category:進路選択親子で読みたい
進学NEWS
2021.10.01
高校生の悩み相談室

いろいろやってみたけど、ピンとくるものがない

好きなことを見つけたり、進路選びの方向性を決めたりするには、興味があることに関して、色々と体験してみると、徐々に分かってくるものがありますよね。
体験することの大切さについては、今までのコラムでも触れてきました。(気になる方はよかったらこちらを参考にしてみてください。>>「やりたいこと」がわからない

しかし、高校生に話を聞いていると、なかには「興味の赴くままに色々とやってみたけれど、いまいちピンと来るものがなくて...」と悩んでいる方もいらっしゃいます。

今回は、色々行動して体験したり、考えてみたりしたけれどいまいち分からないという場合に、どのように考えていったらいいかをお伝えしたいと思います。

行動するのが得意な人が見落としがちなこと

まず、色々と体験してみる行動力があるということは素晴らしいことです。
ぜひその点は自分の強みとして受け取っていただければと思います。

そのうえで、行動するのが得意な人が見落としがちなことがあります。
それは、「立ち止まって振り返る」ことです。

今色々な体験を経て、自分の中で、様々な気持ち(楽しそう!、嫌だな〜など)、感覚(わくわく、ざわざわなど)、考え(世の中の役に立ちそうだな、狭き門だな、など)が湧いてきて、自分の中に散らばっていると思います。

それらの体験の中から「これがやりたいかも!」と理解するには、体験したあとに、その出来事を振り返って、それぞれの事に対して自分がどのように感じているか、自分にとってどのような意味を持っているかを内省することが肝なのです。

やりたいことを見つけるために大切なループ

さらに、振り返りを行ったうえで、「これがやりたいかも!」と思ったことに対しては、また同じようなことを体験してみて、自分にとって「いいな!」と思う点、「違うかも」と思う点が何なのか、確認して軌道修正をしていく、というループが大切です。

体験する→振り返って良いところと違うところを確認して軌道修正→また体験する...
という感じです。

このループを繰り返していくことで、
「いいな!」と思う点の共通点からは自分のモチベーションが上がる要素が、
「違うな」と思う点の共通点からは逆に自分のモチベーションが下がるポイントや興味のない要素がそれぞれ分かってきます。

そのうえで、モチベーションが上がる要素が多く、モチベーションが下がるポイント要素がなるべく少なそうな進路を選んでいくといいでしょう。

[例]
人の心に興味があるから心理学部や臨床心理士について調べたり、関連するイベントに行ったりしてみたけど、いまいちピンとこない。

「いいな!」と思う点
・人の心のしくみについて知るのはやっぱり楽しい
・色々な人の話を聞くことは楽しそう!

「違うかも」と思う点
・臨床心理士に興味があったけど、元気がない人を平常に持っていくより、元気があってもっと頑張りたい!という人を応援する方が自分の性格的には向いているかも
・人の心理の深いところもいいけれど、もうちょっと社会の流れとか広いところも気になる
・心理学部では統計学が重要なのは知らなかった、大丈夫かな...

→もう少し、広い視点だったり、組織で働く人の心理だったりを学ぶことができそうな社会学とか、社会心理学的な方向も見てみようかな。

必ずしもピンとこなくても大丈夫

今までお伝えしたようなことをやってみても、いまいちピンとこないな〜ということも正直あるのではないかと思います。

というのも、私が様々な方のキャリアのお話を伺っていて思うことは、
やりたいことというのは既にある〇〇学という学問分野や〇〇という職業で完全にくくり切ることは意外と難しく、色々な学問や職業を横断したその人ならではの道がある、ということです。
ですので、必ずしもピンとくる何かがなくても大丈夫だと私はお伝えしたいと思っています。

ピンとくる何かが出てきた方はその道を突き進んでいただけたら素敵だなと思いますし、もしも、今ピンとくる何かがなかったとしても、今の時点で一番良さそうな進路を選んで、進んだ道の中で先ほどのループを繰り返して、皆さん独自の道を選んでいくということも素敵な進路選択なのではないでしょうか。

[中村 文香]
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プロフィール : 中村 文香(なかむら あやか)

U-Discovery代表。国家資格キャリアコンサルタント。高校生からミドル世代まで、キャリアの転換期における意思決定や、周囲と協力しキャリアを築いていくためのサポートを行なっている。高校の進路選択では、人の心に関わる分野に興味がありながらも、就職で潰しがきくと、工学部を選択。北海道大学総合科学院総合化学専攻修了後、電子機器メーカーにて研究開発に従事。三十歳を目前に、今後のキャリアで本気で取り組みたいことを考えた結果、学生時代から関心のあったキャリア支援の道への転向を決意。同企業の人事部を経て独立。理系出身の分析力と大幅なキャリアチェンジの経験を活かした視点や、楽しみながらキャリアに取り組めるワークが好評。

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