進路選択、失敗したくない、間違えたくないんです。確実な進路ってありますか?
「進路選択、失敗したくない、間違えなくないんです...。」
私が進路選択のご相談に乗っていてよく耳にする言葉です。
確かに、高校卒業後の進路というのは、将来の仕事にも影響する場合が多く、大事な選択の前に足がすくんでしまうこともありますね。
また、こうした考えに至るのは、これまで皆さんが受けてきたテストは恐らくほぼ減点方式、さらにSNSが普及したことで失言をすると著名人は多くの人に吊し上げられ、一般人であっても瞬く間に広がって炎上する可能性を帯びている、といった現代社会の背景も影響していると思います。
今回はそんな「失敗しない、間違えない、確実な進路選択」について考えてみたいと思います。
あなたにとって失敗って?
突然ですが、あなたにとっての失敗ってどのようなイメージでしょうか?
「怖い、痛い、恥ずかしい...」
などなど、多くの方にとってネガティブなイメージのものかと思います。
私もかつて、みなさんと同じくらいの年齢のときは、失敗に対してそのようなイメージを持っていました。そして、当時の私は「間違いなさそう、確実に就職できそう」という理由で「大学の工学部の化学系に行って手に職をつける」という進路を選びました。
しかし、その後、理系の道が自分に合わないことに気づき、つまり高校卒業後の進路選択に"失敗"し、大きな方向転換をしてキャリアコンサルタントという職業に就いている、そして、年齢も職業もさまざまな方のキャリアのお話を伺った今、私の失敗に対するイメージが全く違うものに変わりました。
それは、「失敗はその瞬間は痛いけれど、自分の成長につながる気づきが大きい」ということ。もっと言うと「今の時代に何らかの自分が欲しい結果を得ようと思ったら、失敗は当たり前、怖がるのはもったいない」ということです。
変化の激しい時代の「確実」の考え方
私は高校時の進路選択においては失敗をしたわけですが、その失敗によって、
「化学のように物質に向き合うより人に向き合いたい。実験のように緻密な作業よりは、人と話す方が得意」という「自分のやりたいこと、得意なこと」に関して、大きな気づきがありました。
私以外にもキャリア相談や研修のなかでさまざまな方のお話を伺っていると、実際やってみて初めて自分のやりたいことや得意なことがわかったという方ばかりです。
このように、進路選択をするときに多くの人がわからなくて悩む「自分のやりたいこと、得意なこと」というのは、当たり前と思われてしまうかもしれませんが、やはり、実際にやってみて、失敗や成功を繰り返して初めてわかるものだと実感しています。
さらに、今の時代、まさに新型コロナウイルスによって全世界が体感しているところだと思いますが、デジタル技術の急速な進化、気候変動、グローバル経済、価値観の多様化などの影響で変化が激しく、誰も正解がわからない時代になっています。
このような状況下で何かをしようと思ったら、自分で考えて、やってみて、失敗して、軌道修正して、学んで進んでいくしかないようです。
何が確実かということが難しい時代ですが、そんななかでも確実というものがあるとするならば、
それは、やってみて、失敗、成功を繰り返してその経験を活かして進んでいく、というスタイルを身につけること、と言えるでしょう。
失敗しても大丈夫
これまでお伝えしたように、今の時代においては、「失敗」=「ネガティブなもの」というよりは、「失敗」=「自分の見当がずれていることがわかった」という感じで淡々と捉える、さらには、失敗を失敗ととらえずにいた方が進んで行きやすいと感じています。
しかし、このコラムをお読みくださっているような真面目な方は、きっとあまり大きな失敗をしたことが少ないように思いますので、「そうはいってもやっぱり怖い...」と感じておられるかもしれませんね。
そんな方にお伝えしたいのが、多くの人生の先輩方が失敗したあとに言う、「失敗しても想像していたより痛くなかったし、後からいくらでも軌道修正ができる」という言葉です。
実際に失敗しても、途中で編入をしたり、就職のタイミングで方向性を変えたりといくらでも軌道修正は可能です。
さらに、人生100年時代と言われている今、方向転換を経験し、さまざまな分野のことを知っているということは、多角的にものを考えられる力がつき、プラスになるとも言われています。
進路選択について自分で色々調べたり、実際に行ってみたりして情報を集めて考えても、いよいよ分からなくなってしまったとき、今回のコラムが少しでも皆さんの背中を押す手助けができれば嬉しいです。
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- プロフィール : 中村 文香(なかむら あやか)
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U-Discovery代表。国家資格キャリアコンサルタント。高校生からミドル世代まで、キャリアの転換期における意思決定や、周囲と協力しキャリアを築いていくためのサポートを行なっている。高校の進路選択では、人の心に関わる分野に興味がありながらも、就職で潰しがきくと、工学部を選択。北海道大学総合科学院総合化学専攻修了後、電子機器メーカーにて研究開発に従事。三十歳を目前に、今後のキャリアで本気で取り組みたいことを考えた結果、学生時代から関心のあったキャリア支援の道への転向を決意。同企業の人事部を経て独立。理系出身の分析力と大幅なキャリアチェンジの経験を活かした視点や、楽しみながらキャリアに取り組めるワークが好評。
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- http://ayaka-nakamura.com/