category:進学費用親子で読みたい
進学NEWS
2026.06.01

大学生の海外留学費用をどう準備する?奨学金の種類と活用法

子どもが「大学生になったら留学したい」と希望している。あるいは親御さんの中には、子を海外で学ばせたいと考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。その際、気になるのが留学費用です。海外留学には授業料や渡航費、生活費などまとまった費用がかかり、アメリカやヨーロッパへの留学となると、数千万円単位の費用が想定されます。そこで活用したいのが、返済不要の給付型を含む「海外留学のための奨学金」です。海外留学のための奨学金にもさまざまな種類がありますが、その前に奨学金の基本的な仕組みを押さえておきましょう。この記事では、大学生が利用できる奨学金制度を分かりやすく解説します。

奨学金には返済不要なものと返済が必要なものがある

給付型奨学金(返済不要)
給付型奨学金は、返済が不要です。ただし給付型は募集人数が限られ、倍率が高い傾向があります。成績や語学力の条件が設定されている場合が多く、書類審査、面接審査などを経て、採用となります。

貸与型奨学金(返済が必要)
貸与型奨学金は卒業後に返済が必要です。利子があるタイプと利子がないタイプがあります。給付型より採用条件がゆるやかで、留学資金を確保する現実的な方法です。一方で、返済は卒業後に長期間続くため、将来の返済額を試算した上で、無理なく返済できる金額までにすることが大切です。

日本学生支援機構(JASSO)の海外留学のための奨学金

海外留学を考えるなら、まず確認したいのが日本学生支援機構(JASSO)の奨学金です。JASSOは留学形態に応じた複数の奨学金を提供しています。給付型・貸与型の両方があります。

JASSOの給付型奨学金(返済不要)は4種類

①海外留学支援制度(学部学位取得型)
応募時に日本に在住し、高校卒業後に海外大学へ直接進学し、学士号取得を目指す学生向けの制度です。原則4年間、学位取得に必要な最短期間で支給されます。留学先の地域によって月額13.9万〜35.2万円(2026年度の額)と8つの区分が設定されています。例年、募集要項は7月〜8月頃に公開、エントリー開始は9月、応募締め切りは10月上旬となっていますので、事前に準備しておきましょう。

応募は個人で、専用のシステム(学位応募システム)を使用して応募します。2026年度は応募者数408名、採用者数は140名でした。なお、芸術分野の実技のみで学位を取得する場合や、海外の短大やコミュニティカレッジに入学して4年制大学に編入する場合などはこの制度の対象外です。

【主な応募条件】
・語学力 英語:TOEFL iBT80点またはIELTS6.0以上 その他:CEFR B2レベル以上
・学業成績 5段階評価で3.7以上(高校1年生から応募時点累計)
・所得要件 家計支持者の合計所得金額が2000万円以下
・国籍  日本国籍または日本への永住が許可されている者
※詳細は最新の募集要項で確認してください。
海外留学支援制度(学部学位取得型) | JASSO
2026年度海外留学支援制度(学部学位取得型)選考結果について | JASSO


②海外留学支援制度(大学院学位取得型)
海外大学院へ進学し、修士・博士号取得を目指す学生向けの制度です。修士2年、博士3年を支援対象(学位取得に必要な最短期間)とし、地域により月額は17.7万〜38.8万円(2026年度の額)となっています。学費が高額となるため、学部学位取得型の奨学金よりも少し高く設定されています。

募集要項の公開・エントリー開始は9月、応募締め切りは10月中旬です。応募は原則、日本国内の大学(在籍または卒業大学)を通じて行います(大学取りまとめ応募)。海外の大学に在学している、または日本国内の大学に在学しているが大学が応募を受け付けない場合のみ、個人応募となります。2026年度は応募者数683名、採用者数は175名と、高い倍率になっています。なお、芸術分野の実技のみで学位を取得する場合はこの制度の対象外です。

【主な応募条件】
・語学力 英語:TOEFL iBT95点またはIELTS6.5以上 その他:CEFR C1レベル以上
・学業成績 GPA3.00以上(最大値を4.00とした場合)
・国籍  日本国籍または日本への永住が許可されている者
・年齢制限 修士:35歳未満 博士:40歳未満
※詳細は最新の募集要項で確認してください。
海外留学支援制度(大学院学位取得型) | JASSO
[プレスリリース]海外留学支援制度(大学院学位取得型)応募・採用状況 | JASSO

③海外留学支援制度(協定派遣)
日本の大学、大学院、短期大学、高等専門学校、専修学校(専門課程)に在籍したまま、在学校の交換留学プログラムなどで海外大学へ派遣される学生向けの制度です。在籍している大学等が、日本学生支援機構に「派遣プログラム」の申請を行い、支援の対象プログラムとなった場合、参加する日本人学生等は、留学費用の一部として、奨学金や渡航支援金を受け取ることができます。

派遣期間は8日以上1年以内で、月額8万〜12万円、渡航支援金は16万円(一定の家計基準を満たす者)、1万円(一定の派遣期間を満たす者)が支給されます(2026年度の額)。応募は在学校を通じて行うことになります。利用したい場合は、受験する前に志望校に該当する海外留学プログラムがあるか確認しましょう。募集内容他、詳細は学校に確認してください。
海外留学支援制度(協定派遣) | JASSO

