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進学NEWS
2022.06.01

塾や予備校の費用、どこまで負担する? 捻出方法は?

高校生が学習塾に通う割合は4割弱

平成30年度子供の学習費調査(文部科学省)」によると、進学塾と補習塾を合わせても、高校生が学習塾に通っている割合は約4割です。

公立高3年間の平均は37.8%、私立高は38.2%で、いずれも学年が上がると通う割合も高くなり、3年生では公立、私立ともに42%台になります。

中学3年生では公立79.8%、私立62.6%ですから、高校入学で半数ほどが塾をやめる計算です。

学習塾費は払う人と払っていない人の差が大きい

同調査による学習塾費の1年間当たり平均額は、公立約11万円、私立約13万円で、公私立ともに学年が上がるにつれて多くなります。

学習塾費平均額

グラフの「学年」は調査対象者全員の平均額で、「通塾者」は実際に塾代をかけている人の平均額です。私立高校生が塾に通っている場合の3年間の塾代平均額は99万8,000円なので、ほぼ100万円が塾代としてかかっていることになります。

ただ、統計では、年間90万円以上の学習塾代を負担している家庭が公立高で1.9%、私立高で3.1%いるので、これらの人が平均額を押し上げていることも読み取れます。

塾に通っている人の半数は公立、私立ともに年間25万円までの支出ですから、その場合は3年間で75万円、1か月あたり2万円ほどの負担ということになります。

必要なら未来の教育資金から前借りを

高校時代は、大学や専門学校など上級学校の進学資金を貯める最後の追い込み時期ですから、塾代を捻出する余裕のない家庭は少なくないはずです。

特に、月謝制ではなく、半年分などをまとめて前払いするスタイルの予備校を選ぶと、毎月の家計のやりくりでは負担が難しいこともあります。

毎月の家計から捻出できなければ、すでに貯まっている上級学校の進学資金から「前借り」するしかありません。

前借りしてしまうと、本来つくはずだった利息が受け取れなくなりますし(今の利息は限りなくゼロに近いですが)、そもそも上級学校に支払う金額が不足するのですから、前借り分は、進学までに穴埋めする必要があります。

塾・予備校代は進学資金と綱引きの関係

子どもの進学に際しては、進学資金を用意することが保護者の最重要課題です。

経済的余力があるのなら塾や予備校の費用を払ってやってもかまいませんが、進学資金の用意がギリギリだったり、明らかに足りない場合は、親子で真剣に考えるべきですし、しっかり計算もしてみましょう。

高校時代に塾代を負担したばかりに、肝心の進学資金が足りなくなって教育ローンや貸与型奨学金を利用せざるを得なくなったら、その後の親子の家計やライフプランに大きな影響が生じるからです。

その塾・予備校に通うことが本当に必要なのかということを検討したり、コースを選ぶときは講義内容に加えて費用負担も考慮することが大切です。

保護者は、してやれることとやれないことを見極め、子どもに丁寧に説明してあげてください。

塾代の教育ローンは最後の選択肢、子のアルバイトを検討して

高校生が塾に通うと、学校と塾で時間に余裕はないと思いますが、家計で塾代の負担が難しい場合は子どもに稼いでもらうのも一つの方法です。

高校がアルバイトを禁止していても、高校生活に支障のない範囲であることやアルバイト代の使途によってはアルバイトを認めてくれる学校もあります。子ども自身が強く塾通いを希望するのなら、校則を確認し、先生に相談してみましょう。

また、教育ローンを借りて塾代をまかなうことも可能といえば可能です。金融機関によって条件はさまざまですが、基本的には金利の低いものを選ぶようにしてください。

高校時代の塾代を借り入れに頼るということは(すでに貯めてある進学資金の前借りではなく)、進学費用をまったく用意できていないということです。

大学や専門学校の費用も貸与型奨学金や教育ローンに頼る状況になることが目に見えていますから、さらに塾代まで借り入れるのは無謀です。

お金の面からは塾通いはおススメできません。

それでも、どうしても、高校だけでは上級学校選びや子どもの人生に関わるから塾に行く必要があるということでしたら、よくよく計算して考えて教育ローンの利用を選択肢の最後に加えてください。

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#ファイナンシャルプランナー , #塾や予備校の費用 , #教育費 , #菅原直子
[菅原 直子]
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プロフィール : 菅原 直子(すがわら なおこ)

ファイナンシャル・プランナー(AFP)、教育資金コンサルタント

会計事務所向けオフコン販売、外資系生命保険会社勤務・同代理店経営を経て、1997年よりファイナンシャル・プランナー。公私立高校や自治体などで保護者・生徒・教員のための進学資金セミナーおよびライフプラン講座・相談会は関東を中心に10年以上にわたって300回超。新聞や雑誌への取材協力や執筆、働けない子どもに関する家計の相談も行う。地元湘南地域密着のFP活動も展開中。3男子の母。

■著書

共著『子どもにかけるお金の本』(主婦の友社)

『子どもの教育費これだけかかります』(日労研)


■所属団体

日本ファイナンシャル・プランナーズ協会

子どもにかけるお金を考える会

働けない子どものお金を考える会

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