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進学NEWS
2025.11.04

奨学金ってどんな種類があるの?採用されるためにどう取り組んだらいい?

大学進学について考える際、奨学金は進学への道を支える大切な選択肢のひとつです。「奨学金を借りても大丈夫かな?」「返さなくてよいものもあるの?」「どうやったら採用されるの?」このような疑問を抱える人も多いでしょう。
奨学金には、実施主体による制度の違いや、「返済が必要か不要か?」など、制度形態の違いもあります。奨学金は学生本人が自分で申込み、利用するものです。ですので、まずは本人が制度を正しく理解することが重要です。
ここでは、自分に合う奨学金を選び、活用できるように、奨学金の種類と採用に向けての取り組み方について解説します。

奨学金の種類 ― 実施主体による分類と特徴

奨学金制度は、実施している機関や団体によってさまざまです。大きく4つに分けられます。

①日本学生支援機構(JASSO)の奨学金制度
国が実施主体となり最も利用者が多い制度です。全国的に対象範囲が広く、制度として整備されているため、進学を考える学生がまず知っておきたい制度です。大きく「貸与奨学金」と「給付奨学金」に分けられます。それぞれ、家計基準、学力基準を満たす学生が対象となります。

・貸与奨学金:卒業後に返済が必要な奨学金です。無利子の第一種奨学金、有利子の第二種奨学金、入学時特別増額貸与奨学金などがあります。

・給付奨学金:返済不要の奨学金です。高等教育の修学支援新制度と組み合わせて支援が行われるため、給付奨学金の奨学生として採用されると、併せて授業料減免制度の対象となります。貸与奨学金と比べて採用条件は厳しく、家計基準は住民税非課税世帯、および、それに準ずる世帯が対象となっています。

申込方法は「貸与奨学金」「給付奨学金」のいずれも、高校3年生(最終学年)の春に申し込む「予約採用」、大学等に入学した後に申し込む「在学採用」、家計が急変した際に随時審査が行われる「緊急・応急採用(貸与奨学金)」「家計急変採用(給付奨学金)」があります。高校3年生の春までに「学生支援機構の奨学金を利用したい」という意思がはっきりしている場合は、より確実性が高い「予約採用」での申込みが望ましいです。

参考
日本学生支援機構(JASSO) 奨学金制度の種類と概要

②地方公共団体(都道府県・市区町村など)が実施主体となる奨学金
多くの自治体(都道府県・市区町村など)でも、独自に奨学金制度を設けています。これらは「地元出身者」「地元で一定年数働くこと」などの条件が付されているものも多いです。自治体の奨学金制度は、貸与型・給付型・返済支援型(利子補助や返還免除制度を併設)などさまざまな形態があります。自治体の財政状況にもよるため、制度内容や支給額・対象者は地域ごとに差があります。お住まいの自治体や志望校の地域の制度を確認するようにしましょう。

③大学・専門学校が設ける独自奨学金・授業料免除制度
大学・専門学校等が学生支援の一環として独自に設けている制度です。貸与型の奨学金の他、給付型、授業料免除(減額)制度を設けている学校もあります。具体的には、経済的に困難と認められる場合、高校での成績優秀、部活等その他の実績、入試の成績優秀者などに対しての、給付奨学金、貸与奨学金や、授業料免除制度などがあります。
これらの奨学金制度や内容は、大学・専門学校・学部学科ごとに異なります。志望校の募集要項やホームページなどで確認し、特徴などを理解したうえで利用を検討しましょう。

④企業・財団など民間団体による奨学金
企業や公益財団、民間団体が実施主体となる奨学金制度です。代表的なものとして、キーエンス財団、似鳥国際奨学財団、あしなが育英会などの奨学金があります。これらは給付型(返済不要)であることが多く、応募時に書類審査・作文・面接など、人物面を重視する選考が行われるケースが多いです。民間の奨学金は給付型の場合が多く、支給対象が比較的限定されているため競争率も高い傾向があります。早めに情報を収集し、応募するための対策、準備をしておくことが大事です。

