お小遣い? 保護者が出す? グレーゾーンの支出
お小遣いは家計管理の実践練習
子どものお小遣いには、「将来自立して生活するための金銭管理入門」という大切な役割があります。
家計管理の基本は、住居費、水道光熱費、食費など、生活に欠かせない費目を見積り、その後に服飾費、交際費などにどの程度使えるかを考えます。お小遣いも同じで、まずは文具代など学業に必要なものを先取りして、その後に自由に使えるお金でやりくりをする実践練習です。
高校生くらいになると、アルバイトなどで収入を得る機会もあるでしょう。お小遣いは、「家族からもらう」と「自分で稼ぐ」の2通りがあるので、自分の収入があるとお小遣いで賄える範囲が広がります。
ただ、家庭の経済事情はそれぞれで正解がないため、何を保護者が負担して何を子どもに任せるのかは、悩ましいところです。そこで、データを参考にしながら、子ども本人の服飾費や交際費について考えてみましょう。
お小遣いはいくら? どこまで賄う?
SMBCコンシューマーファイナンス株式会社「10代の金銭感覚についての意識調査2021」(抜粋)で、収入面の実態をみてみましょう。
高校生が家族からもらうお小遣いの平均月額は約3,500円、アルバイト等の収入を含めると1万円くらいになるようです。大学生等では、家族からの8,200円程度に対し、アルバイト等の収入を含めた金額は、およそ3万2,000円へと大幅にアップします。
高校生 | 大学生等 | |
---|---|---|
お小遣い | 8,269円 | 3,547円 |
アルバイト等 | 6,694円 | 26,435円 |
アルバイトを含めたひと月の収入 | 10,389円 | 32,373円 |
この調査では高校生・大学生等がお金をかけたいと思う費目についての質問もあります。結果は、①交際、②ファッション・美容、③おやつ・外食、④音楽・アニメ(マンガ)、⑤趣味・勉強となっています。
家族からのお小遣いだけで支出を賄うとすれば、高校生の場合、すべて100円ショップで購入するにしても、月30アイテム程度です。他にも、放課後に友達とファーストフード店に寄るなら1回500円、読みたい新刊マンガを買うなら450円、聞き放題の音楽配信サービスの利用料は1か月1,000円程度かかるでしょう。文具や雑貨などはお小遣いで賄えるとしても、交際やファッション(服飾費)を賄うほどの余裕はなさそうです。
一方、アルバイトなどで自分の収入があれば、自分の判断で購入できる範囲はぐっと広がります。同調査での大学生等が得られるアルバイト代の平均額は、月2万6,000円余り。家族からのお小遣いも合わせると、3万2,000円を超えます。そうなると、充実させたい交際や服飾費などに少しは割り振ることもできそうです。
大学生等が自分の裁量で使える金額は月2万円!?
大学生等の生活費については、日本学生支援機構「令和2年度 学生生活調査」で年間支出額が公表されています。
それによると、支出の費目は、①食費、②住居・光熱費、③保健衛生費、④娯楽・し好費、⑤その他の日常費の5項目。大学生(昼間部)の年間平均支出額を個別に見ると、④娯楽・し好費13万300円、⑤その他の日常費14万1300円となっています。この2項目を合わせた1か月の支出は2万2,000円余り。交際費や服飾費、趣味などの費用はこの中で賄うことになります。
交際費の特徴は、飲食代、電車・バス代、利用料、プレゼント代など、その内訳が多岐に渡ることです。交際範囲や行動範囲が広がるほど、全体的に支出が底上げされる費目になります。一方、服飾費は、新品・中古品、高級品・廉価品など選択肢の幅が広く、比較的支出の調節がしやすい費目です。
イレギュラーな大型支出を確認する
一般的に、保護者には子どもの教育費の負担があります。養育として、①食費、②住居・光熱費、③保健衛生費の援助はするけれど、④娯楽・し好費、⑤その他の日常費の支出については、子どもに賄ってほしいというのが正直なところかもしれません。
その中でどちらが負担するかグレーゾーンになりやすいのは、イレギュラーな出費でしょう。例えば、式典や就職活動の服飾一式、行事として実施される合宿や研修などの費用、情報・通信端末(パソコンやスマホ等)などがあげられます。家庭の経済事情によりますが、生活費で対応できない大型の支出は、どんな費用がどのタイミングで必要になるかを、オンラインを含めた志望校見学などの機会に、確認してみるとよいでしょう。
ざっくばらんに話し合って「我が家流」を作る
ちなみにわが家では、通信費(スマホ)と昼食代、学業やお稽古事は保護者が負担し、年単位で欲しい物(新しいスポーツの道具など)は、子どもの誕生日などにプレゼント。それ以外は原則、アルバイトやお年玉などの収入で賄うよう話し合っていました。
ひと月の中でイレギュラーにかかる交際費や服飾費、合宿費など年単位でかかる大型支出をどうするか。
アルバイトを始めたり、大学や専門学校の進学等で一人暮らしをする前に、家族でお金の使い方について話し合ってみましょう。日ごろから家庭の経済事情や先輩からの情報などもざっくばらんに話題にすることをお勧めします。
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