category:進路選択親子で読みたい
進学NEWS
2023.05.01

文理選択に迷っています。文系理系それぞれのメリットデメリットについて教えてください。

こんにちは。キャリアコンサルタントの中村です。

進路選択をするうえでまずやってくる、大きな選択である「文理選択」。 まだまだ今後のことがイメージできないなかで決めるのってなかなか大変ですよね。

今回は文理選択を考えるうえで注意したいことや、どんなことから考えていけばいいかなどの考え方をお伝えしたいと思います。

■数学苦手だから文系、英語苦手だし文転できるからで理系で大丈夫?

まず、高校生の皆さんとお話をしていると、「数学が苦手だから文系かな」、「英語が苦手だから理系」、「あとから文転できるから理系」といったように、どこかで聞いた話やイメージで選ぼうとしてしまうケースをよく耳にします。


もちろん、そういった選択をしてうまくいけばいいのですが、実際にやってみたら「イメージと違った・・・」ということも多々ありますので、できる限り今後のことをイメージしてから選択することをおすすめしています。


例えば、文系でも経済学部や社会学部では統計を扱いますし、心理学部などでは数学が必要なシーンがあります。 理系であっても世の中の多くの論文は英語で書かれていますし、文転できる大学とそうでない大学があり、文転をする準備もなかなか気力と時間がかかり大変です。


そのため、今の段階でかまいませんので、自分の好きなものを生かすにはどのような道があって、そのためには文系と理系どちらが良さそうか、興味のある学問はどのような知識が必要なのか、自分の興味がある職業は文系と理系どちらにいくと有利なのか(特に技術系は理系でないとなれない職業が多いので注意です)など、なんとなくでもイメージできるぐらい調べてみることが大切です。

■文系と理系のメリットデメリット

一般的に、文系と理系には以下のようなメリットとデメリットがあります。


●文系

    [メリット]
  • ・授業のスケジュールの自由度が高めで、特に早めに単位を取ってしまえば課外活動やアルバイト、旅行など学校以外のことに時間を使いやすい
  • ・学費が理系よりは安め
  • ・ゼミに参加した場合、ディスカッションの力がつきやすい

    [デメリット]
  • ・授業の自由度が高いため怠けてしまう人も
  • ・就職するときに専門性が武器になりにくく、選択肢が広すぎて迷う
  • ・エンジニア、研究職などの技術系の職業に就くのは難しくなる
     (IT系は一部文系でもなれる場合あり)
  • ・大学院までいくと就職が難しくなることが多い

●理系

    [メリット]
  • ・就職の際に専門性が武器になりやすく、仕事が決まりやすい
  • ・授業のスケジュールがしっかりしており、きちんと勉強できる
  • ・卒業論文をしっかり書く場合が多いので、論理的に文章を書く力がつく

    [デメリット]
  • ・実験などで拘束時間が長いことが多く、課外活動やアルバイト、旅行など学校以外の活動に割ける時間が少ない
  • ・就職をするときに専攻が直結しやすいため、選択肢が絞られる
  • ・学費が文系より高め
  • ・専門性を高めようとすると大学院に行くケースが多く費用と時間がかかる

こちらはあくまで一般論で、学校や学部によって変わる部分もあるので参考程度にしてください。


また、最近は理系と文系を融合したような学部も増えてきています。近年の社会課題は複雑化してきていると言われており、文系と理系両方の要素を駆使してはじめて解決できるものが多く、両方を理解できる人が必要となってきているためです。

そのため「文系と理系両方とも興味があって迷う・・・」という方はこういった選択肢を考えてみるのも良い選択だと思います。

■あとから違った‥と思ったときは

ここまで、「文理選択はきちんと調べてから選びましょう!」といったお話をしてきたので、選ぶのが怖くなってしまった方もいるかもしれませんね。


しかしご安心ください。確かに、あとで変更するのは容易ではないのですが、学校内での転向や、学校に入り直す、就職するタイミングもしくは就職してからのタイミングで後から転向するということも可能です。


かくいう私も、文系も理系も嫌いではなかったので文理選択のタイミングで悩み、結局「理系は就職に有利」ということで理系を選びました。実際に就職には有利で初めは研究職に就くことができました。しかし、仕事外の時間で以前から興味があった文系職種であるキャリアコンサルタントの勉強をしたりボランティアで経験を積んだりしているうちにキャリアコンサルタントをやりたい気持ちが強くなり今の仕事に転向しました。転向は大変でしたが、理系と文系の世界両方を知れたことは、今では良い経験だったと思っています。


そのため皆さんには後悔しない選択をしていただきたいと思いつつも、あとで違ったと気づいても「大丈夫」とお伝えしたいです。


進路については調べて分かることも多々ありますが、実際にどうなるかはやってみないと誰にもわからないものです。今のご自身の納得する選択肢を選んで前に進んでいってみてください。

[中村 文香]
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プロフィール : 中村 文香(なかむら あやか)

U-Discovery代表。国家資格キャリアコンサルタント。高校生からミドル世代まで、キャリアの転換期における意思決定や、周囲と協力しキャリアを築いていくためのサポートを行なっている。高校の進路選択では、人の心に関わる分野に興味がありながらも、就職で潰しがきくと、工学部を選択。北海道大学総合科学院総合化学専攻修了後、電子機器メーカーにて研究開発に従事。三十歳を目前に、今後のキャリアで本気で取り組みたいことを考えた結果、学生時代から関心のあったキャリア支援の道への転向を決意。同企業の人事部を経て独立。理系出身の分析力と大幅なキャリアチェンジの経験を活かした視点や、楽しみながらキャリアに取り組めるワークが好評。

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