category:進路選択親子で読みたい
進学NEWS
2024.08.01

親や先生から進路を反対されてしまいました。どう向き合っていけばいいですか?

進路を考えるとき、先生や保護者の方に相談する方が多いと思います。特に保護者の方には、いろいろと協力をしてもらわなくてはいけないのでお話しするシーンが多々ありますよね。


そんなとき、自分が考えていた進路を反対されてしまうと、ショックを受けたり、怒ってしまったり、悲しくなったりといろいろな感情が出てくると思います。(私自身、先生や親に進路を反対されたことがあるので想像できます...)


ただ、ここはご自身にとっての大事な未来の話。しっかりと向き合って、良い形に進められるようにしていきたいですよね。


今回は、自分が考えていた進路を保護者の方や先生に反対されてしまったときの向き合い方についてお伝えしていきたいと思います。


■言葉の奥の真意は?

先生や保護者の方に進路を反対されると、色々な感情が湧いていると思います。真面目な方は「こんな感情的になってはいけない!」と思ってしまう方もいるかもしれませんが、いきなり冷静になるのは難しいです。


「傷ついた」「悲しい」「わかってほしい」「怒っている」「がっかりした」など、実際にそのような気持ちになっているのは事実なので、自分の気持ちを否定せず、まずは受け止めるということをしていただけたらと思います。


そうして少し落ち着いてきたら、先生や親御さんに言われた「言葉」自体に捉われず、その奥にある「真意」は何だったのか。と少し考えてみましょう。


「我が子(教え子)に幸せになってほしい」

「失敗して辛い思いをしてほしくない」


など、実は「あなたの幸せ」という共通の目的を見ていることも少なくないのではないでしょうか。


先生や保護者の方は身近な存在とはいえあなたとは違う人間なので、価値観の違いがありますし、育ってきた時代も違うため、進路に対しての考え方が異なります。それぞれの立場で考えたときに、幸せになるためのやり方や考え方が違うのです。


形は違っても、言葉の奥にある同じ「あなたの幸せを願ってくれる気持ち」自体をありがたく受け取ることができると、ざわついていた心が少し落ち着いてくるのではないでしょうか。


■自分の大切にしたいことを確認する

発想の転換をしてみると、何かを反対されているというときは、自分の本当に大切にしたいことを確認するチャンスでもあります。


反対を押し切ってでも自分の意見を通したいのか?

もしくはそこまでしなくてもいいものなのか。

自分が今、本当に大切にしたいことは何でしょうか?


このときにポイントなのが、「自分の気持ち」と「他人の期待」を分けて考えることです。


先ほど、先生や保護者の方の言葉の奥にある「真意」について触れましたが、中には、

「偏差値の高い学校に入ってほしい」

「家業を継いでほしい」

「近くに住んでいてほしい」

など、あなたのことは一旦置いておいて、その方自身の大切なことや期待が混ざっていることもあると思います。


そういったものは相手の領域の話。尊重はしつつも、あなたが必ずしもその期待に応えなくてはいけない訳ではありません。(もちろん、分かった上で期待に応えるのはOKです)


こういった心の葛藤を伴うことは、頭だけで考えていると混乱してくるので、ノートでもいいですし、何かの裏紙でもいいので、ぜひ、書き出してみてください。


これは自分の純粋な想いなのか?

それとも誰かの期待なのか?


静かに1人になれる時間をとって、向き合ってみてください。


■ぶつかり合いはつらいけれど、新しい道を築くきっかけになる。

こうして、自分の大切にしたいことがはっきりしてきたら、その大切にしたいこと、自分の想いを改めて先生や保護者の方に伝える機会を持ちたいところです。特に保護者の方には、金銭面や手続き面などでサポートしてもらう場合が多いと思うので、対話の機会をしっかり持つ必要があると思います。


反対されているなかで、話し合いをするのはなかなか気が重たいかもしれませんが、こういった意見のぶつかり合いは新しい関係性を生み出すきっかけにもなります。


そもそも、相手を信じていないと本音を出すこと自体難しいですし、この機会をきっかけにあなたが大切にしたいことをより明確にすることで、一人の人間として自立をしていくための大切な一歩になるはずです。


対話の結果、それぞれの大切なことは違っていてもお互いを理解しあえれば、必要なサポートが得られたり尊重しあえたりする、より自立して強固な関係性になれます。分かり合えなかった場合にも、保護者の方に頼らずにどうにかする、自分の胆力を鍛えるきっかけになるでしょう。


また、こういった葛藤があるときは人に頼ることも大切です。
人に頼るということは、大人になっていくにつれ重要なスキルになっていくため、これを機にチャレンジしたいところです。


親戚や、近所の方、キャリア相談の専門家など他の大人や、しっかりした友人に相談をしてみるということも試してみてください。


保護者の方に大切なことを伝えるためのアドバイスや、具体的にその進路を実現するための制度についてなどのアドバイスをくれるかもしれません。


今は辛いプロセスかもしれませんが、こういった葛藤は後から振り返ると大切な気づきを与えてくれたということが少なくありません。
自分らしい未来をつくっていくために、しっかりと向き合ってみてください。


◎今、前に進むための問いかけ!

先生や親御さんの言葉の奥にある大切な「真意」を感じたり、自分に向き合ったりする時間をとりましょう。いつそれを実行しますか?

[中村 文香]
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プロフィール : 中村 文香(なかむら あやか)

U-Discovery代表。国家資格キャリアコンサルタント。高校生からミドル世代まで、キャリアの転換期における意思決定や、周囲と協力しキャリアを築いていくためのサポートを行なっている。高校の進路選択では、人の心に関わる分野に興味がありながらも、就職で潰しがきくと、工学部を選択。北海道大学総合科学院総合化学専攻修了後、電子機器メーカーにて研究開発に従事。三十歳を目前に、今後のキャリアで本気で取り組みたいことを考えた結果、学生時代から関心のあったキャリア支援の道への転向を決意。同企業の人事部を経て独立。理系出身の分析力と大幅なキャリアチェンジの経験を活かした視点や、楽しみながらキャリアに取り組めるワークが好評。

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