子どもの学費が足りないときはどうする?奨学金?教育ローン? ~迷った時の優先順位を間違えない!~
現状確認!我が家の教育費の準備はどこまで進んでいるか?
新学期になると、部活動や学校活動の費用だけでなく、さらに塾や習いごとなどの補助学習の費用が次から次へとかかり、支出が一番増える時期だと感じている方は多いのではないでしょうか。子どもは新年度で希望に満ちあふれていても、親にとっては支出ばかりで、子どもの教育費の積み立てなどとてもじゃないけどできない、という状態かもしれません。ただ、最近は、子どもの児童手当の拡充や高校の無償化、給付型の奨学金など、子育てのための支援があることを前提に、そもそも教育費の準備をほとんどしていないというケースも見受けられます。いずれにしても、そんな時に子どもが予想外の進路を希望し、自己資金では不足することがわかったとき、主な選択肢は「奨学金」もしくは「教育ローン」となります。ただし、今は「奨学金」や「教育ローン」といっても様々な種類があり、選択肢や組み合わせによっては、将来的に生活が厳しくなってくることもあり得ます。参考までに、高等学校の1年間にかかる学習費総額は、公立高校では約59.6万円、私立高校では約117.9万円に上ります(出所:文部科学省「令和5年度子供の学習費調査_調査結果の概要」)。子どものために少しでも積み立てをと思っても、中高生がいるご家庭ではなかなか難しいのが実情でしょう。しかし、次から次へとかかる費用をただ支出するだけでなく、これまでの現状を踏まえ、大学受験が本格化する高校3年生の夏休み頃までに、どのくらいの教育費を自己資金で準備できるのか、今のうちから無理のない計画を立て、具体的に見通しておくことが大切です。
奨学金と教育ローンの利用を考えた時に、どう利用する?
進学予定の高校3年生には、通常、学校の先生から日本学生支援機構の奨学金の予約採用の申し込みを案内されます。この予約採用の段階では、本当に必要になるかまだ不確かでも、万が一に備えて「念のため」申し込むという選択肢もあります。ただし、予約採用の奨学金も、実際に振り込みが行われるのは大学や専門学校への入学後となります。これに対し、進学先に入学した後に奨学金を申請する「在学採用」も可能です。しかし、在学採用の場合は採用決定が入学後のタイミングとなり、入学時の費用には間に合わない可能性もあるため注意が必要です。一方、教育ローンは奨学金とは性質が異なります。受験時の費用や入学金など、急な出費をカバーできるよう、審査が終了すれば比較的早く振り込まれますので、必要な時期に合わせた臨時の資金としての選択肢となりえます。受験シーズンである10月から3月までは申し込みが多くなることから、審査の結果が出るまで時間がかかることを想定して行動する方がいいでしょう(日本政策金融公庫の教育一般貸付の場合)。教育ローンの利用を考えているのであれば、「不足額がいくらか」しっかりと見積もってから検討してください。なんとなく「これくらい」ではなく、「受験料なら○○校分。滑り止めの大学の入学金○○円」というように、現実的で具体的な金額にしてください。教育ローンの契約者は「親」、奨学金の契約者は「子」です。親子そろって借金の返済が続けば、物価高の今、どんどん生活は厳しくなるのは容易に想像できます。老後破綻などセンセーショナルな言葉で語られることもありますが、65歳定年の会社に勤務していても、途中で給料が下がったりすることも珍しくありません。「借りる」ときには、「返済しなくてはならない」ことを忘れないでください。将来の返済に不安を感じる場合は、最初から教育ローンを利用することを考えず、まずは「返済不要」の奨学金の利用を検討しましょう。給付型奨学金は2020年4月からスタートしていますが、その後も授業料、入学金の減免の制度が拡大しています。さらに2025年度から多子世帯の学生等に対する大学等の授業料・入学金の無償化も行われています。(参考:文部科学省「高等教育の修学支援新制度」) 「奨学金」と聞くと、親の世代は日本学生支援機構の奨学金、いわゆる貸与型の第一種と第二種をイメージする方は多いかもしれません。しかし、今の世代の子どもたちが利用できる制度は、より多様なものになっています。返済不要の給付型については、別途進学先の大学等に申し込むことで、授業料と入学金の免除・減額を受けられるものもあります。最適な選択肢の優先順位を間違えないようにしましょう。
給付型が受け取れるといっても安心しない!知っておきたい注意点
前段では、給付型の奨学金は優先的に活用したい制度だと述べましたが、利用できるかどうかは要件を満たすかに左右されます。対象となる可能性を確認するため、まずはシミュレーションで該当状況を確認してください。日本学生支援機構のサイトで、収入や所得、保険料などを入力することで簡易計算ができます(出所:日本学生支援機構「進学資金シミュレーター」)。ここで保護者の方がまずシミュレーションをして、対象になるかどうかに加え、給付や貸与の額がどの程度になるのか金額を見積もることが可能です。ちなみに、給付型と貸与型を併用する場合には、給付型の支給区分に応じて第一種奨学金(無利子・貸与型)が調整されることがあります(参考:日本学生支援機構「給付奨学金と併せて利用する第一種奨学金の貸与月額(併給調整)」)
※調整の結果、減額となるケースが多く、場合によっては貸与額が0円となることもあります。
また、給付型は返済不要である一方、一定の学修意欲・学修成果に関する要件を満たす必要があります。支援が継続される場合でも「警告」に該当する要件があり、状況によっては支援が打ち切られることがあります。(出所:文部科学省「高等教育の修学支援新制度の学業要件について」)子ども本人は、奨学金が「給付型」なのか「貸与型」なのか興味を持って調べることはないかもしれません。給付型が打ち切られた場合に、不足分を貸与型で補うと将来の返済負担としてライフプランに影響が出る可能性もあります。制度の違いとリスクは事前にしっかりと説明しておきましょう。
- プロフィール : 當舎 緑(とうしゃ みどり)
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社会保険労務士。行政書士。CFP®
一男二女の母。阪神淡路大震災の経験から、法律やお金の大切さを実感し、開業後は、顧問先の会社の労働保険関係や社会保険関係の手続き、相談にのる傍ら、一般消費者向けのセミナーや執筆活動も精力的に行っている。得意テーマは、教育資金の準備方法、社会保険の仕組み、エンディングノートの作り方、これから始めるやさしい終活、成年後見の活用方法、銀行を介さない家族信託の仕組みなど。著書は、『3級FP過去問題集』(金融ブックス)『子どもにかけるお金の本』(主婦の友社)など。
子どもにかけるお金を考える会メンバー
http://childmoney.grupo.jp/
一般社団法人かながわFP生活相談センター理事
http://kanagawafpsoudan.jimdo.com/
J-FLEC認定アドバイザー
https://www.j-flec.go.jp/advisors/
ウーマンライフパートナー会員 Women Life Partner
https://wlp.or.jp/
- オフィシャルWebサイト
- http://tosha.grupo.jp/