category:進学費用親子で読みたい
進学NEWS
2019.11.01

高校生のわが子に親が教えておきたいお金の話

系統立てて学ぶ機会のない「お金の仕組み」

子どもは、いつのまにかお金を使えるようになっていて、大きな問題が生じなければそれでよし、というものではないでしょうか。

小中学校では、お金の役割や税金や社会保障などについて学びますが、子どもたちが自分ごととして理解を深め、税金などの計算や書類の読み方まで知る機会は、高校までの間にはおそらくありません。

でも、奨学金の利用やアルバイトなど、ある程度大きなお金に触れる大学生・専門学校生は、お金の知識がないと親も損をすることがあります。学校卒業後も役立つ知識ですから、高校生のうちに生活まわりのお金について、子どもに伝えておきましょう。

子どもは「時給×働いた時間=自分のお金」と思っている

働く大人は、労働の対価をすべて受け取れるものではなく、社会保険料や税金が差し引かれることを知っています。共働きの家庭が増えていますが、あえて片方が「扶養」の範囲で働く選択をした場合、所得税や社会保険料の支払いをしなくてすみます。

高校生のこづかい稼ぎ程度のアルバイトでは、親の「扶養」から外れることはまずありませんが、大学生ともなると生活費や学費の一部を用意するためにたくさん働くことがあります。

一定額以上の収入を得ると所得税が発生し、社会保険料を納めなければならないこともあります。すると、「時給×働いた時間」で計算したお金から差し引かれるモノが生じ、結果的に受取額が少なくなります。この仕組みを知らずにアルバイト先を「ブラック」と決めつけて抗議したという笑えない話もありますから、子どものアルバイトの給与明細などを一緒に見て説明をしてあげたいものです。

お得制度を使えるから生活が成り立つことも

子どもが親の扶養から外れると、親の収入から控除される金額が減って結果的に税金が増えます。つまり、親の使えるお金が減るということです。勤務先に子どもの扶養手当制度がある場合は打ち切られて、さらに手取り額が減ることもあります。

扶養外になって親の手取り額が減っても、それ以上に多く稼がせるのか、そうすることで学業に支障はないのか、絶対に扶養の範囲にとどめるのか等、親子で認識を合わせることが必要になります。子どもが完全に独立するまでは、親は、親と子の両方の収入と支出を見極めなくてはなりません。子どもにも、稼いでいいのはいくらまでなのかを伝えましょう。

奨学金が住宅ローンの落とし穴に

進学にあたって奨学金利用を検討するご家庭もあるかと思いますが、借りるタイプの奨学金は「返還(返済)」の義務があるので、社会人になった子どもの手取り額の使い道の一部は返済分として決まってしまいます。支出の優先順位としては高く、その分、貯蓄はしづらくなります。

住宅を購入する際、多くの人がローンを必要とします。3,000万円の借り入れ能力がある人であっても、奨学金の借入額が250万円残っていれば、借りられる金額は2,750万円になってしまいます。最長20年の奨学金を返済してから住宅ローンを組むのか、貯蓄で繰り上げ返済するのか、金利の高い金融機関で上乗せのローンを組むのかなど選択肢はいくつかありますが、借金を増やす方向は避けることが重要です。

親は、自身の住宅ローンの返済表などを見せながら、長期にわたる返済の大変さなどを伝えてあげてください。返済が無ければ、子どもに習い事を一つ増やすことができたかもしれませんし、奨学金の借入額を減らすことができたかもしれないのです。

子どもに親のお金のことを伝えるのは、親のプライドが邪魔をしそうになることもありますが、親の具体的な事例から子どもが学べるいい機会にしましょう。

[菅原 直子]
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プロフィール : 菅原 直子(すがわら なおこ)

ファイナンシャル・プランナー(AFP)、教育資金コンサルタント

会計事務所向けオフコン販売、外資系生命保険会社勤務・同代理店経営を経て、1997年よりファイナンシャル・プランナー。公私立高校や自治体などで保護者・生徒・教員のための進学資金セミナーおよびライフプラン講座・相談会は関東を中心に10年以上にわたって300回超。新聞や雑誌への取材協力や執筆、働けない子どもに関する家計の相談も行う。地元湘南地域密着のFP活動も展開中。3男子の母。

■著書

共著『子どもにかけるお金の本』(主婦の友社)

『子どもの教育費これだけかかります』(日労研)


■所属団体

日本ファイナンシャル・プランナーズ協会

子どもにかけるお金を考える会

働けない子どものお金を考える会