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進学NEWS
2022.07.01
不合格になってしまったら浪人して再挑戦する?

受験の出口を子どもと決めて家計を崩れさせない!

浪人するかどうか考えるのは、「合格発表前」が最適

文部科学省のHPに記載されている「大学全入時代について」から抜粋した、以下の文章を読んでみてください。

「少子化と大学の入学定員の拡大が進行することに伴い、大学・短期大学の志願者のほとんどが入学できる状態になってきている。このことを形容する大学全入という言葉は、大学進学の需給関係の変化を象徴している。入学をめぐって激しい競争が行われる選抜性の強い大学が一部に存在する一方で、私立大学の47パーセント(平成20年度)は入学定員を充足できず、また、合格率が90パーセント以上という大学も100校以上存在する。」

と書かれています。

ここからわかるように、大学の入学者確保をめぐる状況は二極化しています。要は、どこでもよければ合格できるが、それは希望通りの学校に合格できることと同じ意味ではないということ。浪人するということは子どもにとって希望がかなわなかったということではあるのですが、どれほどの希望か、なぜそこを希望するのかなど、熱量を親としては見極めたいものです。

それは浪人するかどうかの大きな判断材料となります。そして、その見極めについての親子の話し合いは、合格発表の前をお勧めします。なぜ「前」なのかというと、落ち着いて親子で話し合うためです。

また、第一希望、実力相当、滑り止めなど複数校を受験するでしょう。実力相当校にはいくつか受かったが、第一志望校のみ合格できなかったなど、「合格できない」にもいくつかのケースがあるはずです。絶対、第一希望でないといけないのか、もしそうであればその理由を親子で確認しておくべきです。不合格だった時に考えればいいんじゃない?と思われるかもしれませんが、気分が落ち込んだ時でなく、冷静に判断ができる合格発表の前に親子で話し合っておきましょう。

浪人をした場合にかかる費用は高校3年生の時と同じといえない

親子で話し合った結果、浪人するとなった場合、高校三年生の時に受験を一回経験していますから、再度受験する場合の費用について概算はわかっているはずです。しかし、浪人生にかかる費用は、高校3年の時の費用と必ずしも同じではありません。

夏休みや冬休みなどに行われる特別講座の費用や、昨年よりも多くの学校を受験することにしたことによる受験料の増加、滑り止めに合格した場合の入学金など、不安解消のため、浪人生は現役生より何かと費用がかさみがちと言えます。

医学部や薬学部など、職業に直結する学部の場合には、1年に限らず合格するまで浪人を続けるという方もいるでしょう。浪人の方が費用はかかることを前提とし、通学する予備校や受講する講座については、子どもと一緒に費用を考えながら選ぶようにしましょう。

教育費を見直して家計を立て直すには

現役で合格して進学する予定だったのが浪人になることは、家計にとっては大打撃です。教育費が増加して、親の老後資金が削られるからです。ですから、浪人を親子で決めた時に、かける費用の上限をちゃんと決めておきましょう。

文部科学省の調査を見てみると、私立大学の初年度納付金(授業料、入学料、施設設備費の合計)については、対前年度比0.1%増の1,357,080円と、教育費は相変わらず高額なままです。浪人するのであれば、子どもにも、浪人中の予備校や塾の費用見込み、大学に入学した初年度は多額の教育費がかかること、そしてその後の修士や博士課程までの進学を希望するかどうかまで金銭面も含めてイメージさせておくべきでしょう。

希望校に不合格になったとしても滑り止めの大学進学後に仮面浪人して再受験する、3年次に編入するなど、浪人する以外に希望校へ進学する方法は多様化しています。浪人することにした今こそ、今後かかる費用を親がどこまで負担できるのかを子どもに知らせておくことで、進学から卒業までの具体的な将来の計画を立てやすくしてあげましょう。

日本人にありがちな「何となく」ではなく、親の援助にも限界があり、できることとできないことを事前に伝えておくことが、家計を崩れさせない方法といえます。

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[當舎 緑]
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プロフィール : 當舎 緑(とうしゃ みどり)

社会保険労務士。行政書士。CFP®

一男二女の母。阪神淡路大震災の経験から、法律やお金の大切さを実感し、開業後は、顧問先の会社の労働保険関係や社会保険関係の手続き、相談にのる傍ら、一般消費者向けのセミナーや執筆活動も精力的に行っている。得意テーマは、教育資金の準備方法、社会保険の仕組み、エンディングノートの作り方、これから始めるやさしい終活、成年後見の活用方法、銀行を介さない家族信託の仕組みなど。著書は、『3級FP過去問題集』(金融ブックス)『子どもにかけるお金の本』(主婦の友社)など。

子どもにかけるお金を考える会メンバー

http://childmoney.grupo.jp/

一般社団法人かながわFP生活相談センター理事

http://kanagawafpsoudan.jimdo.com/

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