月々のお小遣いのなかで、子どもに何をどこまで負担してもらう?
小遣いは子どもの生活費
小遣いは、子どもが家族の一員であることを理由として、親から自由に使うことを許されるお金のことです。高校生の場合、1か月あたりおよそ数千円から1万円程度というところでしょうか。中にはゼロ円や数万円という子もいて、小遣い額についてのいくつかの調査の平均額ではとらえられない個人差があります。
金額に幅があるのは、家計の状況にもよりますが、小遣いでまかなわせる内容の違いもあります。
親が弁当を作って持たせるのと、昼食代込みで小遣い額が設定されているのとでは、1か月あたりの金額にはだいぶ差が出そうです。
いずれにしても、月々渡す小遣いで、子どもにどのような支出をどこまでまかなわせるのかは、小遣いの額を設定するときによく見極めるようにしましょう。
必要なモノ・コトに使ったうえで、やりくりをすれば欲しいモノ・コトも手に入れられるという成功体験ができる金額設定が望ましいと言えます。
グレーゾーンは、話し合って白黒に振り分け
小遣いでまかなう範囲を決めておいたとしても、親が想定していなかったり、親子で理解が異なる支出があることも。
一度渡してしまった小遣いは基本的に子どもの裁量に任せ、不足したら我慢させたり、前借で乗り切るように教えたりしたいものですが、子どもが親に「これは小遣いの範囲外の支出」と言って、支払いを求めてくることがあります。
そのような場合、親には無駄にしか見えない買い物が、子どもにとっては「絶対に必要!」ということもあるので、まず子どもの意見をしっかり聞いてみてください。
子どもの意見を聞いたうえで、なぜ親はだめと考えているのかを伝えつつも、一方的に押し付けることなく、その都度、話し合ってどちらが負担するのかを決めていくようにします。
話し合いを繰り返すうちに、親子間の小遣いに対するルールがこなれてきて、子どもは小遣いの範囲でやりくりする力をつけていきます。
子どものお金の勉強に向き合える最後のチャンス
子どもとの話し合いは、親にとってはかなりのエネルギーを要するものです。親の権限で「OK」「NO」と従わせるだけのほうが、よほど楽でしょう。
けれど、高校を卒業すると遠方の学校に進学して親元を離れる子どももいますし、身近で子どもを見守りつつ、親の意見を伝えられる機会は、子の成長とともに減っていきます。
子どもが社会に出る前の最後のお金の勉強の機会と考えて、子どもの小遣いに向き合うようにしたいものです。
子どもの小遣いを考えることは、家計を考えること
小遣いの額やまかなう範囲を決める時、家計を無視するわけにはいきません。子どもにとって必要と思われても、家計に大きな負担がかかるような金額を小遣いとして渡したら、家計は破綻してしまいます。
家族全員の収支のバランスをみて、子の進学費用も取り分けつつ、小遣い額を決定するプロセスがあるのです。
「子どもに小遣いで支払わせたい=家計からは支払いたくない」は、ともすると、親と子が相反する立場で敵同士のようにも見えてしまいますが、それは違います。
家計という家のお財布全体を守れる範囲の中で、子どもに小遣いという裁量権を持たせるのですから、親と子は協力関係にあるのです。協力関係にあることをふまえたうえで、互いの意見を理解できるように話し合うことを大切にし、家計管理の大切さについても子どもにわかるように伝えていきましょう。
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- プロフィール : 菅原 直子(すがわら なおこ)
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ファイナンシャル・プランナー(AFP)、教育資金コンサルタント
会計事務所向けオフコン販売、外資系生命保険会社勤務・同代理店経営を経て、1997年よりファイナンシャル・プランナー。公私立高校や自治体などで保護者・生徒・教員のための進学資金セミナーおよびライフプラン講座・相談会は関東を中心に10年以上にわたって300回超。新聞や雑誌への取材協力や執筆、働けない子どもに関する家計の相談も行う。地元湘南地域密着のFP活動も展開中。3男子の母。
■著書
共著『子どもにかけるお金の本』(主婦の友社)
『子どもの教育費これだけかかります』(日労研)
■所属団体
日本ファイナンシャル・プランナーズ協会
子どもにかけるお金を考える会
働けない子どものお金を考える会