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進学NEWS
2025.08.01

大学生から始める、コツコツ投資とNISAの基本

大学生に「投資」についてどんなイメージを持っているかと聞くと「お金が無くなりそう」「ギャンブルみたいで怖い」と答えが返ってくることがあります。また「富裕層などお金持ちの人がやることでしょ」と思っている人も少なくありません。ですが、実は、投資は若いうちから始めることこそ、最も効果を発揮しやすいのです。
今回は、投資の基本と、少額から始められる制度である「NISA」のしくみについて、分かりやすく解説します。

「貯める」と「増やす」を分けて考えよう

将来に向けてお金を準備するとき、安全確実に「貯める」という考え方は大事ですが、預金金利が年0.2%程度(2025年7月時点)という低金利の時代、銀行に預けているだけではお金は大きく増えません。一方で、ここ数年は物価が上がり続けていて、現金をただ持っているだけでは、実質的な資産価値が目減りしてしまう可能性もあります。日本では長い間「貯金=安心」というイメージが強くありましたが、インフレに負けないために、投資で「増やす」という考え方を持つことも重要です。

まずは「貯蓄」と「投資」の違いから説明します。

・貯蓄:銀行預金や郵便貯金など、元本が保証されている金融商品を活用して安全確実に貯めること
・投資:増やすことを目的とし、投資信託や株式など値動きがあって元本保証されていない商品で運用すること

上手に資産形成するためには「守るために貯めるお金」と「育てて増やすお金」を使い分ける視点が大切になります。目的に応じてお金を色分けしてみましょう。

①すぐ使うお金:食費や光熱費、日々の暮らしに必要なお金、臨時資金など。
②近い将来、使いみちが決まっているお金:留学資金、1年後に車を買うお金など。
③将来のために増やすお金:10年以上先のマイホーム購入資金、老後資金など。

それぞれに適した金融商品として、①は、すぐに出し入れできる普通預金、②は、普通預金よりも少し金利が高い、定期預金や個人向け国債(※)等が該当します。銀行の金利は、金融機関によって差があります。特に定期預金は金利が高いものを選ぶことも大事です。
③の「将来のために増やすお金」が投資に適したお金です。

参考: 個人向け国債 財務省サイト

投資のリスクとは

投資と聞くと「難しそう」と感じる人も多いかもしれませんが、正しい知識と方法をもって行えば、リスクをコントロールしながらコツコツ資産を育てることができます。 投資の「リスク」とは「損をするかもしれない」可能性だけでなく、「価格が上下に動くブレ幅」のことで、「損する可能性」だけでなく「増える可能性」も含んでいます。
「どれくらいのリスクを許容できるか?」は、年齢やその人の考え方によって異なります。10,000円を投資した場合、「9,800円まで減るのは許容できる」という人もいれば、「9,000円まで減るリスクを許容したうえで、11,000円程度を目安に増やすことを期待したい」と考える人もいるでしょう。


【リスク許容度の考え方】
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投資のキホンは「長期・つみたて・分散」

次に、投資のリスクを軽減するための、3つのキホンについて説明します。

・長期:時間をかけてじっくりお金を育てる。
⇒ 長く運用することで時間分散と複利運用の効果も期待できる。

【長期投資の効果】
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・つみたて:少額を定期的にコツコツ積み立てる。
⇒ 同じ額を積み立てることで、投資単価が安いときに多くの口数を、投資単価が高いときには少ない口数を購入できる。
  つまり、有利な時に買わない、不利な時だけ買ってしまうということを避けられる。

【つみたて投資の効果】
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・分散:国内や海外、株式や債券、不動産など値動きの違う商品に投資する。
⇒ 投資対象を幅広く分散することで価格の変動リスクを軽減できる。

【分散投資の効果】
202508-02-04.jpg 出所:金融庁の内容および画像を一部抜粋

「つみたてNISA」ってなあに?

「NISA(ニーサ)って、どこで買えるんですか?」と聞かれることがありますが「NISA」は商品名ではありません。「NISA」の正式名称は「少額投資非課税制度」、国が用意した、少額からの投資を行うことができる「資産形成のための税制メリットがある制度」です。
2024年に制度が拡充され「成長投資枠」と「つみたて投資枠」と2つの投資方法がありますが、大学生など初心者には、コツコツ積み立てる「つみたてNISA(つみたて投資枠)」をお勧めしています。理由は、前述した3つの基本である「長期・つみたて・分散」が自動的にできる仕組みになっているからです。また投資できる対象商品は「長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託(金融庁の基準を満たした投資信託)」つまり、相対的に低リスクで手数料が低い商品のみに限定されているため、初心者でも比較的安心して投資を始めることができます。つみたてNISAは、毎月一定額を積み立てる仕組みで毎月最大10万円(年間で120万円)まで積み立てることができます。


【NISAの特徴】
・運用益にかかる税金(通常20.315%)がかからない(非課税保有期間は無期限)
・年間360万円まで非課税で投資可能(つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円)
・生涯投資枠は1800万円まで
・18歳以上ならば、銀行や証券会社でNISA口座を開設することができる。

関連サイト
金融庁 NISAサイト

"時間"を味方につけて未来の安心をつくろう

将来のお金の不安を解消するためには、今から少しずつ動き出すことが大切です。「お金を貯める=貯蓄」と「お金を育てる=投資」のバランスを決めて、自分にあった資産形成を始めてみましょう。若い世代にとっての最大の強みは「将来までの長い時間を味方にできること」です。大学生のうちから少しずつ始めれば、長期運用で複利の効果が期待でき、将来に向けて大きく資産を増やすことができるかもしれません。一気に大きく増やそうとせず「長期・つみたて・分散」で、自分のお金を育てる習慣を始めてみませんか?

[合田 菜実子]
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プロフィール : 合田 菜実子(ごうだ なみこ)

ファイナンシャルプランナー(CFP® 1級FP技能士) 国家資格キャリアコンサルタント 和光大学特任准教授 スカラシップアドバイザー(日本学生支援機構) 日本FP協会パーソナルファイナンスインストラクター  基礎心理カウンセラー

子育て期間中にファイナンシャルプランナー資格を取得。現在は、お金とキャリア教育の専門家(マネキャリサポーター®)として、若者たちの豊かな未来のために「金融経済教育」に積極的に取り組んでいる。金融庁関連、日本FP協会主催セミナーの他、大学や小中高校におけるお金の授業、高校での教育資金準備講座など講演多数。著書は『教えて合田先生!18歳までに知っておきたいお金の授業』(C&R研究所) 『子育て主婦が知っておきたいお金の話(経法ビジネス出版)』『小学生でもわかる、お金にまつわるそもそも事典』(C&R研究所 共著)など。

JFLEC (金融経済教育推進機構)認定アドバイザー
アドバイザー紹介ページ

日本FP協会パーソナルファイナンスインストラクター
https://www.jafp.or.jp/personal_finance/high/inst_disp/

和光大学特任准教授
https://www.wako.ac.jp/faculty-postgraduate/economics-business/economics/teacher.html

ウーマンライフパートナー会員 Women Life Partner
https://wlp.or.jp/

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