参考
キーエンス財団奨学金 キーエンス財団
似鳥国際奨学財団 公益財団法人 似鳥国際奨学財団
あしなが育英会 あしなが育英会とは|あしなが育英会


奨学生として採用されるための準備と対策

多くの奨学金は、申込者の家計経済面の他、学力やその他の実績など、人物面での審査を行います。

①家計経済面の基準
所得の上限が設けられているケースが多いです。希望する奨学金の収入要件に該当するかを確認するようにしましょう。日本学生支援機構の奨学金の場合「進学資金シミュレーター」を使って奨学金制度の対象となりそうかを大まかに調べることができます。

②学力、人物面に関する審査
大学によって基準は様々です。高校時代の評定平均が採用基準として用いられる奨学金や、面接、書類審査、筆記試験で審査を行う奨学金もあります。入試の成績が条件を満たした場合に採用される「特待生選抜」や「給費生入試」などを狙う場合は、志望校のレベルに合う学力を身につける努力が大切です。給費生入試の代表例として「神奈川大学の給費生試験」があります。
その他、部活など、スポーツ競技の実績や、ボランティア経験が審査の対象となる奨学金もあります。芸術系の学校の場合は、展覧会への出品や創作活動実績等、によって評価されるものもあります。

企業や財団などが実施する奨学金は、独自の審査基準を設けています。「キーエンス財団の給付型奨学金」の場合、所得制限は設けず「財団の選考委員会で、学業成績、経済的な状況、小論文等を基に総合的に選考を行う」とされています。

参考
日本学生支援機構の進学資金シミュレーター 資金シミュレーター | JASSO
神奈川大学の給費制試験 給費生試験/入試ガイド|神奈川大学 入試情報サイト

理想の将来の実現のために、奨学金を上手に活用しましょう

奨学金は、「進学の資金を得るための有効な手段」ではありますが、それだけが目的ではありません。
進学後の学業・サークル活動や学校行事等、学生生活を豊かで価値があるものにしたい、奨学金はそういった希望を後押ししてくれる大切な制度です。
実施主体や制度の仕組み、選考基準も多岐にわたるため、どの制度を選ぶかによって、進学先や学びのあり方に大きな影響を与えます。
給付型や免除型の奨学金の選考で問われやすい、成績・学力・小論文・活動実績は、短期間で形にできるものではありません。そのため、早い段階から対策する必要があります。

進学した先で「何を学びたいのか?」そして「学びを卒業後のキャリアにどう活かすのか?」理想の将来を実現するために、奨学金制度を正しく理解し、自分に合った方法で上手に活用しましょう。

[合田 菜実子]
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プロフィール : 合田 菜実子(ごうだ なみこ)

ファイナンシャルプランナー(CFP® 1級FP技能士) 国家資格キャリアコンサルタント 和光大学特任准教授 スカラシップアドバイザー(日本学生支援機構) 日本FP協会パーソナルファイナンスインストラクター  基礎心理カウンセラー

子育て期間中にファイナンシャルプランナー資格を取得。現在は、お金とキャリア教育の専門家(マネキャリサポーター®)として、若者たちの豊かな未来のために「金融経済教育」に積極的に取り組んでいる。金融庁関連、日本FP協会主催セミナーの他、大学や小中高校におけるお金の授業、高校での教育資金準備講座など講演多数。著書は『教えて合田先生!18歳までに知っておきたいお金の授業』(C&R研究所) 『子育て主婦が知っておきたいお金の話(経法ビジネス出版)』『小学生でもわかる、お金にまつわるそもそも事典』(C&R研究所 共著)など。

JFLEC (金融経済教育推進機構)認定アドバイザー
アドバイザー紹介ページ

日本FP協会パーソナルファイナンスインストラクター
https://www.jafp.or.jp/personal_finance/high/inst_disp/

和光大学特任准教授
https://www.wako.ac.jp/faculty-postgraduate/economics-business/economics/teacher.html

ウーマンライフパートナー会員 Women Life Partner
https://wlp.or.jp/

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