教育期間が延びている!? いざという時のために、考えておきたい受験の出口
高等教育機関への進学率は過去最高
文部科学省「令和3年度学校基本調査」によると、大学・短期大学・専門学校などへの進学率は、83.8%で、過去最高となりました。高校卒業後は「進学」が一般的になり、4年制大学への進学率は54.9%。大学卒業者の大学院への進学率も11.8%といずれも過去最高で、教育を受ける期間は確実に延びていると言えそうです。
世の中のしくみの複雑化や技術の進化は、今後も続きます。社会が進歩するほど、求められる知識やスキルも高度になり、変化していくことでしょう。つまり、身につける知識・技術の量や質の高まりは、獲得までに相当の期間が必要なため、大学等への進学率を押し上げる一因になっていると考えられます。
いざという時のために、受験結果から「その先の進路」をイメージする
受験が迫ると、受験生は実力を発揮できるかどうかなどの不安がつきまとうでしょう。ただ、保護者としては冷静に判断し、対応していくことが大切です。そこで、大学等の受験結果からその先の進路を下図で整理してみました。
通常、受験校を決める時は、本人の希望はもちろん、学力やかかる費用、進学先の環境などを考慮して総合的に判断します。ここでの「志望校」は第一志望に限らず、受験する本人が積極的に進学したい大学等を指すものとします。対して「安全校」は、受験結果で進学することになる大学等です。第一志望に進学できれば理想ですが、こだわりすぎると選択肢を狭めてしまうかもしれません。ネームバリュー等に偏りすぎず、何を学ぶかの情報をしっかり集めて判断しましょう。
一方で不合格となった場合は、「再受験」か「方向転換」を考えることになります。1年間予備校などに通って再受験となれば、大手予備校にかかる費用は、大学の授業料等の1年分に匹敵します。予備校に通う場合は、準備した教育資金の一部を使うことになるかもしれないので、資金面の軌道修正も併せて考えることになります。
もう1つの選択肢「方向転換」は、受験時期が遅めの専門学校への出願や、家計の急変などで本人が働くことも視野に入れた通信制の大学等への進学などを指しています。志望校に進学できた場合でも、家庭の事情が変わることもあり得ます。情報を集めておけば、いざという時に慌てずに済むかもしれません。
資格取得が目的なら現役合格を目指す
医師、薬剤師などの国家資格を目指す人であれば、進むべき学部・学科は決まっています。同じ国家資格でも理学療法士、看護師、栄養士などは、特定の大学・学科等だけではなく、専門学校で取得できる場合もあります。
目指す資格が決まっている場合は、進学後も資格取得の勉強が待っているので、現役進学を第一に考えたいところです。もしもの場合に、目指す資格の勉強ができて遅めの出願でも可能な専門学校等の情報があれば、得ておきましょう。
また、1年後に再受験をすることになった場合でも「浪人は1年だけ」など、家族で話し合ってルールを決めることが大切です。時間と資金の目途をつけることで、受験する本人も支える家族も頑張れるというものです。
働きながら学ぶのも1つの方法
ハードな選択ではありますが、働きながら学ぶという方法もあります。厚生労働省の調査(*)では、新規学卒者の就職後3年以内の離職状況は、短大等で41.1%、大学で31.1%。大学等を卒業して就職しても、3年で3分の1が離職・転職するという現実があります。
社会の変化に伴い、今後は1つの知識やスキルを深めるだけでなく、関連する分野を融合させてキャリアをつけていく方向にシフトすることが予測されます。保護者としてできることに限りはありますが、社会で通用する力をつけるための出口は、一度だけではなく、これから先も続いていくという意識だけは持っておきたいものです。
- ハッシュタグで関連記事を見てみる