category:進路選択親子で読みたい
進学NEWS
2026.05.01

文理選択を「周りの声」で決めるデメリット----あとから後悔しても遅い?

文理選択の時期が近づくと、こんな声があちこちから聞こえてきます。
「理系の方が就職に強いらしいよ」
「文系を選ぶ人の方が多いから、文系にしておけば安心じゃない?」
「数学が苦手なら文系でしょ」「英語が苦手だから理系かな」

でも、その「誰かが言ってるから」とか「世の中的にはこうらしい」という声からくるイメージだけで文理選択をするのはちょっと危険かもしれません。

今回は、そんな文理選択をどう捉えていったらいいかについて考えてみましょう。

■ 「みんなが言ってるから」----その安心感、本当?

よく耳にする文理選択の「よく聞く声」、実際のところどうなのでしょうか。
まずは、代表的なものを一緒に見てみましょう。

「理系の方が就職に強い」
確かに、エンジニアや研究職など理系でないとなれない職種や、かなり有利になる職種はあります。
ただ、文系出身でIT企業に就職する人も増えていますし、理系出身でも営業やマーケティング、教育など、学んだ専門とは異なる分野で活躍している人はたくさんいます。
私自身、理系出身からキャリア支援という文系職種へ転向したひとりです。「理系=就職に強い」は部分的には正しいですが、自分の興味や強みと切り離して考えると、進んだ先でのミスマッチにつながりやすく、たとえ就職できてもその先の継続がかなり辛いことになります。

「数学が苦手だから文系」 「英語が苦手だから理系」
文系に進んでも、経済学部や心理学部では統計や数学を使います。一方理系に進んでも論文は英語で書かれていることが多く、英語を使うことになります。
苦手教科の消去法だけで選んでしまうと、進んだ先で「こんなはずじゃなかった」となることがあります。今の段階での苦手意識だけで安直に選んでしまうのはおすすめできません。

「文系を選ぶ人の方が多いから安心」
たとえ多数派を選んだとしても、それがあなたに合うとは限りません。
例えばなんとなく多数派だからと文系で選んでしまって、あとから実は医療系の職種に興味があるとなった場合、理系の方が有利なため後悔することも。
また、多数決で決めた選択は、うまくいっているときはいいのですが、壁にぶつかったとき「なぜ自分はここにいるんだろう」という気持ちが出てきやすいのです。

このように、よく聞く声にそのまま身を委ねてしまうと、その瞬間は何かに乗って安心感を覚えることもあるかもしれませんが、自分があとから大変な思いをするかもしれません。

■ あとから気づいても遅い!?----文転・理転の現実

そして、もしあとから「やっぱり違った」と気づいたとき、どうしたらいいのでしょうか。

結論から言うと、文転・理転はできなくはありません。ただ、簡単ではないのも事実です。

高2以降にコースを変更しようとすると、選択していなかった科目の遅れを取り戻す必要があり、受験勉強との両立がかなり大変になります。

また、大学入学後の転部や、就職のタイミングでの方向転換、さらには働きながらの転職も、選択肢としてはあります。ただ、それも簡単なことではありません。文転・理転によるギャップを自ら補わなくてはならないからです。

そのため、極端に「あとで違ったらどうしよう」と恐れる必要はないのですが、「なんとなくイメージで」とか「あとで変えられるらしいし適当でいい」と思うのではなく、未来の自分のために「今できる範囲で、自分なりに考えて選ぶ」ということを大切にしていただきたいと思います。

■ 周りの声ではなく、自分の声を聴いてみて

では、どうすることをおすすめするかというと、「周りの声」や「イメージ」を鵜呑みにするのではなく、自分で調べることと、「自分の声」を聴くということをやっていただきたいと思います。

「なんとなく気になる学部や分野はあるかな?」 と進路の選択肢をながめつつ自分に問いかけるところから始めて、その気になった学部や分野について調べる。そして、それは文系か理系どちらが有利なのかを調べてみましょう。気になるものが浮かばない方は、「逆に絶対興味なさそうな分野は何かな?」というところから入って消去法をしていくのもいいですね。

真面目な方は「明確なものを出さないと・・・」と思われることも多いですが、まずは「なんとなく気になる」という感覚が大切です。

今はAIを使って大まかに調べることがしやすくなっていますので、AIを使って自分の興味のある分野や学部についてあたりをつけていくのもいいでしょう。

そして気になる学部や分野が見つかったら、それらを学べそうな学校のウェブサイトを探して、カリキュラムをながめてみてください。それだけで、漠然としたイメージがずいぶん具体的になります。可能な方はオープンキャンパスなど、実際に足を運んでみるのもいいですね。

今後進路選択はどの学部を選ぶかどの学校を選ぶかとさらに具体的になっていくわけですが、そのあと大人になっていくにつれ、さらにたくさんの選択をする機会が出てきます。
今の時代は、良くも悪くも選択肢が無限にあり、ともすると情報に流されがちになります。そんな中で自分が納得できる道を見つけていく。文理選択は今後のみなさんが自分らしいキャリアを築いていく中での大切な一歩なのかもしれません。

☆ 小さな一歩が未来を変える。今、前に進むための質問

「みんなが言っているから」を一旦脇に置いたとき、あなたが「なんとなく気になる」と感じるものは何ですか?
今日、その気になるものをひとつだけ調べてみましょう。大学のウェブサイトでも、先輩のブログやSNSでも、10分でいいので動いてみましょう。

[中村 文香]
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プロフィール : 中村 文香(なかむら あやか)

U-Discovery代表。国家資格キャリアコンサルタント。高校生からミドル世代まで、キャリアの転換期における意思決定や、周囲と協力しキャリアを築いていくためのサポートを行なっている。高校の進路選択では、人の心に関わる分野に興味がありながらも、就職で潰しがきくと、工学部を選択。北海道大学総合科学院総合化学専攻修了後、電子機器メーカーにて研究開発に従事。三十歳を目前に、今後のキャリアで本気で取り組みたいことを考えた結果、学生時代から関心のあったキャリア支援の道への転向を決意。同企業の人事部を経て独立。理系出身の分析力と大幅なキャリアチェンジの経験を活かした視点や、楽しみながらキャリアに取り組めるワークが好評。

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