category:進路選択親子で読みたい
進学NEWS
2024.09.02

志望校への学力・偏差値が足りない...。受験の不安との向き合い方

夏休みが終わり学校の授業が再開して受験がじわじわと近づいているのを感じたり、お友達と模試の結果などを比べてしまったりして「本当に学力を上げられるんだろうか」と不安になることはありませんか?
今回はそんなとき、どうやって焦りや不安な気持ちと向き合っていけばいいのか、一緒に考えてみましょう。

■不安の正体は?

早速ですが、改めて「今、何が不安?」と聞かれると、はっきり答えられますか?
意外と何が不安か漠然としていたりしないでしょうか。

不安って、その正体がはっきりとわからないと湧いてくるものです。
そのため、まずはその不安の正体をしっかりと見てみましょう。

近くにじっくりとあなたのお話を聴いてくれる人がいれば、話を聴いてもらってもいいと思いますし、まずは一人で、ノートでもいいですし、何かの裏紙でもいいですし、紙にペンで今思っていることを書いてみるのもおすすめです。

「この教科が間に合わないと思っている」
「とにかく気持ちが入らず、やる気がでない」
「友達と比べてしまって焦っている」

などなど、きれいに話したり、書こうとしたりせずに、とにかくまずは思いつくものをとうとうと出してみましょう。

そうやって人に話したり、紙に書いたりして、言葉にしてみるだけでも、自然と心が落ち着いて冷静になれるのを感じられるのではないでしょうか。

■できない自分を否定するのではなく、認めることからはじまる

そうやって落ち着いてきたら、次に不安への対策を考えたいところですが、その前に大切なことは、できない自分を否定するのではなく、「今はここができないんだな」と現状を素直に認めることです。

人は不安に直面すると、「自分はダメだ」とか「みんなはもっとできるのに」と自己否定してしまいがちです。自己否定をしていると、心のエネルギーが奪われて、勉強のやる気もどんどん下がってきてしまいます。

逆に、自分のできていない部分を正面から受け止めて、認めてはじめて、それをどうやって克服するかを具体的に考えていくことができてきます。

当たり前ですが、人は自分以外にはなれません。
どんな姿であれ、今の自分を認めて、そんな自分と付き合って、自分で自分を導いていくことで、自分の見たい景色を見ることができます。

さらに、前に進む心のエネルギーを得るためには、「できること」に目を向けることも重要です。

これまで使ったテキストやノートを眺めながら、今年のはじめの自分と比べてできるようになったことを感じてみましょう。
きっと、過去の自分と比べると前進できていると感じられると思います。

そうやって、日々の小さなできたことを見て、感じていくことで、「自分にもできる。」という感覚が少しずつ芽生えて、不安に対する強さがついてきます。

■シンプルだけど、「目の前のできることを一歩一歩」が大切

では、具体的な対策を練っていきましょう。

これまで不安にならずに何かをできていたときのことを思い出していただきたいのですが、そういうときは、「具体的にやることが決まっていて、行動をしていたとき」ではないでしょうか。

結局のところ、地味ですが、シンプルに目の前のことに集中して、一歩一歩進むことが不安に対応する近道なのではと、私は色々な方とお話しするなかで日々実感しています。

大きな目標には圧倒されてしまいますが、具体的にどこのどの部分がどうだったらよいのか、小さな目標に分解して設定し、取り組んでいきましょう。

頭の中に地図を描いて一つ一つ埋めていくようなイメージです。地図があると目的地まで迷わずにすみます。

例えば、
一番点数が足りていない数学は、この単元はできているけど、この単元は苦手だから、この参考書を使って何割解けるようにしよう。
逆に得意な国語は、この単元にまだ伸び代があるから、この参考書を使って何割解けるようにしよう。
といった感じです。
(色々な参考書や方法に手あたり次第手を付けると良く分からなくなってくるので、決めたものひとつをやり込むことがポイントです。)

ちなみに、私のとあるクライアントさんは、「自分は飽きっぽいし、苦手なものばかりやっているとしんどくなるので、苦手な教科と好きな教科を45分ごとに交互に取り組んでいた」という方がいました。
このように自分が楽しく取り組めるために、自分に合った工夫を取り入れるのもいいですね。

また、リフレッシュすることや睡眠も大変重要です。
詰め込み過ぎや睡眠不足はストレスを増やして、勉強の効率が想像以上に悪くなります。適度に休んで、心と体のバランスを保つことも、受験の不安と向き合うためには欠かせません。

希望する進路に向かって一歩一歩進む中で、不安は必ずしも悪いものではありません。
今はシンドイと思いますが、自分と向き合って成長するための一つのステップだったと後から思えるはずです。

一歩一歩、目の前の小さな目標に取り組んで進んでいきましょう。

◎今、前に進むための問いかけ!

今年のはじめからこれまでの自分の頑張りを振り返って、どんなことができるようになりましたか?どんな些細なことでもOKです。
その上で、上記のような対策を考えて取り組んでみましょう。

[中村 文香]
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プロフィール : 中村 文香(なかむら あやか)

U-Discovery代表。国家資格キャリアコンサルタント。高校生からミドル世代まで、キャリアの転換期における意思決定や、周囲と協力しキャリアを築いていくためのサポートを行なっている。高校の進路選択では、人の心に関わる分野に興味がありながらも、就職で潰しがきくと、工学部を選択。北海道大学総合科学院総合化学専攻修了後、電子機器メーカーにて研究開発に従事。三十歳を目前に、今後のキャリアで本気で取り組みたいことを考えた結果、学生時代から関心のあったキャリア支援の道への転向を決意。同企業の人事部を経て独立。理系出身の分析力と大幅なキャリアチェンジの経験を活かした視点や、楽しみながらキャリアに取り組めるワークが好評。

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