category:進路選択親子で読みたい
進学NEWS
2025.10.01

進路に迷っています。どう選べば後悔しないでしょうか?

「進路を決めなきゃいけないのに、どうしても迷ってしまう」
そんなふうに感じている人は少なくないと思います。
友達がどんどん進路を決めていく姿を見て、焦ったり不安になったりすることもあるでしょう。

でもたくさんある選択肢の中で、迷うのは自然なこと。迷っている自分を責める必要はありません。
今回は、進路を考えるときに、少しでも気分が軽くなって、自分で納得のいく選択を見つけるためのヒントをお伝えしたいと思います。

■ 進路に迷うのは正解がないから

進路を考えるとき、それこそ答えのある受験勉強を日々頑張っている皆さんは、「将来に役立つ正しい答えがあるはずだ」と無意識に思ってしまっているかもしれません。けれど、実際には正解はありません。

今は人気のある学部や職業も、皆さんが仕事に就く頃には状況が変わっているかもしれません。

AIやテクノロジーの進化で、新しい仕事が生まれることもあります。逆に、今当たり前にある職業が将来は少なくなっている可能性もあります。

さらに、同じ進路を選んでも「自分に合っている」と感じる人もいれば、「やっぱり違った」と感じる人もいます。

たとえば、世の中的には有名で素晴らしい大学に進学してその道で充実感を得ている人もいますが、一方で、「自分には合わなかった」と感じて別の方向に進む人もいます。

つまり進路は、正解を探すのではなく、自分にとっての納得感にフォーカスするのが大切だと様々な方のキャリアに触れる中で感じています。

■ 今の自分が納得できる道を選ぼう

そして、自分の納得感を考える上で気をつけたいのが、未来のことを考え過ぎないことかと思います。

未来を考えることはもちろん大切ですが、先ほどお伝えしたように未来のことがますます読めない世の中になっており、考え始めるとキリがありません。

最終的に進路を決めるときに大事なのは、様々な角度で考えた上で「今、自分が納得できるかどうか」なのではないでしょうか。

納得できる選択をするために、まずは自分の中で、何に1番重きを置くのか、整理してみるとよい観点を挙げてみます。

①学びたい分野があるか その分野を学べる学部があるか、興味を持てる授業や先生がいるかどうか。 
②就きたい職業につながるか 将来やりたい仕事や進みたい業界への道筋があるか。
③学力とのバランス 自分の学力で挑戦できるかどうか。
④学校の校風や雰囲気 自由な雰囲気が合う人もいれば、厳しく競い合う環境が合う人も。
⑤立地や生活環境 家から通えるか、一人暮らしをするのか、都会か地方か。生活のしやすさは意外と重要な視点です。
⑥学費や経済面 授業料や生活費、奨学金制度があるかどうか。ご家庭の状況も踏まえて考える必要があります。
⑦人との出会い その学校にどんな仲間や先生がいるか。人とのつながりは想像以上に将来に影響を与えます。
⑧ライフスタイルとの相性 部活動やアルバイト、趣味と両立できそうかどうか。
こうした観点を一度ノートに書き出して整理すると、頭の中だけで考えているよりもすっきりします。

さらに、情報を整理することは、AIが得意な領域なので、手伝ってもらうのもおすすめです。
例えば上記の観点を入力して、さらに、「〇〇のポイントで迷っているから頭の中を整理するのを手伝って」と聞くなどして、整理していくのがいいでしょう。

そして、最終的に大切にしたいのは、あなたの気持ちです。

これまで様々な方のキャリアのお話を聞く中で、条件だけで選んで、あとから後悔をしているというお話をたくさん耳にしてきました。

人間は思っている以上に感情で動く生き物だなと思います。
どんなに条件が良さそうでも、これから続くキャリアの中で自分を偽っていくのは容易ではありません。

様々な観点から進路の選択肢を眺めたあとは、それぞれの進路に進んだ自分を想像してみてください。
そのときに心が軽くなったり、わくわくしたりする方を大事にすることも、シンプルですが、ひとつおすすめの方法です。

■ 進路はゴールでもあるけれど、入り口でもある

「進路を決める=将来がすべて決まってしまう」と思うと、不安が大きくなってしまうかもしれません。
しかし、進路は今の皆さんから見るとゴールに見えるかもしれませんが、新しい入口でもあります。

選んだ道が「やっぱり違った」と思ったら方向転換することもできますし、進んでみて初めて「こんな可能性もあったんだ」と気づくこともあります。

実際に、大学に入ってから新しい分野に出会い、そこから進路を変える人もたくさんいます。社会に出てからもキャリアを選び直す人が増えている時代ですから、高校生のときの進路選択が一生を決めてしまうわけではありません。

大切なのは、今の自分が納得して選んだという経験です。自分で決めたという感覚は、その後の人生で「また選び直せる」「自分で選んでいける」という自信につながります。

だから、怖がりすぎなくて大丈夫です。進路選択は確かに大きなイベントですが、それはあなたがこれからたくさんの選択をしていく人生の入口のひとつにすぎません。

進路を考えるとき、迷うのは当たり前です。
大事なのは「正解」を探すのではなく、「今の自分が納得できる選択」をすること。
そして、今は不安でもその選択の先に広がる景色を、楽しみにしていただきたいと思います。

☆ 小さな一歩が未来を変える。今、前に進むための質問


検討している選択肢の中で、どちらの進路に進んだ自分を想像したときに、気分が前向きになったり、体が軽くなったりしますか?

[中村 文香]
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プロフィール : 中村 文香(なかむら あやか)

U-Discovery代表。国家資格キャリアコンサルタント。高校生からミドル世代まで、キャリアの転換期における意思決定や、周囲と協力しキャリアを築いていくためのサポートを行なっている。高校の進路選択では、人の心に関わる分野に興味がありながらも、就職で潰しがきくと、工学部を選択。北海道大学総合科学院総合化学専攻修了後、電子機器メーカーにて研究開発に従事。三十歳を目前に、今後のキャリアで本気で取り組みたいことを考えた結果、学生時代から関心のあったキャリア支援の道への転向を決意。同企業の人事部を経て独立。理系出身の分析力と大幅なキャリアチェンジの経験を活かした視点や、楽しみながらキャリアに取り組めるワークが好評。

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