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進学NEWS
2024.12.02

教育費が不足する?と感じたときの対策とは

教育費の準備方法として、所得制限がかからず支給される児童手当や新NISAなど、新たな方法は増えてきています。ただ、教育費に全く不安を感じないというご家庭はあまり聞きません。子どもの進路がわからないからこそ、将来が不安になるのでしょうが、いくら、どうやって準備すればいいのかわからないという点が不安になる原因といえます。今回は、「教育費が不足するかも?の基準と対策」に着目します。

現状、教育費は不足している?大丈夫?見極めはいつ?

ファイナンシャルプランナーとして、子供の教育費はいくらかかるのかと聞かれることはありますが、そもそもこの「教育費」とはどこからどこまでのことをいうのでしょうか。専門家として回答させていただくと、「一番多くかかる大学進学のための費用の準備」のことだと言えます。基本的に、高校までは通常の家計から支出することがポイントです。子供への支援として、18歳までの児童手当や就学支援があり、すべてを親が準備する必要はありませんが、教育費に関しては、「思ったより」高くなることも多いものです。実際には、高校生の子どもへの就学支援金は、判定基準を満たしたご家庭には公立高校に進学したときには11万8800円、私立高校に進学したときは39万6000円受けられますから、高校までは、部活の費用や交通費、合宿費や食事、塾代などたくさんの費用も含めて、できるだけ収入の枠内におさめてください。

(出所:文部科学省
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/mushouka/20240319-mxt_kouhou02-5.pdf


本来であれば、児童手当と就学援助を「無いもの」と考えて地道に貯蓄して、家計から支出していれば、約200万円の資金になります。その金額があれば、受験前にかかる費用、塾代から始まって受験料、滑り止めの大学の入学金、本命の入学金及び学用品代など、大学進学前後にかかる費用はだいたいカバーできるわけです。ですから、これらの子どもへの支援が「貯められていない。使ってしまった。」という時点で、「不足しているかも。」と考えてください。

今の時点で教育費の家計への影響を考えてみる

前段では、「家計の中から、教育費を支出する」ことを原則としましたが、家計の中での教育費の負担を考えてみましょう。
教育費がどれくらいかかっているか計算する目安として、文部科学省の調査をご紹介します。その中で、学校活動費や塾や予備校などの費用である補助活動費は以下のようになります。

(出所:文部科学省「令和3年度子供の学習費調査」から抜粋して筆者作成
https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa03/gakushuuhi/kekka/k_detail/mext_00001.html

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一番多く教育費がかかる高校3年生の時には、どれくらいかかるというと、この例では、学校教育費と学習塾費の合計は、公立高校では480,051円、私立高校では975,397円。学校教育費には、授業料だけではなく、修学旅行費や図書、学用品、実習材料費、通学関係費なども含まれていますし、あくまでも平均値です。ただ、こちらと比較することで、家計の中で教育費の比重がどれくらいを占めているのか、「多すぎかどうか」を判断する目安にはなるでしょう。

奨学金や教育ローンを利用するなら「上手に返す」ことを考える

教育費を「使いすぎかどうか」判断することをお勧めしましたが、「実情として、受験生がいる段階で使い過ぎとわかっても仕方ない。親としては応援したいから。」という言葉を家計相談の中でお聞きしたことがあります。確かに、「応援する」気持ちはとても大切ですが、教育費の不足がずっと続くのであれば、家計は破綻し、親の老後準備にも悪影響を及ぼします。高校3年生の時に、奨学金制度の利用を「予約採用」で申し込みしている方がいるかもしれませんが、その時点で奨学金を利用するのであれば、さらに教育ローンを借りないような方法、もしくは借りるにしてもできるだけ少なくする方法を親子で相談して決めておきましょう。令和2年度「教育費負担の実態調査」によると、奨学金と教育ローンを併用している方は49%と2人に1人です。ただ、最大返済期間がそれぞれ、教育ローンであれば18年、奨学金は20年となっています。利用者、つまり返済の義務を負う対象は教育ローンが親、奨学金が子供と別々だったとしても、将来的に返済が滞れば、親子そろっての貧困状態になる可能性すらあるのです。在学中には返済負担を軽減する措置が設けられていますが、子供が働き始めてから「返済する」と思わず、在学中に「繰り上げ返済する」ことも、上手に返す方法の一つといえるでしょう。


参考・文部科学省「令和3年子供の学習費調査」
https://www.mext.go.jp/content/20221220-mxt_chousa01-100012573_3a.pdf
日本政策金融公庫「令和2年度 教育費負担の実態調査」
https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/kyouikuhi_chousa_k_r02.pdf
日本政策金融公庫「国の教育ローンと奨学金の違い」
https://www.jfc.go.jp/n/finance/ippan/kyoikuhi/voice.html

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[當舎 緑]
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プロフィール : 當舎 緑(とうしゃ みどり)

社会保険労務士。行政書士。CFP®

一男二女の母。阪神淡路大震災の経験から、法律やお金の大切さを実感し、開業後は、顧問先の会社の労働保険関係や社会保険関係の手続き、相談にのる傍ら、一般消費者向けのセミナーや執筆活動も精力的に行っている。得意テーマは、教育資金の準備方法、社会保険の仕組み、エンディングノートの作り方、これから始めるやさしい終活、成年後見の活用方法、銀行を介さない家族信託の仕組みなど。著書は、『3級FP過去問題集』(金融ブックス)『子どもにかけるお金の本』(主婦の友社)など。

子どもにかけるお金を考える会メンバー

http://childmoney.grupo.jp/

一般社団法人かながわFP生活相談センター理事

http://kanagawafpsoudan.jimdo.com/

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