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進学NEWS
2025.04.01

大学入学後でも間に合う!大学生&保護者が知っておきたい在学採用の奨学金

奨学金は「大学に進学する前に申し込むもの」と思っていませんか?実は、大学や専門学校に進学した後でも申し込める奨学金があります。「高校での奨学金募集で申し込む機会を逃してしまった」「家計が変化して進学後の学費の負担が厳しい」という方にとって、学費の負担を軽減するために知っておきたい制度です。
民間の奨学金制度にも在学中に申し込めるものはありますが、ここでは、国の奨学金制度である「日本学生支援機構(JASSO)」の在学採用の奨学金のしくみや申し込み方法、注意点について解説します。

在学採用の奨学金とは

「在学採用」とは、大学や専門学校に入学した後に申し込める奨学金のことです。日本学生支援機構(JASSO)の奨学金では、「貸与型」(利息負担のない第一種・利息の負担がある第二種)および「給付型」の奨学金が「在学採用」の対象となります。これらは大学や専門学校など、進学先の学校の奨学金窓口で申し込むことができ、原則として、毎年春と秋に募集が行われます。

日本学生支援機構の奨学金の申し込み方法には、「予約採用」「在学採用」「緊急・応急採用」の3種類があります。スムーズに手続きが進めやすいのは、高校3年生のときに在学中の高校で申し込む「予約採用」ですが、「入学前に申し込みするのを忘れた」「家計環境が変わり必要になった」という場合、「在学採用」を利用すれば同じ奨学金に申し込むことができます。「予約採用」で不採用になった場合も、再度「在学採用」で申し込みが可能です。
また、災害の被害を受けた場合や、父母等の病気など予測できない事由で家計が急変した際に申し込める「家計急変採用(給付型)」「緊急・応急採用(貸与型)」といった制度も準備されています。

参考:
進学後に申し込む(在学採用) | JASSO
被災・家計急変時の申込み手続き(家計急変採用、緊急・応急採用) | JASSO

在学採用の申し込みの流れと選考方法

大学や専門学校で申し込み手続きを行います。募集は春(一次採用)と秋(二次採用)の2回が一般的ですが、申込期限や詳細は在学する学校で確認しましょう。

【準備するもの】
・奨学金を希望する本人の口座
・父母のマイナンバーと本人の身元確認書類(マイナンバーカードなど)
参考:2025年度奨学金案内ダイジェスト

【申し込みの流れ】
1.申込書類の提出
「確認書兼個人信用情報の取り扱いに関する同意書」などの必要書類を在学校に提出します。

2.スカラネット入力
スカラネット入力下書き用紙をもとに、申請情報を転記します。
2025年度スカラネット入力下書き用紙(給付・貸与共通)【大学等(大学・短期大学・高等専門学校・専修学校(専門課程))用】


3.日本学生支援機構へ書類の提出
マイナンバー関係書類や身分証明書類などを簡易書留で郵送します。

【選考方法】
奨学金の種類ごとに学力基準と家計基準による選考が行われます。

・学力基準
奨学金の種類に応じて、定められた学力基準を満たす必要があります。
高等学校等における学業成績の評定平均、在学中の学校での成績が判明している場合はその成績などが対象となります。貸与奨学金の場合、成績基準を満たさなくても、生活保護受給世帯、生計維持者が経済的に厳しい世帯などは「基準を満たした」として扱われることがあります。

・家計基準
収入・所得の上限額が決められています。家計の審査は原則生計維持者のマイナンバーを利用して行われます。奨学金の種類、世帯人数などの家族構成によって異なりますので、シミュレーターを使って確認しましょう。生計維持者の収入が算定基準額を超える場合は利用できません。

・その他
留年中である期間や、過去に奨学金を借りて返還を延滞している場合、債務整理中の人などは、申し込みができません。

※奨学金の種類ごとに基準が異なるため、詳細は学生支援機構の公式サイトで確認してください。


進学資金シミュレーター | JASSO

参考資料:
貸与奨学金案内(2025年度在学者用)
2025年度在学者用貸与奨学金案内(大学・短期大学・専修学校専門課程)

給付奨学金案内(2025年度在学者用)
2025年度在学者用給付奨学金案内



申し込む際の注意点と活用のポイント

①誰もが利用できる制度ではない
奨学金を受けるには、在学採用にかかわらず審査があります。申し込んでも不採用になる可能性があります。奨学金の種類ごとの審査基準を確認し、自分に合う奨学金制度の利用を検討しましょう。

②貸与型の奨学金は借金である
「給付奨学金」の場合、返済義務はありませんが、「貸与奨学金」は返済義務があります。卒業後、15年から20年にわたって毎月返済することになります。今必要な金額だけでなく、無理なく返済できるかを考えて、利用するようにしましょう。
 
③いったん採用されても停止になる可能性がある
奨学生として採用されても、学業成績や学習状況など基準を満たさなければ、継続して利用することができません。毎年「適格認定」があり、結果によっては認定が取り消しになったり、支給が停止されたりすることがあります。

参考コラム: 奨学金の落とし穴 借りられない! 停止される!どんな時? | 進学費用 | 親子で考える17歳の進路

進学後のお金について親子で話し合おう

大学や専門学校に進学する場合、卒業までの学費の負担は大きくなります。進学前の資金準備は、保護者が主導で行うことが一般的ですが、入学後は学生自身がアルバイトをして授業料を支払うケースも増えています。在学採用の奨学金制度を活用すれば、こうした経済的な負担を軽減することができます。
今後の学費については、学生本人と保護者でしっかり話し合うことが大切です。親子で奨学金制度を正しく理解し、計画的に活用することで、より安心して充実した学生生活を送ることができるでしょう。

[合田 菜実子]
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プロフィール : 合田 菜実子(ごうだ なみこ)

ファイナンシャルプランナー(CFP® 1級FP技能士) 国家資格キャリアコンサルタント 和光大学特任准教授 スカラシップアドバイザー(日本学生支援機構) 日本FP協会パーソナルファイナンスインストラクター  基礎心理カウンセラー

子育て期間中にファイナンシャルプランナー資格を取得。現在は、お金とキャリア教育の専門家(マネキャリサポーター®)として、若者たちの豊かな未来のために「金融経済教育」に積極的に取り組んでいる。金融庁関連、日本FP協会主催セミナーの他、大学や小中高校におけるお金の授業、高校での教育資金準備講座など講演多数。著書は『教えて合田先生!18歳までに知っておきたいお金の授業』(C&R研究所) 『子育て主婦が知っておきたいお金の話(経法ビジネス出版)』『小学生でもわかる、お金にまつわるそもそも事典』(C&R研究所 共著)など。

JFLEC (金融経済教育推進機構)認定アドバイザー
アドバイザー紹介ページ

日本FP協会パーソナルファイナンスインストラクター
https://www.jafp.or.jp/personal_finance/high/inst_disp/

和光大学特任准教授
https://www.wako.ac.jp/faculty-postgraduate/economics-business/economics/teacher.html

ウーマンライフパートナー会員 Women Life Partner
https://wlp.or.jp/

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