続・「やりたいこと」がわからない
前回は、進路選びの際に、多くの方が悩む「やりたいことがわからない」ということに関して、「やりたいことがないのはダメなこと?」「やりたいことを見つけるには?」など基本な捉え方をお伝えしました。
>>前回のコラム「やりたいこと」がわからない
今回はさらに具体的に「どうしたらやりたいことが見つけられるのか?」についてお伝えしていこうと思います。
やりたいことを見つけるための方法として、まず大きく分けて、「自分で掘り下げる方法」と、「人に聞いてみる方法」があります。
自分で掘り下げる方法
こちらは、自分で自分について思い出しながら、好きなこと、得意なこと、興味のありそうなことを掘り下げていく方法です。色々な方法がありますが、一番スタンダードでわかりやすい方法の一つに「自分史」があります。
「自分史」は歴史の年表のように自分の中で印象に残っていること、特に嬉しかったこと、楽しかったことを紙などに書いていく方法です。
幼稚園、小学校、中学校、高校とそれぞれ区切って、学校の授業、クラブ活動、勉強、趣味、習い事、友達との遊びなどを思い出しながら書いていくとやりやすいかと思います。
(思い出しやすいところからでOKです)
このとき、その出来事とセットで、どのような部分が嬉しかったのか? 楽しかったのか? も一緒に書いてきましょう。
友達と協力し合ってできたから、自分が設定した目標を達成できたから、人の役に立てたから、自分の好きな分野のことが自由にできていたから、自分の納得できるものをつくれたから、などなど思いついたことを書いていきます。
[記入イメージ]
○中学校
・出来事
→3年生のとき合唱コンクールで自分たちのクラスが優勝した
・どのような部分が嬉しかったのか? 楽しかったのか?
→はじめはクラスがバラバラだったけれど、話し合いの場をつくってみんなの意見を聞いたり、役割分担をしたりしてアイディアをだしたりしているうちに、徐々に団結力が深まっていったところ。
そして、出来事とその出来事が嬉しかったり楽しかったりした理由がいくつか出てきたら(少なくとも3つ以上あるとやりやすいです)その共通点を探してみるのです。
そうすると、まだ荒削りではありますが、自分の好きや、興味の方向性が見えてきます。
例えば、上記の記入イメージのように、仲間と助け合ったり、協力しあったりするといったことがキーワードとして多く出てきた人は、「人を助ける」「コミュニケーション」などに関することに興味があるかもしれない、といった方向性がわかりますね。
人に聞いてみる方法
こちらは、保護者の方、お友達、先生、先輩など、あなたのことをよく知っている人に、何をしているときにあなたが楽しそうだった? 集中していた? ということを聞いてみるという方法です。
周囲の方は意外にも自分は知らない自分を見ていることもよくあるので、ヒントが出てくるかもしれません。
ただ、この場合、他の人の意見はその人の主観が入っているので、全てを鵜呑みにせず、参考にさせてもらう程度に考えておくと良いでしょう。
いきなり人に聞くのが難しかったり、少し客観的な結果が欲しかったりする場合には、インターネットなどにある進路に関する診断ツールを使ってみるのも良い手だと思います。
こちらのサイトにも、親子で「『好き』につながる仕事」を発見「ぽいぽいぽんっ!」という、ぽいぽいと興味のあるキーワードを選んで、そのキーワードにつながる仕事を提案してくれるツールがあるため使ってみるのも良いでしょう。
こういったツールは、手軽に使え、情報収集に使えそうなキーワードがたくさん出てくるため、何から取り組んでいいかわからないときのとっかかりに使うのもおすすめです。
調べたり体験したりしてさらにブラッシュアップしていこう!
ここまで取り組んでいただくと、自分の好き、興味に関するキーワードがいくつか出てきているかと思いますが、このままではまだちょっとふわっとしていますよね。
この先は、情報を集めたり、実際に体験をしてみたりして、よりブラッシュアップしていくことで、進路選びの道を絞っていきます。
一番取り組みやすいのは、出てきたキーワードに関する学問や、実際の仕事をインターネット検索することです。特に、その学部で勉強をしている方や、その仕事に就いている方のインタビュー記事などを読んでみるとよりイメージがつきやすいかと思います。
例えば、先程の例だと、
「人を助ける 仕事 インタビュー」「コミュニケーション 学部 インタビュー」
といったように、自分を掘り下げて出てきたキーワードと「仕事」「学部」「インタビュー」といったキーワードを掛け合わせたもので検索してみると探しやすいです。
さらに、可能であれば、実際にその学部で勉強をしている人、その仕事についている人に話を聞いたり、体験会のようなものがあれば、行ってみたりするとより精度の高い、生きた情報がえられるので、自分がその道に進んだ際のこともイメージしやすくなるでしょう。
このように情報収集をすることで「こういう学校があるんだ」「こういう仕事があるんだ」ということを知るのももちろん大切なのですが、
一番大事なことは、その情報を調べたり、体験したりしたことに対して、自分がどう感じたか掘り下げて道を絞ったり、軌道修正することです。
想像通り良かったならそのままその方向性で道を絞っていったらいいですし、想像と違ったり、どうしてもひっかかるところがあったりする場合は、その部分を改善できる別の学部や仕事を探してみるなどして軌道修正をしていきましょう。
また、こういった自分の好き、興味に関するキーワードは、人と比べるとより自分の特徴がわかりやすいです。
可能であれば、保護者の方やお友達などと一緒にやってみて、お互いの結果を比べてみるのもブラッシュアップにつながりますよ。
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- プロフィール : 中村 文香(なかむら あやか)
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U-Discovery代表。国家資格キャリアコンサルタント。高校生からミドル世代まで、キャリアの転換期における意思決定や、周囲と協力しキャリアを築いていくためのサポートを行なっている。高校の進路選択では、人の心に関わる分野に興味がありながらも、就職で潰しがきくと、工学部を選択。北海道大学総合科学院総合化学専攻修了後、電子機器メーカーにて研究開発に従事。三十歳を目前に、今後のキャリアで本気で取り組みたいことを考えた結果、学生時代から関心のあったキャリア支援の道への転向を決意。同企業の人事部を経て独立。理系出身の分析力と大幅なキャリアチェンジの経験を活かした視点や、楽しみながらキャリアに取り組めるワークが好評。
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