受験のための費用とスケジュールを考えよう
夏休みに塾や予備校で頑張った結果、思った通り順調に進んだ方、思ったよりも伸びていないことに焦っている方、夏休みが終わった後の受験生はさまざまでしょう。夏期講習の集大成である模試の結果としての「AからF判定」はあくまでも目安ですから、これからこの模試の結果を参考にして、志望校を下げて安全圏を目指すのか、それとも志望校をキープしていくのか、本番に向けて、今後どのようなスケジュールで動くのか考える時期がきています。まだ早いと思われるかもしれませんが、今後の受験スケジュールと、今やっておくべきことを考えてみましょう。
自分の得意、不得意、傾向を把握できるのは自分であることを忘れない
夏期講習の中で、学習到達度を確認するための模試の結果。これを見て「合格可能」なのかどうかを一喜一憂する必要はありません。模試からわかる自分を分析することで、今後の受験スケジュールを決めることが出来ます。自分の得意、不得意、点を取りやすいパターンなど、傾向を把握することは大切なことです。志望校を決めかねている場合に、学校や塾の先生から、偏差値一覧の表を見せられて、偏差値から、「第一志望校は、これくらいの誤差」「安全志望校はこれくらいの偏差値」、そして「滑り止めはこれくらい」と見方を教わることも多いはずですが、参考程度にして、自分で「どのような問題なら点数が取りやすいのか。」「どの科目がこれから伸びる科目なのか。」など自分なりの分析を加えてみましょう。点数が伸びなかった理由が「まったく理解できない。」のではなく、単なるケアレスミスなどが理由であれば、今後は「ケアレスミスに気を付けること」で点数が伸びることは予想できます。科目ごとに点数の偏りが見られるのであれば、得意や不得意の原因と今後の伸び予想を、他人から指摘されるのでなく、自分で傾向を見つけていきましょう。
募集要項は自分の受験スタイルを考えるためのバイブル
受験生が実際に受験する2025年の正式な募集要項が出るのは、だいたい9月から11月ごろになります。ただ、大学のHPで前年2024年の要項を見て、入学試験の日程や選抜方法に改正点があるかどうかを前もって確認しつつ心構えをするには、今はいい時期といえます。前段のように、自分の傾向を理解したうえで、受験パターンを考えてみましょう。学部別に個別に各科目を受験していくのか、全学部統一試験で、一つの試験で複数の学部を志願するのか、それとも大学入学共通テストを利用するのか、英検など外部資格を利用するのかなど、大学受験は多様化が進んでいます。同じ学部でも受験方法が異なれば、受験倍率や受かりやすさも当然異なります。大学入学共通テストでは点数を取れるものの、大学個別の試験や国公立の二次試験が苦手という方もいます。逆のパターンもあるでしょう。まずは、偏差値を参考にして気になる大学の募集要項(今年度がまだであれば前年度)を確認し、過去問にチャレンジして、「自分のレベルに合うかどうか、問題のスタイルが自分にとって点数を取りやすいかどうか」を見極めて、自分に有利な受験スタイルを選んでみましょう。早めに受験スタイルを見つけることが、効率のいい受験スケジュールを見つけることにもなります。
自分の受験スタイルとお金の都合をすり合わせる
受験をするための塾代や予備校代の費用で大変になっている親に、これ以上の負担をお願いできるかというのは、親子間でも難しい話題です。すでに塾代などで教育費が家計に負担をかけている状態で、「後は奨学金でまかなえばいい。」と考えているご家庭もあります。しかし、奨学金は「入学後」に支給されるため、もし、入学前の費用が不足するのであれば、教育ローンなどの申し込みも選択肢に上がってくるということを親と話し合っておきたいものです。奨学金は、「子どもが借りて子ども自身が返済していく借金」ですが、教育ローンは「親が借りて親が返済していく借金」となるからです。
募集要項から学費を確認することはあるでしょうが、それまでにかかる費用もばかになりません。以下の受験料を見てみてください。
大学の受験料(入学検定料)
下記出典をもとに筆者が作成出典:(公財)生命保険文化センターHP「大学受験から入学までにかかる費用はどれくらい?」
https://www.jili.or.jp/lifeplan/lifeevent/764.html
受験スタイルを決めて、親と受験スケジュールを考えていくときに、上記の「受験料」について忘れないように親に準備をお願いしましょう。例えば、大学入学共通テストを利用せず、個別に私立大学を受験していくとなると、例えば10校、もしくは10学部ではそのまま30,000円×10校・学部=300,000円という金額になります。大学によっては、複数の学部を受験する際の減免制度もありますが、受験スタイルによって、金額も変わること、受験費用は受験する際、「直ちに」支払う費用ですから、あらかじめの準備が必要となります。
親がいくら受験生である子どもの希望に寄り添いたいと思っても、子どもの教育費が家計に負担をかけてしまうと、その後の生活がとても厳しくなってしまうことがあります。不足する教育費を「奨学金や教育ローンに頼る」「子どもがアルバイトすればいい。」など、その場しのぎの対策で補ってしまうと、将来的に親の老後資金が不足したりとしわよせが生じます。夏休みが終わり、受験校が本決まりしていない今だからこそ、親子で受験スタイルと受験スケジュール、費用をおおよそで構いませんので話し合っておきたいものです。
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- プロフィール : 當舎 緑(とうしゃ みどり)
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社会保険労務士。行政書士。CFP®
一男二女の母。阪神淡路大震災の経験から、法律やお金の大切さを実感し、開業後は、顧問先の会社の労働保険関係や社会保険関係の手続き、相談にのる傍ら、一般消費者向けのセミナーや執筆活動も精力的に行っている。得意テーマは、教育資金の準備方法、社会保険の仕組み、エンディングノートの作り方、これから始めるやさしい終活、成年後見の活用方法、銀行を介さない家族信託の仕組みなど。著書は、『3級FP過去問題集』(金融ブックス)『子どもにかけるお金の本』(主婦の友社)など。
子どもにかけるお金を考える会メンバー
http://childmoney.grupo.jp/
一般社団法人かながわFP生活相談センター理事
http://kanagawafpsoudan.jimdo.com/
- オフィシャルWebサイト
- http://tosha.grupo.jp/