category:進路選択親子で読みたい
進学NEWS
2025.02.03

第一志望に落ちてしまい、悲しみが消えません。これからの進路にどう向き合えばいいですか。

受験の結果が出てきて、なかには第一志望に落ちてしまうなど不本意な結果になっている方もいらっしゃると思います。


言葉にできない、悔しさや悲しみが押し寄せてきて
「どうしてもこの学校に行きたかったのに」「あんなに頑張ったのに」
そんな思いで胸がいっぱいになっているかもしれません。


そして、そんな中でも、これからの進路を決めなくてはいけなくてはいけない状況があるのできっと焦る気持ちもあることでしょう。


今回は、不本意な結果を乗り越えて、これからの進路について向き合うためのヒントをお伝えします。


一度思いっきり悲しみ切る

まず、お伝えしたいのが、無理に気持ちを切り替えようとする必要はないということです。ショックは大きなものですし、頑張ってきた分、悲しみが出てくるのは仕方のないことです。


感情は中途半端に隠して蓋をすると徐々に大きくなってきてしまうもの。
その悲しみを否定せず、一度しっかり向き合うことが大切です。
悲しいときには、「思いっきり悲しみ切る」時間をあえて作ってみてください。


とにかく悲しい、悔しい、不甲斐ない、恥ずかしい、後悔している・・・・
など、自分の心の中にある感情をすべて吐き出してみましょう。


その際、おすすめなのが「紙に書き出してみる」ことです。
(こちらのコラムでは何回か出てきていますが、シンプルながら本当におすすめなのです。)


何も考えず、心に浮かぶ言葉をそのまま紙に書き殴ってみてください。
「もっとこうすればよかった」
「自分には力が足りなかった」
「ただただ悔しい」など、
誰かに読んでもらうわけではないので、どんな言葉でも構いませんし、字が汚くても構いません。想いを言葉にすることで、少しずつ自分の気持ちを整理することができます。


悲しみ切った後は、不思議と少し軽くなる瞬間が訪れると思います。


キャリアは偶然が8割

次に今後の進路を考えるうえで知っておいていただきたいのが「キャリアは偶然が8割」という考え方です。


これは心理学者ジョン・D・クランボルツ教授が提唱した「計画的偶発性理論(Planned Happenstance Theory)※1」という理論に基づくものです。
キャリアの多くは、予期せぬ出来事(好ましいものも好ましくないものもある)によって形作られるとされ、さらにその偶然を前向きに生かすことでキャリアを自分が満足のいくものに導いていくことができると説いています。


もちろん、第一志望に合格できなかったことは、ショックな出来事だと思います。しかし、その結果をきっかけに、別の道や可能性が見えてくることも少なくありません。


例えば、第二志望の学校で新たな友人や先生に出会ったり、第一志望では考えもしなかった分野に興味を持ったりすることもあるかもしれません。


第一志望に進んでいたら出会えなかった経験やチャンスが、あなたの未来を切り開くこともあります。
重要なのは、起こったことを受け身で捉えるのではなく、「この状況をどう活かせるか」と主体的に考える姿勢です。不本意に感じる出来事でも、それを自分にとって意義のあるものに変えることはできます。


今はまだそう思えないかもしれませんが、未来の可能性を信じてみる、という視点を持ってみると、視野が広がった状態で進路を考えることができると思います。


起こったことを受け止めて自分はどうしたい?プロセスも大切な経験

気持ちが少し落ち着いてきたら、不本意ではあるけれど事実を受け止めて、「今自分はどうしたいのか」進路を決めるための時間を持ちましょう。


自分と向き合ったうえで、第二志望や併願校、または他の選択肢に進むこともあるでしょうし、第一志望に進むことが大切なことだと気づいたら保護者の方や先生に相談したうえで浪人を選ぶという道もあるでしょう。


どの道を選ぶにしても、私が大切だと思うのは「事実を受け止めて、自分で考え、自分で選ぶ」というプロセスです。


コロナ禍の記憶が新しいと思いますが、これから先良いことも悪いことも様々な偶然が起こる可能性のある昨今。


このプロセスは、ただ結果に左右されるものではなく、あなたの未来をあなた自身が創っていくための貴重な経験になります。


自分自身と向き合い、「自分はどうしたいのか」「そのために今何ができるのか」を考えてみてください。


よくわからなくても、一つ一つ実行することで、未来への道筋が見えてきます。そして、どの道を選んだとしても、その選択をあなた自身で自分にとって意義深いものにしていくことができます。辛い時期ですが、ふんばって前にすすみましょう。


◎今、前に進むための問いかけ!

・あなたが今感じている悲しみや悔しさを、そのまま出してみるとしたら、どんな言葉になりますか?紙に書き出してみましょう。
・今後進む道について、あなたが一番大切にしたいことは何ですか?それを実現するために、今できる小さな一歩は何でしょう?


※1 Mitchell, K. E., Levin, A. S., & Krumboltz, J. D. (1999). Planned happenstance: Constructing unexpected career opportunities. Journal of Counseling & Development, 77(2), 115-124

[中村 文香]
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プロフィール : 中村 文香(なかむら あやか)

U-Discovery代表。国家資格キャリアコンサルタント。高校生からミドル世代まで、キャリアの転換期における意思決定や、周囲と協力しキャリアを築いていくためのサポートを行なっている。高校の進路選択では、人の心に関わる分野に興味がありながらも、就職で潰しがきくと、工学部を選択。北海道大学総合科学院総合化学専攻修了後、電子機器メーカーにて研究開発に従事。三十歳を目前に、今後のキャリアで本気で取り組みたいことを考えた結果、学生時代から関心のあったキャリア支援の道への転向を決意。同企業の人事部を経て独立。理系出身の分析力と大幅なキャリアチェンジの経験を活かした視点や、楽しみながらキャリアに取り組めるワークが好評。

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