自分に向いていることや将来やりたいことも分からないけれど、進路選択をどう進めればいいですか?
進路選択って選択肢がたくさんあるし、どうやって決めていったらいいか分からず、戸惑ってしまう方も少なくないと思います。
さらに、進路は「将来の仕事につながる大事な選択だから間違いたくない...」とプレッシャーを感じたり、自分がやりたいことが分からないなか、将来やりたいことが明確な友達がいたりすると比べてしまって「自分ってダメだな...」と焦ってしまったりと気持ちがザワザワしている方もいらっしゃるでしょう。
今回は、そんな進路選択について、どのように進めていったらいいか考え方のヒントをお伝えします。
■進路選択は「自分の道を創る」ための一歩
まず、進路選択は今後の仕事につながる大切な選択であることに間違いはないのですが、これが全てではないとお伝えしたいと思います。
今の社会は、どこに住むか、何をするか、自分のアイデンティティについてなど、これまでは選べなかったことが自分で選べるような社会になっていますし、それぞれの選択はその人にとってよいかどうかが大切で、正解や間違いというものはありません。
例えば仕事においては、昔は難しかった転職が今はかなり積極的に行われていますし、会社員でも副業をしたり多拠点で仕事をしたりするなど自由な働き方をする方、会社に属さずフリーランスになる方、学生時代から起業する方など、新しい働き方をする方々が徐々にですが増えてきています。
自分で決めることは幸福度を上げるという研究結果※1もあり、そういった意味では幸せな社会になってきていますが、選択肢が多いということはそれだけ迷うことも多くなってきます。
そのため、今回の進路選択はこれから皆さんが生きていく中でたくさん訪れる大きな選択の第一歩と言え、このプロセス自体が今後のための勉強になる大切なものと言えます。
さらに、実際にやってみて自分にとっては違うと感じたら、皆さんには進学した先でも、社会に出る際にでも方向転換ができます。
だからと言ってないがしろにしていいわけではないですが、あまり怖がりすぎず、進路選択をしていただければと思うのです。
■やりたいことが分からないときの進め方。診断ツールへの囚われすぎに注意。
次に進路選択の進め方についてお伝えしていきたいと思います。
一般的に進路選択は、順番は前後するとしても以下のように進んでいきます。
① 自分の興味ある分野(学校)をある程度しぼる
② ①の選択肢について調べる(内容、卒業後の進路、学費など)
③ ②の中から選択する
④ ②で決めた学校に入るために勉強をしたり、手続きをしたりする
先ほどお伝えしたように進路選択は「自分の道を創る」ための大切な一歩であるため、①〜②くらいまで、できるところまででいいので、まずは自分で考えてみるのをおすすめします。
おそらくですが、このコラムを読まれているようなあなたは素直で真面目な方が多いのではないかと思うのです。そういった方は、周囲のアドバイスに影響されすぎてしまうことも少なくないため、いきなり誰かに相談する前に、まずは「自分がどうしたいの?」というのを考えて、感じてみていただきたいのです。
次に「では何からやろうか?」というところで、手始めに受検されることが多い診断ツールについてお伝えします。
性格診断や適職診断など、学校で受検したり、WEB上で無料で診断ができたりして便利ですよね。(近頃は性格診断ツールであるMBIT診断について、YouTube、TikTok、Instagramなどでよく見かけたりしますね。)
診断ツールは便利なのですが、結果への囚われすぎに注意していただきたいと思います。
診断ツールはあくまで「自分が今の自分をどう認識しているか」を測るので実際とはズレている恐れもありますし、皆さんはまだお若いのでこれから特性が変わっていく可能性もあります。
そのため今の診断結果ばかりに囚われて進路を選択してしまうと、自分の可能性を狭めてしまう恐れがありますので参考程度に止めるというのを心がけてください。
そのうえで、診断ツールの結果を参考にして、自分に合いそうな分野や学校について調べてみるのは、とっかかりとしていいと思います。WEB上でできるものなど興味があるものは受検してみて、出てきたおすすめの分野や学校の中で気になるものを調べてみるところから始めてみるというものいいと思います。
ちなみに、こちらのサイトでも診断ツールがあるため必要なタイミングで使ってみてください。
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さらに「やりたいことが分からない」ときにおすすめなのが、「消去法」です。
学びたい分野、生活のスタイル(実家暮らしか一人暮らしか、学校に通う年数、田舎か都会か、プログラムの自由度)など、いろいろな側面からこれだけは絶対に嫌だなというのを挙げてみるというのもアリだと思います。
「やりたいこと」というと広すぎてなかなか思いつかないけれど、「やりたいくないこと」というと意外とすぐ出てくる方も多いので、一度試してみるのはいかがでしょうか。
■考えたり感じたりしたことは「書く」と迷わない
最後に、これは進路選択のプロセス全般に言えるのですが、考えたり感じたり、調べたりしたことは簡単でもいいので紙に書いたり、デジタルツールに記録したりして、見える形にしておくことをおすすめします。
人間、頭の中だけで考えられることって意外と少ないです。机の上も整理整頓せずにいろいろなものを出しておくとゴチャゴチャして訳がわからなくなってしまうと思いますが、頭の中もそれと似たようなものです。
・学びたい分野や学校について調べたこと
・色々と調べている中で考えたことや感じたこと
・その他進路についてモヤモヤしていること
などなど
書いて見える形にしていくと、意外に頭の中が整理されてスッキリすることが多いです。
例えば「進路選択ノート」をつくってみるなど、綺麗に書かなくてもいいので自分なりに進路について書けるものを作っておくと、これから進路を決めるときに便利です。(お気に入りノートや文房具にするなど工夫すると気分があがるかもしれません)
まずはできるところから気軽に始めてみてくださいね。
◎今、前に進むための問いかけ!
「このコラムを見てやってみてもいいかなと思った、今日明日に5分以内にできることは何ですか?」
※1西村和雄(神戸大学/経済産業研究所)/ 八木匡(同志社大学)(2018),
RIETI Discussion Paper Series 18-J-026「幸福感と自己決定―日本における実証研究」
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- プロフィール : 中村 文香(なかむら あやか)
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U-Discovery代表。国家資格キャリアコンサルタント。高校生からミドル世代まで、キャリアの転換期における意思決定や、周囲と協力しキャリアを築いていくためのサポートを行なっている。高校の進路選択では、人の心に関わる分野に興味がありながらも、就職で潰しがきくと、工学部を選択。北海道大学総合科学院総合化学専攻修了後、電子機器メーカーにて研究開発に従事。三十歳を目前に、今後のキャリアで本気で取り組みたいことを考えた結果、学生時代から関心のあったキャリア支援の道への転向を決意。同企業の人事部を経て独立。理系出身の分析力と大幅なキャリアチェンジの経験を活かした視点や、楽しみながらキャリアに取り組めるワークが好評。
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