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進学NEWS
2023.09.01

イマドキ大学生のお金の管理方法はこうする!

2023年は、接客娯楽業や観光業などが活性化したことにより、減少していたアルバイト活動なども回復してきています。それに伴い、大学生もアルバイトで収入を得やすくなってきています。今回は大学生協から公開されているプレスリリース(第58回学生生活実態調査 概要報告。速報版は令和5年1月23日に公開済)から、大学生の収入と支出を把握し、お金の管理に役立つ方法をお話します。


「学生生活の経済状況を把握しよう」

今回の調査結果は、2022年の数字ですので、新型コロナウイルス感染症の影響による行動規制がまだある状況ですが、学生のお金事情を把握する目安とはなります。

プレスリリースから、まず自宅生の生活費を見てみましょう(参考:https://www.univcoop.or.jp/press/life/report.html)。1ヶ月の「アルバイト収入」は40,910円で、その他、小遣いや奨学金を含めた収入合計は64,350円です。

一方、支出合計は食費や交通費などで63,580円です。2020年、2021年よりも「教養娯楽費」「交通費」「食費」の支出が増え、「貯金・繰越金」は減少し、16,950円です。

次に、下宿生の生活費を見てみましょう。収入合計は奨学金を含めて124,290円。収入の中で注目すべきは、費目別で「仕送り」が67,650円と前年から4,230円減少して、調査されている82年以降の中で最少額となっている点です。しかも、仕送り「0円」の下宿生が8.3%(前年+0.8ポイント)、「5万円未満(0を除く)」が18.4%(前年+2.4ポイント)と増加しており、政府の賃上げの方針が家庭まで浸透しておらず、仕送りがなかなかできていない現状がうかがえます。

一方、下宿生の支出合計は123,630円で前年よりも1,410円減少。食費は24,130円、住居費は53,020円と、自宅生よりもかかってしまうのは仕方ありませんが、全体として、仕送り額の減少を食費・電話代等の減少で補っている状況が見られます。いずれにしても、「アルバイト」や「奨学金」、「親からの仕送り」で収入が成り立っており、その中で学生がやりくりして、かつ「貯蓄・繰越金」も12,970円あるというお金事情がわかります。


早くから奨学金の返還を心掛ける

自宅生では、親からの小遣いは10,980円、下宿生は親からの仕送りが67,650円ということで、これにアルバイト収入を足すだけでは、豊かな学生生活を送ることが困難に見えます。保護者の方で、「子どもが大学生になったら、お金のことは自分でなんとかするだろう。」と言う方もいますが、子どもが大学生になっても学費だけでないお金の支援はやめることがなかなかできないという不安な状態は続くでしょう。

収入のうち奨学金も不安要素のひとつです。学生の30.8%が奨学金受給者であるのに、返済不要の給付型はそのうち約1割。この調査によると、貸与型奨学金受給者の71.6%が返還に不安を感じているようです。

今回の調査の特徴としては、前年より仕送りが減額するなか、自宅生と同様に行動制約緩和に伴う費用が増加していることです。ただ、食費などを減らすこと、もしくはアルバイト収入を増やすという選択肢は、学生が本業であることを考えると難しいこともあるでしょう。

そんな中、どんなやりくりをすればいいのか。それは、「貯蓄・繰越金」に注目してみましょう。自宅生であれば16,950円、下宿生であれば12,970円あります。もう一点見ていただきたいのは、奨学金は、自宅生であれば10,220円、下宿生であれば20,640円の収入となっている点です。例えば自宅生であれば、奨学金を借りる必要はないのかもしれません。この、繰越金を放置せず、まずは「借金を返済する」という明確な目標を持ち、「早めに奨学金を返還する」ことを心掛けたいものです。


貯蓄から投資への流れは学生時代から始めたい

もし、奨学金を受給していないのであれば、社会人になる前に貯蓄の練習として、投資を始めてみましょう。2024年には新NISA制度の改正も控えており、今後は、将来のために「投資をする」ことはより身近になってくるはずです。

今でもきっと「これをすればもうかる」という言葉を知人や友人からかけられ、興味をいだくことは珍しくはないでしょう。ただ、国民生活センターに大学生から寄せられた相談の中には、暗号資産(仮想通貨)に関する件が多数あります。国民生活センターのウェブサイトから最近の相談事例をみると「SNSやマッチングアプリで知り合った相手から勧誘されて送金したが、出金できなくなった」など、SNSやマッチングアプリをきっかけとしたトラブルも目立っているようです。また、「暗号資産でもうかる。人を紹介すれば紹介料も入る」と勧誘されお金を預けたが、出金できない、返金されないといったケースもみられます。

学生が卒業後、働いて給料を得られるようになったとしても、このようなケースで騙されないよう、たまっていくお金を正しく投資に回せるよう、少額から投資を始めましょう。ポイントなどで投資できるものや、ワンコインからでも投資は始められます。

まったくリスクのない投資はありません。自分が許容できるリスクの幅はひとそれぞれです。たとえ、家族や知人、友人からのススメであったとしても、必ず自分自身の手でも調べてみて自分のペースで、時間を味方につけられる投資を始めてみましょう。


参考資料:
金融庁「新しいNISAのポイント」
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/nisa2024/index.html
知るポルト(金融広報中央委員会)「資産形成」
https://www.shiruporuto.jp/public/knowledge/assets/
国民生活センター「その話、うのみにしないで」
https://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20220804_1.pdf
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[當舎 緑]
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プロフィール : 當舎 緑(とうしゃ みどり)

社会保険労務士。行政書士。CFP®

一男二女の母。阪神淡路大震災の経験から、法律やお金の大切さを実感し、開業後は、顧問先の会社の労働保険関係や社会保険関係の手続き、相談にのる傍ら、一般消費者向けのセミナーや執筆活動も精力的に行っている。得意テーマは、教育資金の準備方法、社会保険の仕組み、エンディングノートの作り方、これから始めるやさしい終活、成年後見の活用方法、銀行を介さない家族信託の仕組みなど。著書は、『3級FP過去問題集』(金融ブックス)『子どもにかけるお金の本』(主婦の友社)など。

子どもにかけるお金を考える会メンバー

http://childmoney.grupo.jp/

一般社団法人かながわFP生活相談センター理事

http://kanagawafpsoudan.jimdo.com/

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