大学生の投資教育。ここから始める投資の一歩。
2024年1月から新NISAが始まっていることで、「貯蓄から投資へ」を実践するためにNISA口座を開設する方も増加しています。ライフプランやパーソナルファイナンスの知識は、学校での家庭科や社会科、道徳の授業などで学んだ学生もいるでしょうが、「投資教育」というほど詳細な情報が浸透しているとは言えません。ただ、社会人になってからいきなり始めるよりも、大学生の時に少しずつでも試していって、失敗したほうが小さい失敗で済むはずです。今回は、大学生の投資の始め方をお話しします。
大学生が投資を始めるのは何のため?
いきなり「投資しましょう。」と言われても、始める時期ときっかけは人それぞれ。奨学金を利用している大学生が2人に1人といわれている現状では、投資に回す余裕資金がある方ばかりではありません。ただ、少額から始めたり、ポイントを利用して投資をしたりするなど、学生でも証券口座を開設し、始めることは可能です。利益も少額でいいなら、まずは勉強を目的として、少額の資金やポイント投資から始めるというのもいいでしょう。ただ、もう少し異なる目的も選択肢に入れるのもいいでしょう。金融庁の資料(出所:https://www.fsa.go.jp/teach/kou4.pdf)にもありますが、「投資を通じて社会に目を向けてみましょう。」という目的を例に挙げてみます。企業が資金を調達するためには、銀行からの融資だけでなく、株式や債券を発行して資金を調達しています。投資はこうした企業を「応援する」方法ともいえます。学生自身が応援したい企業や、就活に応募してみたい企業などへの投資から始めてみてもいいでしょう。株式そのものが高額で購入することはできないケースもあるかもしれませんが、ミニ株など、1万円程度から始める方法もあります。
投資に近道はない
投資を始めるときに覚えておいていただきたい言葉があります。それは、「うまい話には裏がある」「投資に近道はない」ということです。独立行政法人国民生活センターのHP(出所:https://www.kokusen.go.jp/mimamori/kmj_mailmag/kmj-support206.html)をご紹介します。友人や先輩、知人から「会わせたい人がいる」「すでに投資を始めた知人から話を聞いてほしい」「投資のノウハウが詰まったUSBメモリが購入できる」など、いわゆる「おいしい話」にひっかかってしまうケースが挙げられています。たとえ知人でも、投資に回せるお金も、リスクの許容度も異なるはずですが、先輩や友人など、身近な人から進められることで気軽に始めてしまっているのです。ただ、たとえ、知人がもうかったとしても自分ももうけられるとは限りませんし、知人に紹介したことで手数料が受け取れるなど、人脈を広げるための仕組みが、詐欺まがいのようなケースも多いものです。「私は私」だと割り切って、長期計画を目指した自分なりの投資方針を見つけましょう。
投資のキホン
投資を始める際の有名な格言に、「一つのカゴに卵を盛るな」という言葉があります。資金を1つの資産に集中しないで、複数の種類に分散して投資すると、リスクが分散され、バランスのいい投資ができるという意味です。例を挙げると、国内や海外の「株と債券」、「国内と先進国と新興国」など、異なる種類の商品を組み合わせる方法です。また、同じ投資先でも、時間をずらして投資する方法も分散投資といえます。いろいろなカゴに分けていれば、一度に全部の卵を失うことはないということが分散投資の考え方です。投資は必ず元本が保証されている普通預金や定期預金とは異なり、リスクは必ずあります。投資によって、資産が少しでも目減りすることに抵抗がある方にとっては、投資は困難かもしれません。ただ、少しでも余裕資金があり、投資資金を適切に分散するかを決めたいときには、自分のリスク許容度を判定することから始めてみましょう。証券会社が独自にリスク許容度を判定してくれるHPもありますが、一般社団法人全国銀行協会が提供するサイトもあります。これらのサイトでは、リスク許容度と合わせて、ポートフォリオ(=金融商品の組み合わせ)も例示してくれます。ただ、診断結果が出てポートフォリオが提示されても、具体的な商品名を決めるのは自分自身です。
投資のために証券会社のHPや動画、テレビなどを参考にしたこともあるでしょうが、必ずと言っていいほど「投資はご自身の判断です。被ったいかなる損害についても一切の責任を負いかねます。」と記載されているはずです。たとえ学生であったとしても、自分で決めて自分が責任を負わなければなりません。他人任せにはせず、「自分で決めた金額」で「自分の意志で決めた商品」を買うことが大切なのです。
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- プロフィール : 當舎 緑(とうしゃ みどり)
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社会保険労務士。行政書士。CFP®
一男二女の母。阪神淡路大震災の経験から、法律やお金の大切さを実感し、開業後は、顧問先の会社の労働保険関係や社会保険関係の手続き、相談にのる傍ら、一般消費者向けのセミナーや執筆活動も精力的に行っている。得意テーマは、教育資金の準備方法、社会保険の仕組み、エンディングノートの作り方、これから始めるやさしい終活、成年後見の活用方法、銀行を介さない家族信託の仕組みなど。著書は、『3級FP過去問題集』(金融ブックス)『子どもにかけるお金の本』(主婦の友社)など。
子どもにかけるお金を考える会メンバー
http://childmoney.grupo.jp/
一般社団法人かながわFP生活相談センター理事
http://kanagawafpsoudan.jimdo.com/
- オフィシャルWebサイト
- http://tosha.grupo.jp/