④ トビタテ!留学JAPAN(新・日本代表プログラム)【大学生等対象】
「トビタテ!留学JAPAN」は官民協働で実施されている留学支援制度です。企業などの寄付によって成り立っています。対象は日本の大学、大学院、短期大学、高等専門学校(第4学年以上で専攻科を含む)、高等学校(専攻科)、中等教育学校(後期課程の専攻科)、特別支援学校(高等部の専攻科)及び専修学校(専門課程)に在籍する学生です。1ヶ月から1年間の期間で、学生が独自に留学プランを設計することができ、インターンシップやボランティア、研究活動も対象です。また、成績や語学力が不問とされていますが、留学を通じて、将来のグローバルリーダーとなる素養を身に付ける意欲がある人物とされています。日本で在学している学校を通じて申し込みをします。

支給金額は奨学金として、一定の家計基準を満たす者は、月額12万円または16万円(地域による)、家計基準以上の者は月額6万円(地域に関わりなく)となっています(2026年度の額)。その他、留学準備金、海外の学校で授業を受ける場合は授業料の支援もあります。
コースはイノベーターコース、STEAMコース、ダイバーシティコースの3つあり、募集人数は合計で250名です。詳細は以下のリンク先をご確認ください。
【大学生等対象・返済不要の留学奨学金】「トビタテ!留学JAPAN新・日本代表プログラム」

JASSOの貸与型奨学金(返済が必要)は4種類

①第二種奨学金(海外):利子あり
学位(学士号、修士号、博士号)取得を目的に、海外の大学・大学院へ進学を希望する人、または海外の大学・大学院に在学中の人を対象とした貸与奨学金です。奨学金の貸与終了月に利率が決まり、利率に基づいた利子が翌月から発生します。(上限金利・年3%)そして、卒業の翌月から数えて7か月目に返還が始まります。

海外の大学・大学院に進学する前に申し込む方法(予約採用)と、進学後に申し込む方法(在学採用)があります。予約採用は在籍校または卒業校(高校等)を通して申し込み、在学採用は個人で申し込みします。学力基準と家計基準の2つで審査されます。(国内大学向けの第二種奨学金と同様基準)

【奨学金の額】
貸与月額(大学):2万~12万円の中から1万円単位で貸与月額を選択
貸与月額(大学院):5万円・8万円・10万円・13万円・15万円の選択制
入学時特別増額貸与奨学金:10万円・20万円・30万円・40万円・50万円の選択制
※奨学金の初回振込時に増額して、「入学時特別増額貸与奨学金」(一括振込・1回のみ)を申し込むことができます。
第二種奨学金(海外)制度概要 | JASSO

②第一種奨学金(海外大学院学位取得型対象):利子なし
JASSOの給付奨学金「海外留学支援制度(大学院学位取得型)」に採用された人で、当該奨学金の給付を受けてもなお、経済的支援を必要とする人を対象とした貸与奨学金です。卒業後、その翌月から数えて7か月目に返還が始まります。なお、利子は発生しません。学力基準と家計基準の2つで審査されます。修士課程と博士課程で審査基準は異なります。申し込みは在学採用のみです。詳しくは下記のリンク先を確認してください。

【奨学金の額】
修士課程相当:50,000円・88,000円
博士課程相当:80,000円・122,000円
入学時特別増額貸与奨学金:10万円・20万円・30万円・40万円・50万円の選択制
※奨学金の初回振込時に増額して、「入学時特別増額貸与奨学金」(一括振込・1回のみ)を申し込むことができます。ただし、入学時特別増額貸与奨学金は利子が発生します。
第一種奨学金(海外大学院学位取得型対象)在学採用の申込方法 | JASSO

③国内貸与奨学金(第一種奨学金・第二種奨学金)
海外の大学等または大学院へ短期留学する場合において、国内大学等で貸与奨学金(第一種奨学金、第二種奨学金)を受けている場合は、条件を満たすと短期留学中も継続して奨学金を受けることができます。

④留学時特別増額貸与奨学金
国内貸与奨学金(第一種奨学金・第二種奨学金)を受けながら、海外の大学等または大学院へ短期留学(3か月以上)をする場合に、日本政策金融公庫の「国の教育ローン」の融資を受けられなかった世帯の学生等は、国内貸与奨学金に併せて一時金として「留学時特別増額貸与奨学金」の貸与を受けることができます。希望する場合は、在学校を通じて申し込みましょう。なお、第二種奨学金同様、利子が発生します。
海外留学のための貸与奨学金(返済必要) | JASSO

JASSO以外の海外留学のための奨学金

大学独自の留学奨学金や、民間財団、自治体の奨学金も様々あり、こちらも給付型と貸与型があります。大学の留学センターや国際センター、学生支援課などで情報を収集してみましょう。また日本学生支援機構が運営する「海外留学情報サイト」では、留学のための奨学金等を検索することができます。
海外留学奨学金検索サイト

奨学金を上手に活用しよう

海外留学の経験は子どもの視野を広げ、将来のキャリアにもよい影響を及ぼすでしょう。しかし、費用面の負担が大きく、借入をする場合には慎重な判断が必要です。留学という夢をかなえるには、早めに情報収集を行い、上手に奨学金を活用することがおすすめです。

[山内 真由美]
yamauchimayumi.png
プロフィール : 山内 真由美(やまうち まゆみ)

ファイナンシャルプランナー(CFP®・1級FP技能士) 国家資格キャリアコンサルタント

中学生の双子の母。ファイナンシャルプランナー資格を取得後、都市銀行の支店にて個人向けに資産運用の案内を担当。現在は、東京都内の自治体にてひとり親のための家計相談、高校の保護者会にて奨学金や教育ローンの活用方法について講演している。また資産運用に関するWeb記事の執筆およびムック本の監修を担当。著書は『FPママの親と子で学ぶお金のABC・13歳からのマネーレッスン本』(河出書房新社)



J-FLEC (金融経済教育推進機構)認定アドバイザー

https://www.j-flec.go.jp/advisors/

インフォメーション