category:進路選択親子で読みたい
進学NEWS
2021.06.01
高校生の悩み相談室

「やりたいこと」がわからない

「やりたいことをやろう!」
以前と比べると、メディアやSNSで自分の好きなことを仕事にされている方の発信が増えており、進路選びの中でもそういったことを考えながら進路選びをしよう、という高校生が増えてきているように思います。

そんな中、進路相談で多くの方が悩まれているのが「"やりたいこと"がわからない」ということです。やりたいことを基準に進路を選ぼうとしているのに、それがわからないと、「自分はダメなんじゃないか...」と悩んでしまいますよね。

今回は、そんな"やりたいこと"について一緒に考えてみましょう。

やりたいことがわからないのはダメなこと?

やりたいことがわからないと、何を基準に進路を選んだらいいかわからず、確かにもやもやしますよね。しかし、やりたいことがわからないことは本当にダメなことなのでしょうか。

私は、みなさんと同じ10代の方からご経験豊富な60代の方まで様々な方のキャリアのお話を伺うなかで、そうではないなと思っています。
むしろ、やりたいことが10代のうちに見つかる方は、少数派なのではないかと思います。

人が何かを「やりたい」と感じるとき、その人は、それを知っているということが前提だと思うのです。(少なくとも名前くらいは知っていないと、認識ができないですよね)ということは、それなりに経験を積んでいる必要があるのです。

そして、私の経験則ですが、やりたいことの方向性が見えてくるのは、社会人になって色々なご経験を積まれた20代後半以降の場合が多いです。

つまり、まだ経験が少ない高校生のうちにやりたいことがわかっている方は、早いうちにやりたいことに運良く当たった方か、割と何でも好きになれる方で、わからないという方が大多数なのではないかと思います。

やりたいことを見つけるには?

やりたいことがわからなくてもダメではないのでは? そう思えたとしても、やっぱりやりたいことがわかっていた方が、進路は考えやすいですよね。

では、やりたいことはどのようにしたら見つかるのでしょうか。

まず、最も大切なことは、前述のように、様々な経験をすることです。
当たり前のように聞こえてしまうかもしれませんが、実際にそれを好きになれるかどうかは、やってみないとわからないものです。

世の中には一生かかってもやりきれないほど多種多様なことがありますので、もちろんやる前に調べて、大体の方向性はつけておいた方が始めやすいかと思いますが、ある程度調べたら一度体験してみることが大事です。

上記に加えて、やりたいことがわからないのは、「やりたいことセンサー」のようなものが鈍くなっている場合があります。

やりたいことというのは自分の気持ちの話ですのでそれを捉えることが大事だと思うのですが、自分の気持ちより、周囲の期待に応えようとがんばってこられた優等生タイプの方はこのセンサーが弱くなっていることがあります。

そういう場合は、ほんの些細なことでもいいので(自分の好きなお菓子を買ってみる、いつもと違う道を選んでみるなど)自分の気持ちが求めるものを日々選択していくトレーニングのようなものを平行してやっていくことをおすすめします。

軌道修正しながら進んでいこう!

最後に、やりたいことを考えるうえで大切な考え方をお伝えしたいと思います。
それは、「やりたいことは1発ではなかなか分からないし、状況によって変わっていく」ということです。

私もそうですが、やりたいことを仕事にして活躍されている方々は、社会に出てから何回か転職をされたり、早い方だと大学で転部をされたりと、軌道修正しながらやりたいことを仕事にされています。

やってみると、思っていた通りもしくはそれ以上に自分にとって良い点、逆に思っていたのと違って嫌な点が出てくるので、その良かったポイントをさらに伸ばしたり、嫌だった点を軽減する環境に移ったりとトライアンドエラーを繰り返すのです。

また、やりたいことは、そのときの社会情勢や人生の状況(趣味、結婚、出産、介護など)によっても変わってきます。

やりたいことがわからないという方は、今回の進路選びで、「一生変わらないものを決めなきゃ!」というよりは、「まずは今納得できることを選んでみよう!」というくらいの気持ちで第一歩を選ばれると良いでしょう。

[中村 文香]
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プロフィール : 中村 文香(なかむら あやか)

国家資格キャリアコンサルタント。高校生からミドル世代まで、キャリアの転換期における意思決定や、周囲と協力しキャリアを築いていくためのサポートを行なっている。
高校の進路選択では、人の心に関わる分野に興味がありながらも、就職で潰しがきくと、工学部を選択。北海道大学総合科学院総合化学専攻修了後、電子機器メーカーにて研究開発に従事。三十歳を目前に、今後のキャリアで本気で取り組みたいことを考えた結果、学生時代から関心のあったキャリア支援の道への転向を決意。同企業の人事部を経て独立。理系出身の分析力と大幅なキャリアチェンジの経験を活かした視点や、楽しみながらキャリアに取り組めるワークが好評。