category:進学費用親子で読みたい
進学NEWS
2022.10.01

塾や予備校、どこまで費用をかけるべき?

家計の見直し―子どもが高校2年生までの場合

子どもが高校1年生もしくは2年生であれば、教育費の負担が一気に重くなる受験生になるまで、貯蓄のための猶予期間が少しあります。ただ、NISAや学資保険、定期預金など「貯蓄する」ための商品を利用できるほどの時間はありません。例えばひと月2万円ずつ貯めていくなどのように、毎月の生活費とは別枠でコツコツ貯蓄するくらいしかできないでしょう。

日本政策金融公庫の令和3年度「教育費負担の実態調査」によると、高校入学から大学卒業まで教育費用は総額942.5万円もかかるそうです。前年調査より22.6万円減少しているものの、とても大きい金額であることがわかります。少しでも教育費の足しになるよう「ちりも積もれば山となる」を目標に、月々1,000円、5,000円、10,000円ずつなど、少しずつでも貯めることに意味があります。

高校の就学援助を受けているご家庭でも、塾や予備校の費用に援助はありません。オンラインか対面かなど、塾・予備校を選ぶときの決め手は人それぞれ異なるでしょうが、費用に関しては、高校3年生の1年間で大体100万円程度かかると考えておきましょう(大手予備校4社から筆者調べ)。ネット申し込みや説明会参加で入学金の減額を狙う、オプション講座の科目数を減らすなど、こまごました費用を節約する方法がありますので、高校2年生までに、塾の特徴とあわせて来るべき受験年度にかかる費用をしっかりと調べておきましょう。

家計の見直し―子どもが受験生の場合

お子さんが受験生の場合、夏期講習が終われば、冬期講習や直前講習などの申し込みが始まり、申し込めばすぐ入金、あとは受験まで待ったなしとなるので、この時期の節約は難しくなります。ここまで子どもに言われるままに塾・予備校代を支払っていたご家庭は、少しふりかえってみてください。

教育費を家計の口座に生活費と一緒にし、別建てしていなかった場合には、ここまでにかかった教育費を考えて、今後どこから費用を捻出していくのか、どこまで費用をかけられるのか計画をたてましょう。

先ほどご紹介した日本政策金融公庫の調査によると、「入学時費用は高校35万円、大学は81万円」かかる結果となっています。この入学時費用には、①受験費用②学校納付金③入学しなかった学校への納付金などが含まれます。

まず受験を乗り切るまでに、冬期講習やオプション講座を含めた塾・予備校にかかる費用、受験料に進学しない学校への納付金などを含めて、我が家ではいったいいくらになるかを確認しておきましょう。そして、この総額を考えて、その後の入学金や授業料の支払まで可能なのかを検討します。もし少し難しいなら、塾・予備校の冬期講習はやめて独学で頑張ってもらう、受験校の数を減らすなど、少しでも費用を抑える方法を考える必要があります。

家計の中で教育費にいくらかけるか、子どもたちそれぞれにかける教育費のバランスをどうするか

塾・予備校代や受験そのものにかかる費用を確認した後にしていただきたいこと。それはバランスを見ることです。もし兄弟がいるのであれば、今後、ほかの兄弟にも教育費を同じようにかけられるのか、兄弟間でのバランスと、今後必要になる老後資金とのバランスの2つです。

親としては、どの子も同じように教育費をかけたいと思うでしょうが、かなうケースは多くありません。また、教育費の負担が重くなると、親の老後資金が少なくなります。晩婚化や高齢出産により、教育費がかかる(進学費用を貯めるのも含めて)のと並行して老後資金を準備したほうがいいケースもあります。

よく聞かれる「老後資金として2,000万円が必要」だというのはだれにでもあてはまるものではありませんが、目安にはなります。教育費をかければ老後資金は少なくなる、教育費が節約できれば老後資金が増えるという単純な法則は忘れないでください。一方で、「教育費が足りないのなら、奨学金や教育ローンを借りればいい」という安易な考えは持たないようにしたいものです。

ハッシュタグで関連記事を見てみる
#ファイナンシャルプランナー , #塾・予備校の費用 , #當舎緑
[當舎 緑]
tousha.jpg
プロフィール : 當舎 緑(とうしゃ みどり)

社会保険労務士。行政書士。CFP®

一男二女の母。阪神淡路大震災の経験から、法律やお金の大切さを実感し、開業後は、顧問先の会社の労働保険関係や社会保険関係の手続き、相談にのる傍ら、一般消費者向けのセミナーや執筆活動も精力的に行っている。得意テーマは、教育資金の準備方法、社会保険の仕組み、エンディングノートの作り方、これから始めるやさしい終活、成年後見の活用方法、銀行を介さない家族信託の仕組みなど。著書は、『3級FP過去問題集』(金融ブックス)『子どもにかけるお金の本』(主婦の友社)など。

子どもにかけるお金を考える会メンバー

http://childmoney.grupo.jp/

一般社団法人かながわFP生活相談センター理事

http://kanagawafpsoudan.jimdo.com/

インフォメーション