category:進路選択親子で読みたい
進学NEWS
2023.12.01

将来、仕事と家庭が両立できるのか......まだ先だけど不安です。

進路について考えるとき、いろいろと未来に思いを馳せますよね。


「こんな学校に進んで・・・、こんな仕事をして・・・、こんな趣味を楽しんで・・・、家庭を持って・・・、ん、家庭と仕事とかやりたいことの両立って大変そうだよな、できるのかな・・・」とまだ先のことですが、「仕事と家庭の両立」が不安になってくる方もいるのではないでしょうか。


今回は、「仕事と家庭の両立」について、キャリア相談の現場から見たお話をお伝えしつつ、どのように考えることがおすすめかお伝えしたいと思います。


■正直まだまだな環境

「仕事と家庭の両立」というと、出産をするとなったときの身体の負担やこれまでの社会的な流れからも、女性の方が不安に思う方が多いと思います。


実際にキャリア相談の現場でも、「仕事と家庭の両立」に悩む女性の方は多く、せっかく好きで入った会社で、良い成績をあげてがんばってきていたのに、子育てをきっかけに退職をしなくてはいけない事態に陥ってしまう女性もまだまだ少なくないようです。


特に営業職など顧客に合わせて臨機応変に動かなくてはいけない職種や、メーカー、小売、商社など業界自体の歴史が長かったり男性比率が高かったりする会社では、もちろん全てではありませんが、そういった傾向があるように思えます。


逆に、比較的女性活躍が進んでいる職場でも、働きやすいようにと育休復帰後の女性の仕事量を減らしたところ、優秀な方なのに簡単な仕事しかこない事態が起こったり、バランスをとるのは工夫が必要だなと感じます。


さらに、男性が子育てや家事などをやりたいと思っても、「男性は仕事にフルコミットして当然」という文化がある職場では長時間労働で、なかなかそれも叶わない環境も見てとれます。


こういった状況を目の当たりにして、私自身、正直怒りや歯痒さを感じることも少なくありません。


■でも着実に変わり始めている

これまでのようなことをお伝えすると、余計に不安になってしまうかもしれませんね。


ただ、希望が持てることもあるんです。


多くの会社の人事部では、女性活躍の施策が検討されていて、徐々にですが実現しつつあるところもあります。


また、共働きは既に当たり前になってきているため、男性でも産休育休を取得する方が増えてきており、育児という普段の仕事とは全然違う営みが仕事にも新鮮な視点をもたらしてくれることもあるようです。


そして、今後こういった家庭と仕事の両立を進める会社は増えていくというか、そうでなくては生き残れなくなってきています。


その理由としては、今後少子高齢化で働き手が減っていくなかで、人の採用がしづらくなってきているためです。


いまでも、家庭と仕事を両立したい若い世代の人材採用が古い企業体質の会社では難しくなってきており、淘汰されるような流れが出てきています。


特にコロナ禍を経てここ数年で働き方はかなり柔軟に変化しつつあるため、皆さんが社会人になるころには今よりはもう少し、家庭と仕事の両立ができるような環境になっていることと予想できます。


■家庭のためにもまずは自分のやりたいことを。不安なとき支え合えるつながりを持とう

そういった環境は今後改善されることを祈りつつ、不安なことがまだまだあるとは思いますが、まずは若い皆さんには自分の進みたい進路に進んで、やってみたいことをやってみてもらえたらと思います。


なぜなら、高校生の皆さんも感じているかもしれませんが、親御さんが仕事ややりたいことをイキイキとしている姿って、皆さんにとっても気持ちが明るくなったり、社会に出ることが楽しみになったりすると思うのです。


あとは、自分の道を進むなかでは、仕事と子育ての両立に限らず不安になることが出てくると思います。そんなときに、支え合える仲間を持つことをおすすめしたいです。


家庭と仕事を自分なりに良いバランスでできているママさんパパさんは、悩んだときに他の家庭に相談して具体的な解決のアイディアをもらったり、ストレスを発散したりして、周囲をうまく頼ってつながりを活かして不安を解消している方が多いように思います。


ちなみに、以前高校生の方とお話ししているなかで「結婚相手ってどんな人を選んだらいいの」という話になったことがあったのですが、先ほどお伝えした観点で「パートナーを家庭の中に閉じ込めないで、外の世界との交流を歓迎する。やりたいことは応援しあえる。」という方を選ぶのもいいかもしれません。


まだまだ家庭と仕事の両立に対して不安に感じざるをえないような環境ではありますが、私も将来働く皆さんを応援する立場として微力ながら取り組んでいきますし、皆さんと一緒に家庭と仕事を両立したい人たちが両立をできる、もっというと家庭と仕事の相乗効果を生み出せるような社会を作っていけたらと切に願います。

[中村 文香]
ayaka_nakamura.jpg
プロフィール : 中村 文香(なかむら あやか)

U-Discovery代表。国家資格キャリアコンサルタント。高校生からミドル世代まで、キャリアの転換期における意思決定や、周囲と協力しキャリアを築いていくためのサポートを行なっている。高校の進路選択では、人の心に関わる分野に興味がありながらも、就職で潰しがきくと、工学部を選択。北海道大学総合科学院総合化学専攻修了後、電子機器メーカーにて研究開発に従事。三十歳を目前に、今後のキャリアで本気で取り組みたいことを考えた結果、学生時代から関心のあったキャリア支援の道への転向を決意。同企業の人事部を経て独立。理系出身の分析力と大幅なキャリアチェンジの経験を活かした視点や、楽しみながらキャリアに取り組めるワークが好評。

インフォメーション