category:進路選択親子で読みたい
進学NEWS
2024.02.01

合格した学校のうち、どこを選ぶか迷っています。何を基準に進路を選択すればいいですか?

合格発表の結果が出てきて、複数の選択肢がある場合、特に本命受験は残念な結果になってしまった場合、気持ちがついていかないこともあり、滑り止めの学校からどこを選ぶか、場合によっては浪人という選択肢も含めて迷ってしまいますよね。


今回はこのような状況で、何を基準に進路を選択していけばいいのかヒントをお伝えしたいと思います。


■まずは思っていることを書き出してみよう

こちらのコラムを以前からご覧いただいている方にはお馴染みの方法ですが、まずは、思っていることを紙に書き出してみましょう。
思考を「書くこと」は、「悩む」を「考える」に変える大きな効果があるんです。


頭でぐるぐると想いを巡らせるだけでは解けずに悩んでしまうことも、書いて見えるようにすると、「そうか、ここから取り組めばいいのか!」と建設的に考えられるようになってきます。


なので、騙されたと思って、思っていることを殴り書きでもいいので、何かの紙に手書きで書いてみましょう!
(PCやスマホでもいいですが、手書きの方がより体を使うので新しい刺激が入ってリフレッシュできると言われており、おすすめです。)


きっと「悔しい」「迷っている」「何も考えられない」など気持ちがワーッとでてきたり、ちょっと冷静になると「この学校はプログラムがいい」「この学校は学費が高い」「この学校は家から通いにくい」「浪人は時間の面でどうかな」など各選択肢の条件面の話が出てきたりすると思います。


■「何も制約がなかったらどれにする?」から考えて現実と折り合いをつける

書いたものを眺めてみて、まず自分の頭ではなく心に聞いてみていただきたいのが、「何も制約がなかったらどれにする?」という問いかけです。


何かを決めるときのキャリア理論の中に「全脳的アプローチ(ジェラット)」というものがあります。「意思決定をする際には、論理的(左脳的)な要素だけでなく、直感的、感情的(右脳的)要素を取り入れることで、その人らしい納得感のある意思決定ができる」というものです。


現代では「コスパ(コストパフォーマンス)」「タイパ(タイムパフォーマンス)」など論理的、合理的なことが重視されがちなように思いますが、個人のキャリアというのは合理性だけでは割り切れない、その人らしさが出るもの、正解がないものです。


そして選んだ道を、責任を持って歩んでいくのは自分。つまり、合理性だけにとらわれず、自分が主観的に納得する選択を選ぶというのは、その後の道を自分の足で踏み締めていくために大切な要素です。


これは私自身もそうですし、多くの相談者の方を見ていて実感することです。


そのため、まずは「何も制約がなかったらどれにする?」その答えを中心に考えて、その選択を実現するために、現実のお金、時間、立地などの問題をどうクリアしていくかというような組み立て方をすることを推奨します。


この方法を考えるには、自分だけでは材料が足りないことも多いので、可能であればお友達、周囲の大人の方にも相談してみると良いでしょう。


そのうえで、「何も制約がなかったらどれにする?」の選択肢がどうしても難しい場合は、その選択肢の次に「心や身体が軽くなる感じがする」だったり「嫌ではない」と思えるようなものを選びましょう。


もし現実に寄った選択肢になった場合も、自分でステップを踏んで考えて選ぶという体験を挟むと、「今の自分としてはこれがベストだ」と納得して前に進める場合が多いです。


■どの道にいってもその選択から活かせるものがある。

ここでもう一つご紹介したいキャリア理論があります。 「計画的偶発性(クランボルツ):キャリアの大部分は偶然起こる予期せぬ出来事に決定されており、その偶然を活かすことで力に変えることができる」という理論です。


今回の選択が、ご自身にとって予期しないものだったり、もし学校に入ってみて予想外のことがあったりしても、それを活かそうというご自身の姿勢があることで、皆さんの今後のキャリアを創造する力をつけることができるということです。


今はまだ、結果が出たばかりで正直「そんな簡単に気持ちを切り替えられるものではない」と思う部分もあると思います。


ただ、どのような選択を選んでも、今お伝えしたことを頭の片隅にでも置いておいていただけると、その道の先に偶然学べること、偶然出会う人、偶然出会う物は今後きっと皆さんのキャリアを創造するための力をくれることと信じています。


難しい決断かもしれませんが、今の皆さんの頭、心、身体を総動員して、納得のいく選択ができることを応援しています。

[中村 文香]
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プロフィール : 中村 文香(なかむら あやか)

U-Discovery代表。国家資格キャリアコンサルタント。高校生からミドル世代まで、キャリアの転換期における意思決定や、周囲と協力しキャリアを築いていくためのサポートを行なっている。高校の進路選択では、人の心に関わる分野に興味がありながらも、就職で潰しがきくと、工学部を選択。北海道大学総合科学院総合化学専攻修了後、電子機器メーカーにて研究開発に従事。三十歳を目前に、今後のキャリアで本気で取り組みたいことを考えた結果、学生時代から関心のあったキャリア支援の道への転向を決意。同企業の人事部を経て独立。理系出身の分析力と大幅なキャリアチェンジの経験を活かした視点や、楽しみながらキャリアに取り組めるワークが好評。

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