category:進路選択親子で読みたい
進学NEWS
2023.04.01

進路選択、何から始めたらいいのかわかりません

こんにちは。キャリアコンサルタントの中村です。

「キャリアコンサルタント」という職業はまだまだ聞き慣れない方もいらっしゃると思います。変化が激しく、情報が溢れ、自分のアイデンティティ、住むところ、働き方、家族のあり方など、多くの場面で選択肢が多様なこの時代。それぞれの方が自分らしさを活かしてどのような道を歩んでいくのか、自由もありますが、なかなか悩ましいことだと思います。キャリアコンサルタントは、そんなときに相談ができるように2016年から国家資格になった「キャリア相談の専門家」です。

「高校生のための進路相談室」はそんなキャリアコンサルタントである私が、日々皆さんのような高校生から皆さんの保護者世代の方までのキャリア相談をさせていただいている視点を活かして、ヒントをお伝えするコラムです。

進路選択で行き詰まったときや、自分とは違う視点が欲しいときなどにご活用いただけたらと思いますし、相談するのは結構勇気がいることもある進路選択。このコラムをきっかけに、親子でもお話しする機会を作っていただけたら嬉しいです。

今回は進路選択で大切にしたい考え方と進め方についてお伝えしたいと思います。

■進路選択をするうえで大事にしたい視点

まず、進路選択というと「難しそう」「失敗したくない」「ちゃんと進められるか心配」など不安な気持ちを持っていらっしゃる方も少なくないと思います。

人間、その物事にぐっと意識が入り込みすぎると不安に感じてしまうことが多いように思います。そんなときは、難しいかもしれませんがちょっと一歩下がってから見てみると、落ち着いてその物事に取り組めるようになってきます。

そしてちょっと引いた距離から見てみると、進路選択は変化が激しく選択肢が多様なこの時代に大切な「自分で感じて考えて決める力」を鍛えることができるチャンスと捉えることもできます。

変化が激しく選択肢が多様な状況では、進路選びもそうですが、いままで「正解」とされたものは過去のものになり通用しないことも多く、自分の基準がしっかりしていないと選ぶのが難しく感じるものです。
そういったなかで、自分の気持ちを感じて、頭で考えて、自分で自分の道を決めて歩んでいく力というのは、今の時代を皆さんらしく生きていくための土台となる力なのです。

「自分で感じて考えて決める力」はある意味筋肉のようなもので、トレーニングをしていくと一定の力は身についてくるものです。そのためぜひ、今回の進路選びで意識してトライしていただけたらと思います。

■進路を考えるための4つのステップ

「自分で感じて考えて決める力」を意識したうえで、進路選択の進め方は以下4つのステップに分けられます。

①自分を知る
自分の価値観、興味関心、強み弱み、現実的な条件(距離はどれ位離れていてもOK?地元を離れるのはOK?金銭面はどれくらいまでOK?など)を知る。

②進路の選択肢に関する情報を集める
WEBや書籍を使ったり、人に聞いたり、イベントなどで現地に行くなどして、どのような学問、仕事の内容なのか。必要なスキルや資格を学べる学校はどこか、必要な手続きは何があるのかなど、興味のある進路について調べる。

③選択肢を比較して選ぶ
①で見えてきた自分の価値観、興味関心、強み弱み、現実的な条件と②で調べた進路の選択肢を照らし合わせて、進学先や就職先を決める。

④目標に向かって行動する
③で決めた選択肢を実現することを目標に行動する。(試験対策をする、必要な手続きをするなど)

そのため、まずやることとしては「①自分を知る」です。
これまでの自分を思い出して、大切にしている価値観、興味のあること、得意なこととそうでないことを、ノートなどにメモしてどんどん見えるようにしていきます。

そのとき、とっかかりとしては診断ツールを利用してみるのもよいでしょう。
このサイトにも気軽にできるツールがあるので参考にしてみてください。
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ただ、若い皆さんは自分の興味があるものをまだ知らないことも多ため「①自分を知る」をじっくりやりすぎると「自分が本当にやりたいことが分からない…」と悩んでしまうことも多いです。そのため、ある程度のところで「②進路の選択肢に関する情報を集める」も始めてしまうのがおすすめです。

そのうえで②で集めた情報に対して自分は興味があるのかないのか、好きか嫌いかというのを確認して「①自分を知る」をもう一度確認する、そしてまた軌道修正して「②進路の選択肢に関する情報を集める」という進め方がおすすめです。

■進路に正解も失敗もない。思った通りにやってみよう。

ここまで私のおすすめの進路選択に対する視点や、一般的な進路選択の進め方についてお伝えしましたが、進路選択はその人の基準で選ぶ個人的なものですし、後から見ると意味づけが変わることも多く、進め方やどの道を選ぶかに正解も失敗もありません。

これまでがんばってやってきた勉強のテストとは違う、正解がないものというのは難しく感じられることもあるかもしれませんが、どんなやり方をしても「自分で感じて考えて決める力」のトレーニングの一環になります。まずは一歩思ったように取り組んでみましょう!

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#キャリアコンサルタント , #中村文香 , #高校生のための進路相談室
[中村 文香]
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プロフィール : 中村 文香(なかむら あやか)

U-Discovery代表。国家資格キャリアコンサルタント。高校生からミドル世代まで、キャリアの転換期における意思決定や、周囲と協力しキャリアを築いていくためのサポートを行なっている。高校の進路選択では、人の心に関わる分野に興味がありながらも、就職で潰しがきくと、工学部を選択。北海道大学総合科学院総合化学専攻修了後、電子機器メーカーにて研究開発に従事。三十歳を目前に、今後のキャリアで本気で取り組みたいことを考えた結果、学生時代から関心のあったキャリア支援の道への転向を決意。同企業の人事部を経て独立。理系出身の分析力と大幅なキャリアチェンジの経験を活かした視点や、楽しみながらキャリアに取り組めるワークが好評。

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