進学資金の不足は、奨学金を上手に使って乗り切ろう
奨学金って、そもそもどういうモノ?
奨学金は、学業を続けるための費用を、学生自身がもらったり借りたりするものです。使い道は学費に限定されているわけではなく、学生の生活費などに使うことも可能です。
代表的なものに日本学生支援機構(JASSO)という団体の奨学金制度があり、進学先の大学や専門学校、民間の団体や会社、地方自治体なども奨学金制度の用意をしていることがあります。
返済の有無で2つのタイプに分かれ、借りるタイプを「貸与型」、もらうタイプを「給付型」と区別します。多くの大学生や専門学校生が利用しているのは「貸与型」です。
貸与型は学生自身がお金を借り、返済義務も負います。返済開始は通常、大学や専門学校を卒業してからです。多くの学生が利用している日本学生支援機構の場合は、3月に卒業すると、半年経過した10月から返済が始まります。
奨学金制度では返済することを「返還」と称することが多いので、ここからは「返還」と表記します。
返還義務のない給付型の利用を希望する人は多いと思いますが、給付型は貸与型に比べて利用できる人が限られています。国の「高等教育の就学支援新制度」による授業料等減免とセットの給付奨学金は、生活保護世帯など極めて経済的に厳しい家庭の学生が対象となっています。
奨学金を正しく恐れる
通常、「給付型」は「貸与型」に比べて利用条件が厳しく、かかる学費に加えて学生生活費すべてをまかなえるだけの給付額はないことから、「給付型」を受け取っている学生も「貸与型」を上乗せして利用するケースは少なくありません。
つまり、進学資金が足りない場合、貸与型奨学金についての知識は欠かせないということになります。
「貸与型」の「返還義務」については、借りる前にその実態を十分に理解しましょう。自分が返せる金額だけを借りれば返還できるはずですから、「返還が大変だから、奨学金と言えど借金はやめるべき」と決めつけるのではなく、どこまでが大丈夫で、どこからが危ないのかを理解することこそが大切なのです。
奨学金を借りることすべてを危険と考えて進学をあきらめるのではなく、学ぶ機会を失わずに済む借り方を見極めるようにするのです。
「貸与型」には、利子アリと利子ナシがあります。
利子アリの有利子(ゆうりし)は利子の負担が重くて、いわゆる「奨学金破産」につながるから危険と言われることもありますが、むやみに恐れることはありません。
日本学生支援機構の場合、利子の計算をするための利率は年間最大3%と法律で決められていて、それより高い利子がつくことはないのです。昨年、令和元年度の利率は0.015~0.156%(貸与終了月によって異なる)でした。住宅ローンの利率と比べても低いですし、担保なしで借りられるお金としては極めて良心的と言えるでしょう。
利子の負担は決して大きいわけではないのです。それよりも、主に元本の返還額の重みを十分に理解しないまま、目の前の支払いのためにゆとりをもって多めの金額を借りてしまったり、奨学金を確実に返還できる給料を得ることを優先して就職先を選ぶことを意識できないことの方が危険なのです。
確実に返還するためのライフプラン立案は、奨学金手続き前の高校2年生のうちに
奨学金申込をする機会は主に2回。高校3年生の5~6月に行う「予約採用」と、大学・専門学校進学後の春に行う「在学採用」です。申し込める条件が少し異なるので、奨学金を利用したいと考えている高校生は、まずは予約申込をするといいでしょう。
予約申込の際、毎月の貸与額を選択しなければなりません。実際に進学した学校によって貸与額の選択肢に違いがあるので、この時点では「仮の貸与額」ということになります。
この「仮貸与額」×12か月×〇年間の計算式から貸与総額を算出し、専用サイトで返還シミュレーションを行います。子どもが何歳になるまで返還が続くのか、ライフプラン上で支出期間を確認してください。
働き始めたらどれくらいの収入が必要なのか、新たな家族を迎えても家計は成り立つのかなど、現実に即した数字でシミュレーションしてみてください。
借りる前に確かな計画を作り、借りるべき金額と将来の返還額をすり合わせて無理なく返還できる貸与額を選択し、安心して進学できるようにしてください。