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進学NEWS
2021.09.01

コロナ禍、自然災害など、緊急時の学資支援を知っておく

教育費負担が難しくなったら、まず学校へ相談を

コロナ禍の影響で経済が悪くなっている中で、休業などの影響で保護者の収入が減り、学生の中途退学が増えるという報道が一時されたこともありました。ただ、文部科学省の調査(新型コロナウイルス感染症の影響による学生等の学生生活に関する調査)によると、全国の大学・短大で2020年度に中退・休学した学生は、前年度から約2万1千人減の約12万5千人。つまり、今回の新型コロナウイルス感染拡大の影響による、保護者の収入減に伴う大学の中退などはあまりなかったということです。

文部科学省は、コロナ禍のもとでも中退・休学者が減った理由について、学費負担を心配する学生に対し、各大学が授業料減免や悩み相談などの支援に力を入れた結果とみているようです。今回のことを参考にいえるのは、保護者の経済状態が変化し、教育費の負担が困難になった場合、まずは「学校に相談する」ことが大事ということです。

日本学生支援機構には緊急時に使える奨学金がある

大学受験を控えた高校生が、高校を通じて予約採用を申し込む奨学金は申請時期が決まっていますが、決まった時期以外に申請できる、緊急の奨学金が日本学生支援機構にあります。

生計維持者の失職、破産、事故、病気、死亡等もしくは火災、風水害等の災害等により家計が急変し、緊急に奨学金の必要が生じた場合に、申し込むことができる奨学金です。緊急採用(第1種奨学金)、応急採用(第2種奨学金)、2種類の奨学金があり、いずれも年間を通じて随時申し込むことができます。

また、近年、災害が頻発に起こる日本では、災害救助法適用地域に居住する世帯で、当該の災害により家計が急変した家庭を対象とした奨学金もあります。

緊急時の奨学金を利用する際の注意点を知っておこう

緊急の際に利用できる奨学金制度の注意点をしっかり把握しておきましょう。

まず、奨学金の「家計急変」の理由をはっきりする必要があります。支援を受けられるかどうかは、学生本人もしくは生計維持者の収入や維持者の資産が確認されます。詳細については、学校に確認することが必要ですが、これまでに日本学生支援機構の奨学金を借りたことのある人は、申し込むことができない場合や、借りられる期間(貸与終期)が制限される場合があります。留年中、留学中の人は、申し込みできません。

また、学力基準もあります。大学等における学業成績が、平均水準以上である者、特定の分野において特に優れた資質・能力を有する者、大学等における学習に意欲があり、学業を確実に修了できる見込みがある者、その他特別の理由により、緊急採用の対象とすることが必要であると学校長が特に認める者というわけです。

奨学金は通常、学生本人が借りて、卒業後に本人が返済していくものですが、通常の借金などと異なり、生計維持者の所得要件があります。(※)父母ともにいる場合には、父母2人ともが生計維持者になります。両親が離婚したケースなどで、同居していなくても両親2人が生計維持者とみなされるケースもありますので、詳しくは、直接学校に問い合わせてみるといいでしょう。


2020年から始まっている「授業料減免」と「給付型奨学金」の制度は通常、春と秋の2回の申請になりますが、今回、新型コロナウイルス感染症の影響で、随時の受付をしています。


保護者の収入が激変した、学生本人のアルバイト収入が減ったなど、家計が急変した、被災したなど何らかの事情がある場合には、いきなり休学や退学を考えなくても、守ってくれる制度が必ずあることを覚えておきましょう。


※コラム中、「生計維持者」というのは、今回の「緊急採用」「応急採用」奨学金だけではなく、それ以外の日本学生支援機構の奨学金の採用がされる場合も含む定義。

[當舎 緑]
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プロフィール : 當舎 緑(とうしゃ みどり)

社会保険労務士。行政書士。CFP®

一男二女の母。阪神淡路大震災の経験から、法律やお金の大切さを実感し、開業後は、顧問先の会社の労働保険関係や社会保険関係の手続き、相談にのる傍ら、一般消費者向けのセミナーや執筆活動も精力的に行っている。得意テーマは、教育資金の準備方法、社会保険の仕組み、エンディングノートの作り方、これから始めるやさしい終活、成年後見の活用方法、銀行を介さない家族信託の仕組みなど。著書は、『3級FP過去問題集』(金融ブックス)『子どもにかけるお金の本』(主婦の友社)など。

子どもにかけるお金を考える会メンバー

http://childmoney.grupo.jp/

一般社団法人かながわFP生活相談センター理事

http://kanagawafpsoudan.jimdo.com/

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