将来の働き方を広げる在学中の資格取得。親ができる支援とは?
株式会社リクルートマネジメントソリューションズから2025年12月2日プレスリリースされた「2026年新卒採用大学生の就職活動に関する調査」によると、学生の志向は"安定"×"アグレッシブ"、「自分がその会社で働くイメージを持てるか」が決め手になっているようです。このプレスリリースからは、大学生が就活をする際、「安定」を求めているはずなのに、相対する「アグレッシブ」を同時に求めるという傾向がわかります。この2つを実現するためには、大学などの進学先で学ぶ知識以外にも、専門性や自信を身につけるために何らかの資格取得に挑戦するのもひとつの選択肢といえるでしょう。今回は、在学中の資格取得について考えてみましょう。
資格取得を考えた時に親子で話したいこと
将来何になるかはっきり決めていれば就活も進めやすいかもしれませんが、まだ方針を決め切れていない中での資格取得であれば、比較的取得しやすい資格から始めるのがいいでしょう。たとえば、簿記やFP3級、ITパスポートなどは、勉強期間も比較的短く、テキスト費用など掛かる費用も安価にすみます。企業に入社後、TOEICの受験を義務とするケースもありますから、英語力を試すためにTOEICの受験もいいでしょう。ただ、資格によって有用度は変わってきます。民間資格は、会社に就職してからの業務をスムーズに進めやすくなる有効な手段となり得ます。一方、国家資格は取得の難しさはありますが、将来的な独立開業も視野に入れることができるので、将来の選択肢を増やすことにもつながります。資格取得を目指し始めた子どもとする親子の会話として、「履歴書に書いた際にある程度プラスに働く資格」がいいのか、「より直接的に将来の仕事に生かせる資格」がいいのか、それとも「独立開業も視野に入れた資格」なのか、子ども自身にじっくり考える機会を持たせてみてはいかがでしょうか。就活に生かすのであれば、時間を最優先に考える必要がありますので、選択する資格は「勉強時間が短く、受験時期と合格発表が就活に役立つ日程か」を確認しましょう。
子どもから相談されたときに親から話しておくべきこと
前段では、ちょっとした親子の会話について、資格を話題にすることを提案してみましたが、子どもの方から資格取得を相談されたときに親が話すべきポイントをお話しします。
①資格取得は何のため?就活のためか、自分のためか。
②資格取得は万能ではない。その費用はだれが出す?子どもが出せるのか、親の支援が必要なのか。
①についてですが、資格取得は、勉強したから必ず取得できるものではありませんし、合格率は様々です。もし、簿記2級を勉強して不合格だった時に、「勉強したことで、企業の決算書が読めるようになった」、もしくは、FP技能士が不合格だった時に、「勉強したことで、金融資産の運用に興味がわいた」など、就活に必要なストーリーになるかという視点も必要です。ここは是非親がアドバイスしておく点でしょう。
②についてですが、資格に合格すれば就活も順調に進むとは限りません。難関資格と言われる公認会計士や税理士、社会保険労務士などに無事合格できても、それだけで就活までうまくいくわけではありません。さらに、これらの難関資格合格は独学ではなかなか難しいので、選択肢の一つとして、独学以外に資格取得のための時間と費用を捻出することを検討するのもよいでしょう。本人による費用捻出が難しいケースも多いので、アルバイトの時間を削ったりして、その期間の生活費と受講にかかるお金を親が負担するということもあり得ます。その場合は、双方いくらまでなら出せるのか、条件を親子ですりあわせておきましょう。
以上、2点は最低限確認が必要だと言えるでしょう。
費用負担の話し合いと親のライフプランの見直し
それでは、実際に子どもの資格取得費用を親が出す場合について考えてみましょう。ダブルスクールをする際、オンラインで授業を受けることもあるかと思いますが、通学する場合は交通費がかかります。本来の受講費用以外にも、テキスト代や模試受験代、受験料がかかり、総額がいくらになるのかは様々です。その際、子どもとの取り決めはしっかりしておきましょう。資格取得費用といっても、基本的な講座とは別に、「横断講座」や「試験対策講座」「直前対策講座」などのオプションが提案されることもよくあります。「子どもが自分でどこまで出すのか」「親が出す支援はどこまでか」「親が出した費用は、全額後払いか。一部後払いか。いつからいくらの分割払いか」の3点は必須でしょう。そもそも、親は子どもが進学するまで、多くの教育費を負担しています。日本政策金融公庫の「教育負担の実態調査」によれば、高校入学から大学卒業までにかける教育費用は、子ども一人当たり平均942万円という調査結果もあります。それまでの負担もかなりかかったところに、さらに子どもに資格取得費用を支出すれば、確実に親の老後資金に影響が出ます。「就活がうまくいったら、月5000円ずつでも返済する」など、実際の条件は親子で詳細を詰めていくことも大切ですが、本来、資格取得の費用を親が負担することは当然のことではないということを子どもに伝えることで、自分の将来に対する意識が高まり、資格取得に向けた勉強にも前向きに取り組むようになる可能性もあります。同時に、親にとっても子どもへの支出を一度整理し、見直しが必要となった老後資金計画を改めて考える機会になるでしょう。
- プロフィール : 當舎 緑(とうしゃ みどり)
-
社会保険労務士。行政書士。CFP®
一男二女の母。阪神淡路大震災の経験から、法律やお金の大切さを実感し、開業後は、顧問先の会社の労働保険関係や社会保険関係の手続き、相談にのる傍ら、一般消費者向けのセミナーや執筆活動も精力的に行っている。得意テーマは、教育資金の準備方法、社会保険の仕組み、エンディングノートの作り方、これから始めるやさしい終活、成年後見の活用方法、銀行を介さない家族信託の仕組みなど。著書は、『3級FP過去問題集』(金融ブックス)『子どもにかけるお金の本』(主婦の友社)など。
子どもにかけるお金を考える会メンバー
http://childmoney.grupo.jp/
一般社団法人かながわFP生活相談センター理事
http://kanagawafpsoudan.jimdo.com/
J-FLEC認定アドバイザー
https://www.j-flec.go.jp/advisors/
ウーマンライフパートナー会員 Women Life Partner
https://wlp.or.jp/
- オフィシャルWebサイト
- http://tosha.grupo.jp/