category:進路選択親子で読みたい
進学NEWS
2022.06.01
高校生のための進路相談室

文理選択に迷っています。後悔しないためにしておいた方がいいことはありますか?

こんにちは。キャリアコンサルタントの中村です。

今回の内容は、進路選びのはじめにやってくる悩ましい選択「文理選択」についてです。

文理選択は多くの場合、まだ高校生活が半分以上あるタイミングでやってくるので、
「正直まだまだ将来のことなんてイメージできないし、どうしよう...」
と困惑してしまう方もかなりいらっしゃると思います。

ですが、難しいからとあまり考えずに「こっちでいいや!」と選択してしまい、受験勉強中や大学に入ってから後悔したという声もよく耳にします。

そんな文理選択について、注意したいことややっておいた方がいいことをお伝えします。

「とりあえず理系」は危険!?

まず、文理選択について調べているとよく出てくる「迷ったらとりあえず理系に行っておけば間違いない」というアドバイスについてお話しします。

確かに理系に進んでおけば、就職をする際に仕事が見つけやすかったり、(最近であれば、情報系など世の中で広く求められている技術なら特に)仕事をする際に必要な論理的な思考が身につきやすかったりするということはあると思います。

しかしこれは、その理系の専門分野が「好きで興味を持っていれば」の話です。

理系の大学や専門学校では、文系と比べて授業の課題の量が多かったり、研究室に長時間こもって研究をしたりすることが多いです。
加えて、これは文系も同じですが、大学や専門学校の特性として、自分で主体的に調べものをしたり、考えたりしていかなければ学びが深まっていきません。
そのため、あまり好きでもないし興味も持てない分野だとかなり辛い学校生活となります。

さらに、周囲にはその専門分野が好きで興味がある人たちが集まっているので、なんとなくその分野を選択してしまった人の中には熱量の差に「肩身の狭い思いをした...」と話す方々も。
(実際、就職に有利そうだからという理由で工学部に進学した私も似たような体験をしました...)

そのため理系を検討している方は、こういった理系の特性を理解したうえで選択することをおすすめします。

理系と文系 あとで変更も可能だけれど

「迷ったらとりあえず理系」と言われる理由は他に、「文系から理系への変更は大変だけど、理系から文系への変更はしやすいから」というものがあります。

こちらは、確かに受験の際の科目を考えたときに文系から理系よりも理系から文系の方がしやすいということはありますし、大学によっては入ってからも転部の申請をすることが可能です。

しかし、ただでさえ大変な受験勉強のなかで、せっかく頑張ってきた理系の科目の一部を捨て、追加で必要となった文系の科目を勉強するというのはかなり骨の折れることで、覚悟が必要です。

また、大学に入ってからの転部は、新しい学部での単位を取り直さなくてはいけないので留年する場合もあり、書類や面接など転部に必要な準備はもちろん、場合によっては保護者の方を説得しなくてはいけないということも出てくるでしょう。
(これは理系学部から文系学部の場合だけでなく、文系学部から他の文系学部の場合も同様です)
周囲は部活やサークル、バイトなど学校生活を満喫しているなかでこういったことを行うのは、これまた強い気持ちが必要なことです。

そのため、文理選択に限らず進路選択において、「将来の就職など条件的に有利そうだけど、現時点ですでに好きではないしあまり興味も持てない」という方向性は、割り切ってできるという自信がある方はいいですが、そうでない場合は選ばない方が無難だと思います。

特に、周囲の意見をよく聞く「聞き分けのいい子」「協調性がある」「優等生タイプ」と言われてきたような方は、「自分の興味関心」よりも「就職に有利」「世の中的に認められている」といった「条件面」を優先しすぎる傾向にあるので注意が必要です。

なるべく「実際」を味わってみよう!

ここで「じゃあ、今の時点で好きで興味が持てる方向性ってどうしたらわかるの?」という疑問を持った方もいらっしゃるかもしれませんね。

その答えは、「なるべく実際に近い状況を味わってみる」ということです。

本当に好きか興味が持てるかどうかは正直やってみないとわからないのですが、それでは選ぶことができないので、なるべく実際に近い状況をイメージしたり、体験したりして自分がどう思うのかを確認することが大切です。

可能であれば現時点で気になっている学問分野や職業などについて、オープンキャンパスや職業体験に行って現場を体験してみましょう。

また、その分野や職業についている先輩のインタビューや体験記をWEBの記事や動画で検索してみたり、知り合いをあたって話を聞いてみたりするのもいいですね。

このとき、実際はどのように学んだり、働いたりしているのか、「どこで? 誰と? どんな作業をする? 頻度は? 時間はどれくらいかかる? 1日の流れは?」などなど自分がイメージできるぐらい具体的に情報を集めていくことがポイントです。

体験したり調べたりしたことや感想は、メモをとるなどして記録しておくとあとで自分の考えを整理するときに役に立つので、合わせてやってみてくださいね。

[中村 文香]
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プロフィール : 中村 文香(なかむら あやか)

U-Discovery代表。国家資格キャリアコンサルタント。高校生からミドル世代まで、キャリアの転換期における意思決定や、周囲と協力しキャリアを築いていくためのサポートを行なっている。高校の進路選択では、人の心に関わる分野に興味がありながらも、就職で潰しがきくと、工学部を選択。北海道大学総合科学院総合化学専攻修了後、電子機器メーカーにて研究開発に従事。三十歳を目前に、今後のキャリアで本気で取り組みたいことを考えた結果、学生時代から関心のあったキャリア支援の道への転向を決意。同企業の人事部を経て独立。理系出身の分析力と大幅なキャリアチェンジの経験を活かした視点や、楽しみながらキャリアに取り組めるワークが好評。

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