category:進路選択親子で読みたい
進学NEWS
2025.06.02

学校やSNSで人と自分を比べて落ち込んでしまいます。そういうとき、どう考えたらいいですか?

周囲の友達やSNSを見ていて、「あの人すごいな、それに比べて、自分は何もできてないかも・・・」と、つい人と自分を比べて落ち込むことってありますよね。

進路についても、学力や進路選びの進捗が様々で、周りと比べると落ち込んでしまうもの。今回は、そんな人と比べてしまうことについて、心が楽になるためのヒントをお伝えしようと思います。

人と比べるのは仕方がない。でも「優劣」で比べるとしんどくなる。

周囲の友達の話を聞いていたり、SNSを見たりしていると、色々な人の充実している様子を目にすることがあると思います。特にSNSでは本当に様々な投稿が流れてきますね。友達のリア充アピール、有名人のキラキラした日常、成績や進路の報告...。そういうのを見ていると、「自分だけ置いていかれているんじゃないか」と感じることもあるかもしれません。


でも、ちょっとだけ立ち止まって考えてみてください。


SNSにあがっているのは、その人の"いい部分"が切り取られたもの。だから、それと自分の「全部」を比べてしまうのは、冷静に考えるとフェアではないかもしれません。


さらに、「優劣」で人と比べすぎるのはあまりおすすめしません。
優劣で比べすぎると苦しくなってしまいますし、ある軸ではすごいと思える人も、別の軸では悩みを抱えていたり、優れているという基準も時代によって移り変わるものです。


例えば、今はゲーム実況をするYouTuberが人気者になっていますが、ちょっと前まではこんな人気職業になるほどの評価はされていませんでした。


このように、優劣って、実はすごくあやふやでいつの間にか逆転していたりもします。


ついつい「優劣」にフォーカスしてしまうのは、人間の癖のようなもので仕方がないのかもしれませんが、なるべく「あの人すごいな〜それに比べて私は・・・」と思ったときに「あっ、比べちゃっているな」と、自分に気づいて一呼吸おけるようになると、ちょっと気持ちが軽くなると思います。


人と比べた「違い」は自分を発見させてくれる

ただ、人と比べることは悪いことだけではありませんし、必要なことだと思います。
なぜなら、自分のことって、自分だけではなかなか気づけないものですが、人と比べることで、自分に気づくきっかけになるからです。


例えば誰かを「羨ましい」と思ったとき。
その気持ちの裏側には、もしかしたら"本当は自分もそうなりたい"という気持ちが隠れているのかもしれません。人は、自分の中に全くないものは、そもそも気にも留めないと言われています。
だから、誰かを「すごい」と感じたとき、それは「自分にもそういう可能性がある」サインかもしれません。


さらに、人と比べるときに「優劣」ではなくて、単に「違い」として見てみると、気が重くなることなく、好奇心を持って人と関わって、自分を発見することができます。


例えば、「絶対に地元の大学に行く!」と決めている友達がいて、話を聞いてみると、「知っているところが安心だから」と言っていた。そんなときに「私にはその感覚、あんまりないかも」と思ったら、自分は"新しい環境に挑戦したいタイプ"なのかもしれません。
また別の友達は、「もう進路は決まっている。将来は先生になりたいんだ。」と言っていたとして、早々に将来が決まっている姿に少し焦ると思いますが、あなたは逆に"色々なことに広く興味があるタイプ"なのかもしれません。もしそうだったら、進学先では文系と理系の中間のような幅広く学べる学科を選んでみるという選択肢もあるでしょう。


色々な人と自分を比べていくと自分の輪郭がはっきりしてくる。

このように、人との「違い」を見ることは、比べて落ち込むためじゃなくて、自分の輪郭をはっきりさせるためのヒントになるんです。


つながりたくなくても学校やSNSで多くの人と比べる機会がある環境の中で、「人と全く比べない」というのは難しいことだと思います。


そうであればかえってもう自然に比べてしまって、もし、落ち込んでしまったときは、「あ、比べちゃっているな」と一呼吸おいてみる。
心の余裕があるときはただ「違い」を比べて自分を発見していく。
そういった繰り返しで、どんどん自分の輪郭がはっきりしていきます。


こういった行為は実は大人になってからも続いていきます。
なので、今ははっきりとはわからなくても大丈夫です。


小さなことからでもいいので、色々な人と関わって「違い」から見えてきた自分の「興味」「好き」「わくわく」を大切にして進路選択に向き合っていってください。


☆小さな一歩が未来を変える。今、前に進むための質問

「最近、人と"違うな"と思ったことは何ですか? もしそこから気づけることがあるとすれば、自分のどんな特徴に気づきますか?」

[中村 文香]
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プロフィール : 中村 文香(なかむら あやか)

U-Discovery代表。国家資格キャリアコンサルタント。高校生からミドル世代まで、キャリアの転換期における意思決定や、周囲と協力しキャリアを築いていくためのサポートを行なっている。高校の進路選択では、人の心に関わる分野に興味がありながらも、就職で潰しがきくと、工学部を選択。北海道大学総合科学院総合化学専攻修了後、電子機器メーカーにて研究開発に従事。三十歳を目前に、今後のキャリアで本気で取り組みたいことを考えた結果、学生時代から関心のあったキャリア支援の道への転向を決意。同企業の人事部を経て独立。理系出身の分析力と大幅なキャリアチェンジの経験を活かした視点や、楽しみながらキャリアに取り組めるワークが好評。

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