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進学NEWS
2021.10.01

アルバイトをはじめる前に知っておきたい社会保険と扶養の知識

高校や大学に入学するとアルバイトを始める学生さんもいるのではないでしょうか。その際、アルバイト収入が学生本人だけでなく、親の収入や税金の額とも関連があることをについて知っておくのは、大事なことだと思います。今回は社会保険についてと、アルバイトと扶養の知っておきたい関係についてお伝えします。

社会保険って、なに?

病気やケガ、老後の資金、失業など、生活していくうえで身の回りに起こりうるさまざまなリスクに対して備える、公的な社会保障の制度が社会保険です。

社会保険には医療保険、年金保険、介護保険、雇用保険、労災保険の5つの種類があります。なかでも学生がアルバイトするときに知っておきたいのは国民健康保険や会社の健康保険が含まれる「医療保険」、失業したときや就職のための教育訓練が受けられる「雇用保険」、仕事中や通勤途中にケガなどを負った時のための「労災保険」の3つです。

医療保険
アルバイトでも、1週間の働く時間及び1か月の働く日数が正社員の3/4以上であれば、会社側は健康保険や厚生年金に加入させなければなりません。
学生アルバイトの場合、学業の空いている時間で仕事をすることになるのでそこまでみっちり働くことはないかもしれませんが、大学生の場合は年収が130万円を超えると親の健康保険の扶養から外れてしまいますので、上記の要件を満たした場合、健康保険や厚生年金の加入対象となることを知っておきましょう。

雇用保険
雇用保険の加入要件は「週の労働時間が20時間以上であること」と「31日以上の雇用見込みがあること」の2つです。
原則として昼間、学校に通う学生には加入義務はありませんが、つぎの場合は加入義務があります。
・雇用保険の適用事業所に雇用されて卒業後もその事業所で働くことになっている人
・休学中の人
・定時制の学生
・上記に準じて職業安定局長が定める場合

労災保険
労災保険は正社員、アルバイト、パートなど雇用形態に関係なく働く人全員が対象です。どんな雇用であっても、仕事でケガなどをしてしまうリスクはあるのですべての人が対象となっています。

働きすぎに注意!?

医療保険のところで、年収130万円を超えると親の健康保険の扶養から外れてしまうとお伝えしました。このように学生がアルバイトなどで収入を得る場合、親にも影響が出ることがあると知っておくことは重要です。健康保険だけでなく、親が支払う税金の額も変わってくることがあります。
子どもがいる家庭の負担を軽減するため、扶養している子がいる場合は申告すれば税金の負担が軽くなる扶養控除という制度があります。
しかし、高校生のアルバイトであれば103万円、大学生は130万円を超えると、親の扶養から外れるので扶養控除がなくなり、親が支払う税金額も上がってしまいます。

また、学生本人も、アルバイトをして1年間で103万円を超える収入を得ると、所得税や住民税といった税金がかかってきます。大学生の場合は、「勤労学生控除」が最大27万円使えるので、103万円にプラスして年間130万円までであれば実質所得税がかからないことになります。

このような制度のことや、どこまで働いて大丈夫かという金額を把握したうえでアルバイトをすれば、計画的にシフトを入れることができます。ほんの少しの差で税金がかからなくて済む、親の扶養から外れずに済むなど、多くのメリットがあるので、ぜひ覚えておいてほしいと思います。

筆者は、数年前に神奈川県立高校でファイナンシャル・プランナーとして3年生に社会保険の授業をしたことがあります。その時に衝撃を受けたのが「アルバイトでも給与明細で税金が記載されていたら、還付してもらえる場合があるので税務署に申告してね」と話したときに、「先生、税務署ってなに?」と言われたことでした。大人が当たり前に話している言葉が、学生にはまったくわからないことがあるんだ!と感じた瞬間です。
社会保険も学校で学ぶ機会はほとんどないと思いますし、聞きなれない言葉も多いと思いますが、少しでも興味を持っていただければ嬉しいです。

[矢澤 理惠]
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プロフィール : 矢澤 理惠(やざわ りえ)

株式会社オフィスヤザワ代表
CFP®
WAFP関東(女性FPの会)元理事


ファイナンシャル・プランナーを目指したきっかけは「知らないと損をする」ことを自分で実感したため。
祖父母の相続時に発生した「争続」、何の対策もしておらず2度も払った多額の相続税。
その時に「前もって知っている大切さ」に気づき、知っていると得をする、幸せになることが世の中にたくさんあるとお知らせするべく、個人相談、執筆を行うとともに、資産運用・ライフプランニング・相続セミナーを3本柱としてとして活動中。


■経歴
郵政省時代、東京都港区の特定郵便局に勤務。その後、横浜に転勤、半年後に民営化を控えた平成19年に退職し、独立系ファイナンシャル・プランナーに転身。FPのかたわら、自由が丘でローカーボCafé&Barの店長としてバーテンダーを務めた。
2018年7月車のパーツショップを、2019年10月には横浜市青葉区にてローカーボ(低糖質)のダイニングバーをオープン。
現在は3足のわらじを履いている。