category:進路選択親子で読みたい
進学NEWS
2022.01.01
高校生の悩み相談室

人の役に立つ仕事がしたい! どのように進路を考えたらいいですか?

進路を選ぶときの考え方として「自分のやりたいこと、好きなことから探してみよう!」 というものがよくあると思います。

しかし、進路について高校生と話していると、
「自分にはやりたいことはないので、どのように進路を選んでいいかわからなくて...。ただ人の役に立つ仕事をやりたいって思っています」
と言う方がいらっしゃいます。このような場合、どのように進路を考えていったらいいのでしょうか。

今回は、「人の役に立つ仕事」がしたいという視点で仕事や進路を選ぶときのポイントについてお伝えしたいと思います。

人の役に立つ仕事とは?

まず、「人の役に立つ仕事」についてですが、実は世の中にある仕事は全て何らかの形で人の役に立っています。
誰かの役に立っているからこそ、その対価としてお金がもらえ、仕事として成り立つのです。

ただ、様々な社会人にお仕事の話を伺っていると、
その仕事が役に立っている対象の人に対して、好ましく思えなかったり共感できない、また、対象となっている人からの距離が遠いなどで役に立てている実感が持てなかったりすると、
「自分の仕事が役に立っていると思えない」とか「何のために仕事をやっているのか分からない...」と感じてしまうことが多いようです。

つまり、自分が納得して働くことができる、自分にとっての「人の役に立つ仕事」というのは、
対象となる人が、自分が応援したい!と思えたり共感できたりする人であること、
役に立つ方法が、自分が役に立っているという実感が持てるものであること、

両方が掛け合わさっていることが大切なのです。

どんな人の役に立ちたい?

では、「自分が応援したい!と思えたり共感できたりする人」はどのようにしたら分かるのでしょうか。

おすすめの方法は、過去「誰かのためにがんばったこと」や「誰かが困っていて心が強く動かされたこと」を思い出し、紙に書いたりパソコンに記録したりして、たくさん出してみて共通点を探すということです。

家族(両親、兄弟姉妹、祖父母、親戚など)のなかで誰の影響が大きかったとか、友達のなかでも特にこんな友達が放っておけなかったとか、部活で先輩や後輩のために頑張ったとか、自分では些細だと思うことでもOKです。

また、身近な人だけでなく、ニュースを見ていて難民問題に心が動かされたとか、ある記事に書かれていた国の貧困格差がすごく気になったとか、まだ会ったことがない人でもOKです。

例えば、小さい頃からおばあちゃんっ子で、ご年配の方とお話しするのが好きで、おばあさまがガンになってしまったときに自分は何もできなかったのが辛かった、というエピソードから、ご年配の方を助けたいと思うようになったという方がいました。

どのように役に立ちたい?

次に、「自分が役に立っている実感が持てるような、人の役に立つ方法」を考えてみます。
そのためにどのようなスキルや知識を身につけるか?と、役に立ちたい対象の人との距離感を考えることが大切です。

まずどのようなスキルや知識を身につけるかについては、先程挙げた「対象となる人」の役に立っている仕事をするのに必要なスキルや知識を調べてもいいですし、今興味のある分野を活かすことを考えてもいいでしょう。
どちらも難しければ、嫌だと思う仕事や分野を除く消去法で考えてみるのもいいと思います。
例えば先程のおばあちゃん子だったというAさんの場合、高校の授業で化学が比較的好きだったのと、おばあさまのエピソードから医療に興味を持ったので、医療のなかでも化学の知識を活かすことができそうな薬学部を受験してみようということになりました。

次に、対象となる人との距離感に関しては、直接その人と接したいか、もしくは間接的にでもOKかということを考えていきます。

Aさんの場合は、直接ご年配の方に会ってケアをすることもやりがいを感じそうなので薬剤師に興味があるけれど、新薬の開発で間接的ではあるものの世界中の人に役に立つことにも興味があるので、薬学部に入ってからどちらがいいのか、実習も含めて学びながら考えたいと言っていました。

上記のように考えていくと、自分にとっての「人の役に立つ仕事」が徐々に見えてくると思います。

見えてきたあとは、できれば、その分野の仕事や役に立ちたいと思う対象の人と話したり、その仕事や人に関わるボランティアやイベントなどを調べて体験したりしてみましょう。
やっぱりこの仕事だと確信が持てたり、もし違った場合は軌道修正ができるのでおすすめです。

ただ、「どのような人の役に立ちたいか」「どのように役に立ちたいか」は経験が少ない今時点ではいまいち確信が持てない場合もあると思いますし、自分の成長や時代の変化とともに変わっていく可能性は大いにあります。

そして、もしもその進路に進んでみて「やっぱり違った」と思ったり、「気持ちが変わった」ということがあったりしても、今の時代は社会に出るタイミングや、転職をするタイミングなどで軌道修正をすることができます。

今時点で、「こういう人の役に立ちたいかも」とか「この分野のスキルや知識なら役に立てるかも」と思うものが出てきて、自分で納得できるくらい検討してみたら「ここからは実際やってみてから考えよう!」という気持ちで先に進む決断をすることも大切だと思います。

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[中村 文香]
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プロフィール : 中村 文香(なかむら あやか)

U-Discovery代表。国家資格キャリアコンサルタント。高校生からミドル世代まで、キャリアの転換期における意思決定や、周囲と協力しキャリアを築いていくためのサポートを行なっている。高校の進路選択では、人の心に関わる分野に興味がありながらも、就職で潰しがきくと、工学部を選択。北海道大学総合科学院総合化学専攻修了後、電子機器メーカーにて研究開発に従事。三十歳を目前に、今後のキャリアで本気で取り組みたいことを考えた結果、学生時代から関心のあったキャリア支援の道への転向を決意。同企業の人事部を経て独立。理系出身の分析力と大幅なキャリアチェンジの経験を活かした視点や、楽しみながらキャリアに取り組めるワークが好評。

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