category:進路選択親子で読みたい
進学NEWS
2026.09.01

好きなこと、やりたいことがありすぎて進路が決められず悩んでいます。

これが好き、あれもやってみたい、あっちも捨てがたい。
そのように、興味があることがいくつもあって、進路をどう選べばいいかわからなくなっている方はいないでしょうか。

「何かに絞らないといけない」と考えると、なんだか苦しくなる。
周りには「自分の道はこれ!」とはっきり決めている友達もいて、余計に焦ってしまう。

今回は、そんな「好きなことややりたいことがたくさんあって決められない」という状況にいるあなたに向けて、進路を考えるヒントをお伝えしたいと思います。

■ 必ずしも一つのことを極めなくてもいい

まず、そのように色々やりたいことがある方にお伝えしておきたいことがあります。もしあなたが「何か一つのことを極めなくてはいけない」と考えているなら、必ずしもそうではないということです。

確かに「何かを極めた人がすごい」というイメージが世の中にはありますし、そういった方のことは私も尊敬しています。
だからその裏返しで、「色々なことに興味があって決められない自分は、中途半端でダメなんじゃないか」そんなふうに感じてしまってはいませんか。

ですが、私は高校生のうちから「これも好き」「あれも面白い」と感じられるものがたくさんあるということは、とても素敵なことだと思うのです。
さらに言えば、今の時代は「一つの分野を極めた人」だけが求められているわけではありません。社会が複雑になるなかで、複数の分野をつなげられる人の存在が、むしろ重要になってきています。

実際に、社会のグローバル化やデジタル化が急速に進むなかで、幅広い視野を持った人材の育成が重視され、文理融合型の学部やカリキュラムをつくる動きが活発になっています。

つまり、あなたが「あれもこれも気になる」と感じているその感覚は、時代が求めている力とむしろ重なっているのかもしれません。

■ 中身を分解すると、共通する軸が見えてくる場合も

とはいえ、進路選択では、選択肢を絞る場面が出てきますよね。

たくさんの「好き」「やりたい」があるとき一つに絞ろうとすると、何かを捨てる感覚になってしまうことがあると思います。また、選択肢が多いと、何が自分にとって大切な判断軸なのかが見えなくなって混乱してしまうこともあるでしょう。

そこでおすすめしたいのが、それぞれの「好き」「やりたい」の中身を分解してみることです。

たとえば「音楽が好き」という場合、
演奏したり歌ったりと表現するのが好きなのか。
曲の構造を分析するのが好きなのか。
誰かと一緒に作り上げるのが好きなのか。
音楽を聴くことそのものが好きなのか。

「技術系のことをやりたい」という場合、
仕組みを解明するのが好きなのか。
手を動かして作るのが好きなのか。
論理的に考えること自体が楽しいのか。
手に職をつけることが大切なのか。

「人の心に興味がある」という場合、
人の話を聴くのが好きなのか。
なぜそうなるか仕組みを知るのが好きなのか。
人をサポートするのが好きなのか。
人の行動の背景にある気持ちを想像するのが好きなのか。

こうして「好き」を動詞のレベルまで掘っていくと、一見バラバラに見えていた複数の好きに、共通する「核」のようなものが見えてくることがあります。

たとえば、先ほどの例だとどれにも「仕組みを解き明かすのが好き」という要素と「誰かと一緒に何かを生み出したい」という気持ちが共通していますね。それが、今のあなたの大切にしたい軸です。

その軸を大切にできる分野であれば、何をするかというところは、もしかしたらそこまでこだわりすぎなくてもいいのかもしれません。

軸を大切にできるような選択肢であれば、学力、家からの距離、学費など現実的な条件が合うところで絞っていくのもいいと思いますし、それでも絞れなければ、最後はオープンキャンパスに行ったときの雰囲気といった感覚的なもので決めてもいいのではないでしょうか。

■ 絞れないときは「絞らなくていい道」も視野に入れてみて

さらに、絞らなくてもいい学部を選ぶというのも手だと思います。

先ほどお伝えしたように、幅広い視野を持った人材を育てるべくリベラルアーツ系や国際教養系の学部を設けている大学があります。そのような学部では、入学してから1年半〜2年かけて専門を決められる仕組みを持っていて、幅広い分野に触れながら、学びのなかで自分の専門を選んでいくというスタイルが可能です。

また、「好き」「やりたい」は掛け合わせて仕事にすることができます。

たとえば、先ほど挙げたように音楽と技術、人の心に興味があるなら、コンサートの音響を作るサウンドエンジニアや、音の仕組みを研究する音響工学を学ぶ道があります。さらに、音楽・技術・人の心、この3つすべてを活かせる仕事としてゲームやアプリの音の設計というものもあります。「この場面ではどんな音が流れると人の心が動くのか」を、音楽の感性と技術と、人の心への理解を全部使って作っていきます。
このように社会に出ると「複数の領域をつなげられる人」が、独自の価値を生み出していることは珍しくありません。

一度立ち止まって、自分の内側にある「好き」「やりたい」という気持ちに耳を傾けてみてください。そのうえで、進路選択において自分が何を大切にしたいのかを、考え、感じながら選んでいっていただけたらと思います。
そうやって自分で選んだ道ならどんな道でも今後のあなたの糧になっていくはずです。

☆ 小さな一歩が未来を変える。今、前に進むための質問

あなたのたくさんの「好き」「やりたい」を分解して紙に書き出してみましょう。
書き終わったら、そこに共通するものがないか眺めてみてください。それが、あなたの軸のヒントになるかもしれません。

[中村 文香]
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プロフィール : 中村 文香(なかむら あやか)

U-Discovery代表。国家資格キャリアコンサルタント。高校生からミドル世代まで、キャリアの転換期における意思決定や、周囲と協力しキャリアを築いていくためのサポートを行なっている。高校の進路選択では、人の心に関わる分野に興味がありながらも、就職で潰しがきくと、工学部を選択。北海道大学総合科学院総合化学専攻修了後、電子機器メーカーにて研究開発に従事。三十歳を目前に、今後のキャリアで本気で取り組みたいことを考えた結果、学生時代から関心のあったキャリア支援の道への転向を決意。同企業の人事部を経て独立。理系出身の分析力と大幅なキャリアチェンジの経験を活かした視点や、楽しみながらキャリアに取り組めるワークが好評。

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