将来の仕事から進路を選ぶというけれど、働くことに不安があります
進路を選ぶときの考え方として、将来就きたい仕事から選ぶという考えがあると思いますが、まだ学生の皆さんは、そもそも働くということがわからなかったり、漠然とした不安を抱えたりしている方も少なくないのではないでしょうか。
今回はその「働く」ということについて一緒に考えてみましょう。
「働くこと」についての様々なイメージ
皆さんは「働くこと」について考えるときどのようなことが浮かんできますか。
- 「働くことは大変で我慢の連続」
- 「お金のために仕方がなくやっている」
- 「パワハラ、セクハラなど人間関係が大変そう」
- 「円安の最近の様子を見ていると、お金を稼げるか不安」
- 「趣味、友人や家族との時間がとれなくなりそう」
私は日々、様々な社会人の方とお話しをすることが多いですが、活躍をされている方でもこのようなイメージを持っている方がもしかしたら多数派かもしれません。
ただ、そういったイメージがありつつ、
- 「働くことは社会との接点を持つこと」
- 「働くことは自分を表現すること」
- 「働くことは青春だ!」
- 「とにかく働くのが楽しい。うまく行った妄想をいつもしている」
- 「そもそも働くことと生きることを分けていない」
といった、ポジティブなイメージを同時に持っていたり、頭の中の大部分を占めている方もいたりします。
人によって本当に様々なイメージを持っていて面白いなと感じていますし、その持っているイメージによって働くことの楽しさ、苦しさが左右されているようにも思います。
私自身は、正直大学生まで働くことについて、先ほどお伝えしたようなネガティブな印象を持っていて、社会に出ることがとっても不安でした。
おそらくその不安の大きな要因の一つは、「働く」ことについて全然知らなかったからではないかと思います。
どんなイメージを持つのもその方の自由ですが、以降では皆さんが働くことについてイメージを持つための「材料」についてお話しできればと思います。
数年単位で変わりゆく「働く」
ここで少し、働く現場の動きについてお伝えしてみようと思います。
近年で一番変化があったのは新型コロナウイルスの影響が大きく反映され、テレワークが進んだことかと思います。
テレワークができると、通勤ラッシュに巻き込まれることもなくなり、移動がない分、家族の時間が持てたり、自分の時間、友人と過ごす時間が増えたりして、助かっているという方も多いようです。
職種によっても違いがあると思いますが、コロナ禍に比べるとまた出社の割合が増えているとはいえ、全国では約25%、首都圏では約40%の方がテレワークをされているそうです。(参考:国土交通省. (2024). 「令和5年度のテレワーク人口実態調査結果」.)
さらに、これまで紙で交わしていた書類が電子化されて効率が上がったり、業務でAIを活用するのが当たり前になってきたり、複業・副業をされている方が増えていたり、各社で男女共に自分らしいキャリアを考える、働きやすい環境を整えるプロジェクトが進行していたりと、それぞれの企業で初めての試みなので、模索しつつ、徐々にではありますが、明るい兆しが出てきているように実感しています。
こういった変化は、ここ最近は数年単位で感じられるようになってきているように思います。
皆さんが社会人になるころには、もしかしたらアルバイトをしている学生時代と比較しても変化を感じることがあるかもしれません。
そういった意味で、今は働くことに対してのイメージが変わってきている過渡期のように感じています。
私も一社会人として、皆さん若い方々が働くのって悪くないな、楽しそうと思ってもらええるような未来を創れるように、微力ながら現場の方々が自分を活かしてイキイキとはたらけるようなサポートを日々していきたいと思っています。
「働く」のサンプルをたくさん集めよう。
ここまでで私が感じている兆しの話をお伝えしましたが、実際に生の声を見たり聞いたりしてみないと皆さんもイメージが難しいかもしれませんね。
そのために、やはりおすすめは、働くことの「サンプル」をたくさん集めてみることです。
先ほどお伝えしたように、働くことについてイメージ、実際の働き方、何にやりがいを感じているかは人それぞれです。
もちろん、身近な大人の話を聞くのも良いですが、それだけでは情報が限られがちです。最近は、インターネットを使って多様な働き方について調べることもできます。YouTubeで仕事の一日を紹介する動画を見たり、働き方についてのブログを読んだりして、幅広い仕事や職場の様子を知ることができるでしょう。
また、実際に興味のある仕事に就いている人に会いに行くのもおすすめです。進路相談の機会や職場見学、インターンシップなどを利用して、大人と直接話をしてみましょう。彼らの仕事のやりがいや、どのように仕事に向き合っているのかを知ることで、働くことがイメージしやすくなり、将来への不安が和らぐかもしれません。
たくさんの「サンプル」を知ることで、きっと自分に合った働き方が見えてくるはずです。
実際に私が出会ったインターンシップを経験した大学生は色々な働き方をしている大人と出会って「これまでは自分が社会に出てやっていけるのだろうかって不安だったのですが、(いい意味で)どうとでも生きていけるのかもしれないって思いました!」と笑顔で言っていました。
自治体のキャリアイベントや企業の職場見学など、高校生にも大人の働き方に触れる機会はあるので探してみてもいいですし、大学によっては積極的に企業と連携してインターンシップをしているところもあるのでそういったところを探して目指すのもいいと思います。
実際に肌で感じると想像以上に色々なことが実感できるもの。
まずは小さな一歩でもいいので、取り組んでみてくださいね。
◎今、前に進むための問いかけ!
コラムを読んで働くことについてどんな印象を持ちましたか?
また、あなたが働くことのイメージをもっと膨らませるために、やってみたいなと思うことは何ですか?
- ハッシュタグで関連記事を見てみる
- #キャリアコンサルタント , #中村文香 , #働く , #進路選択 , #高校生のための進路相談室
- プロフィール : 中村 文香(なかむら あやか)
-
U-Discovery代表。国家資格キャリアコンサルタント。高校生からミドル世代まで、キャリアの転換期における意思決定や、周囲と協力しキャリアを築いていくためのサポートを行なっている。高校の進路選択では、人の心に関わる分野に興味がありながらも、就職で潰しがきくと、工学部を選択。北海道大学総合科学院総合化学専攻修了後、電子機器メーカーにて研究開発に従事。三十歳を目前に、今後のキャリアで本気で取り組みたいことを考えた結果、学生時代から関心のあったキャリア支援の道への転向を決意。同企業の人事部を経て独立。理系出身の分析力と大幅なキャリアチェンジの経験を活かした視点や、楽しみながらキャリアに取り組めるワークが好評。
- オフィシャルWebサイト
- http://ayaka-nakamura.com/