後、電子機器メーカーにて研究開発に従事。三十歳を目前に、今後のキャリアで本気で取り組みたいことを考えた結果、学生時代から関心のあったキャリア支援の道への転向を決意。同企業の人事部を経て独立。理系出身の分析力と大幅なキャリアチェンジの経験を活かした視点や、楽しみながらキャリアに取り組めるワークが好評。
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- http://ayaka-nakamura.com/