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進学NEWS
2021.12.01

子どもの教育費~進路ごとに知っておくべき注意点

国公立大学は安い?

文部科学省が「私立大学等の令和元年度入学者に係る学生納付金等調査結果」のなかで公開している資料、「国公立大学の授業料等の推移状況」から令和2年の国公立大学の学費等を見てみると、平成になってからも20万円以上値上げしているものの、私立大学に比べればまだ安いといえるでしょう。平均で、国立大学の授業料は535,800円で入学金は282,000円、公立大学の授業料は536,382円で入学金は392,111円です。

一方、私立大学に進学した場合の授業料と入学金が、どんなに安くても100万円近くかかることを考えれば、「うちはお金がないから公立しか行けないよ。」と言いたくなる保護者の気持ちもわかります。

国公立大学のいいところは、どの学部でも授業料が変わらないこと、そしてどれほど実習や実験がある学部であろうと、実技や実習代といった追加の費用が発生しないということです。ただ、自宅から通えない距離の国公立大学に進学したら、前回のコラム(「子どもが自宅外からの通学を希望したらどうする? 新生活にかかる費用とポイント」)で紹介したように、生活にかかる諸々の費用が発生します。家から通えない国公立大学よりも家から通える私立大学の方が、総額では安くなる可能性があります。

私立大学の費用は授業料だけではない

同じ調査結果の資料のひとつ、「令和元年度 私立大学等入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果」を見てみると、進路ごとにかなり細かい違いがあることがわかります。私立大学の場合、学部ごとに授業料も異なりますし、施設整備費や実験実習費用などもかかります。

施設整備費については、医歯系の平均額862,493円という多額さにはびっくりしますが、文系150,807円、理系177,241円と、文系理系で大きな違いはないようです。その他、実験実習代がかかる学部もあります。農学獣医系では実験実習代として131,574円かかりますし、保健科や家政科でも平均78,658円の実験実習費用がかかっているようです。

私立大学の受験を考えるときには、授業料以外の細かい費用についても確認しておき、総額としていくらくらいになるのか、きっちりと把握したいものです。理系といっても実験を繰り返すような学科もあれば、数学科のように実習が必要ではない学科もありますので、大学案内のパンフレットの学費のページは子ども任せにしないで親も読んでおくべきでしょう。

令和元年度 私立大学等入学者に係る初年度学生納付金
平均額 私立大学学部

(出典:令和元年度 私立大学等入学者に係る初年度学生納付金 平均額(定員1人当たり)の調査結果について

受験計画を立てる時に考えたいこと

大学全入時代といいながら、すべての子どもの希望が叶うわけではありません。受験スケジュールを立てる時は、ここなら必ず合格できるという滑り止め校を準備すると思いますが、万一の場合も対処できるよう、もし進学した場合はいくらかかるのか、学校ごとの費用を把握したうえで出願するようにしてください。

また、大学進学時には漠然としか考えていない場合も多いかもしれませんが、大学院まで進学するのかどうかは子どもと話し合っておきたいものです。先ほどの調査結果でも、大学院に進学した場合の初年度納付金は、平均で授業料766,889円、入学金206,203円、施設管理費75,353円の合計1,048,445円です。

学部によっては半分以上の学生が大学院に進学するところもあります。親が「これ以上教育費は支払えないので奨学金を借りればいい」といっても、万一貸与型の奨学金しか借りられなければ、社会人1年目から借金返済することになってしまうのです。

令和元年度 私立大学大学院入学者に係る初年度学生納付金
平均額 博士前期課程(修士課程を含む)

(出典:令和元年度 私立大学大学院入学者に係る初年度学生納付金 平均額(定員1人当たり)の調査結果について


受験生にとっては「入れるならどこでも」と思う時期もあるでしょう。ただ、教育費を支払う親にとっては、追加の教育費がかさむにつれ、老後資金の準備が遠のくこととなり、負の連鎖にもなりかねません。4年間の費用、さらに大学院まで行くとどうか、親子で総額を把握して、入学後も安心のお金の計画を立てていきましょう。

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[當舎 緑]
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プロフィール : 當舎 緑(とうしゃ みどり)

社会保険労務士。行政書士。CFP®

阪神淡路大震災の経験から、法律やお金の大切さを実感し、開業後は、顧問先の会社の労働保険関係や社会保険関係の手続き、相談にのる傍ら、一般消費者向けのセミナーや執筆活動も精力的に行っている。得意テーマは、教育資金の準備方法、社会保険の仕組み、エンディングノートの作り方、これから始めるやさしい終活、成年後見の活用方法、銀行を介さない家族信託の仕組みなど。著書は、『3級FP過去問題集』(金融ブックス)『子どもにかけるお金の本』(主婦の友社)など。

子どもにかけるお金を考える会メンバー

http://childmoney.grupo.jp/

一般社団法人かながわFP生活相談センター理事

http://kanagawafpsoudan.jimdo.com/