大学生・専門学校生はもう大人、お金の管理は本人任せでOKだが大人のサポートはまだ必要
■基本管理は本人、ただし関連する知識は援助要
大学生・専門学校生が自由に使うお金としては、保護者から受け取る小遣いや、自分が稼ぐアルバイト代があります。アルバイト代は自分の頑張りが反映して、高校生までとはケタ違いの収入を得られることもあります。金額がいくらになったとしても、本人のお金である以上、小遣いもアルバイト代も基本的には子ども自身に管理させていいでしょう。
お金の使いみちとして、法を犯したり他人を傷つけるようなコトやモノには使わないこと、安易な投資話などには乗らないこと、クレジットカードなどの使い方に注意することなどはしっかりと伝えておきます。
伝えた上で、失敗や困ったことがあったときに相談しやすいように、お金の話が気軽にできる家族の雰囲気を作っておくことも大切です。困りごとが小さいうちに相談できれば家族内で解決できる可能性は高く、先送りすればするほど問題が大きくなって手に負えなくなることがあるからです。
例えばクレジットカードの支払いで困ったとき、今月の支払いができそうもないと早めに相談してくれれば保護者が立て替えておき、小遣いから分割で後から返済させれば済みます。しかし、支払いできなかったという事実を数か月間も隠されていると子どもはカード会社の信用を無くしクレジットカードを使えなくなります。失った信用を取り返すには長い時間がかかります。
これは、単純に資金援助をして助けて終わりということではなく、その失敗を機に今後のお金との付き合い方を子どもに考えてもらう材料にするのです。クレカの使用自体をやめるとか、上限額を下げる、そもそも収支のバランスが崩れたのだから買い物の仕方や必要なモノと欲しいモノの区別を考えるなどですね。
また、学生といえどもアルバイト代が増えると、時には税金が発生し、場合によっては保護者の扶養から外れてしまい、結果的に家族の収入が減ってしまうというようなことも起きかねません。
子ども本人名義のお金の管理だけでなく、家族のお金についても理解させることが必要になります。
■アルバイト無しでの修学は困難な学生も
大学生・専門学校生がアルバイトする理由には、いわゆる小遣いを稼ぐためというものが多いようです。けれど、一方では、アルバイト代を授業料や食費に充てるというケースもあります。
家庭からの経済援助を期待できない場合、奨学金をもらったり借りたりする方法がありますが、その奨学金を受給できなかったのか、学費分で上限を使い切ってしまって食費分は自ら稼がなくてはならないのか理由は定かではないものの、アルバイト代が生活費そのものとなっている学生が存在します。もし、わが家が該当するのであれば、保護者はせめて必要な知識を伝えたり、困っている場合は解決策を一緒に考えるようにしましょう。
高校で金融の授業は始まっていますが、どこまで日常生活の中のお金の困りごとを学べているのかはわかりません。やはり、身近な大人、社会人の先輩として伝えられることはあると思われます。
地道に働いて稼ぐことが辛くなって、手っ取り早く闇バイトに手を出したりしないよう、保護者には子どもが困っていないかアンテナを張っていることが求められます。
■子どもがライフプランについて考える機会を持とう
お金は生活をしていくうえで必要な道具です。その道具を上手に使いこなすための最後の練習期間が大学・専門学校時代と言えるのかもしれません。
収入の範囲で支出を行うのが原則であること、生活するには最低限度必要とする金額があること、支出をまかなうだけの収入を得るにはどうすればいいのかなど、1か月や1年単位での収支を考えて、学生時代のやりくりを実際にさせてみるのもいいでしょう。
そして、卒業後の働き方ともリンクするので、10年単位や独身時代、結婚して家族と一緒の時代、子育てする時代などのライフステージごとの生活とお金のかかわりについても子どもが想像し、考える機会を持つようにしてください。
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- プロフィール : 菅原 直子(すがわら なおこ)
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ファイナンシャル・プランナー(AFP)、教育資金コンサルタント
会計事務所向けオフコン販売、外資系生命保険会社勤務・同代理店経営を経て、1997年よりファイナンシャル・プランナー。公私立高校や自治体などで保護者・生徒・教員のための進学資金セミナーおよびライフプラン講座・相談会は関東を中心に10年以上にわたって300回超。新聞や雑誌への取材協力や執筆、働けない子どもに関する家計の相談も行う。地元湘南地域密着のFP活動も展開中。3男子の母。
■著書
共著『子どもにかけるお金の本』(主婦の友社)
『子どもの教育費これだけかかります』(日労研)
■所属団体
日本ファイナンシャル・プランナーズ協会
子どもにかけるお金を考える会
働けない子どものお金を考える会