category:進路選択親子で読みたい
進学NEWS
2021.05.10
高校生の悩み相談室

文理選択、理系を選ぶとどんな未来が待っていますか?

「文理選択」は、高校生活に入ってから進路について初めに訪れる大きな分かれ道。どうやって決めていいか迷いますよね...。

私自身、今はキャリアコンサルタントという文系寄りの仕事をしていますが、理系出身でメーカーの研究職を経験しているため、高校生のキャリア相談の際に「理系に進むってどうですか?」というご質問をよくいただきます。

そこで、今回は、文理選択、特に理系に進むことについて一緒に考えてみたいと思います。

理系は手に職がついて就職に有利?

理系に進むことについてのご相談の中でよくセットでご質問をいただくのが「手に職がついて、就職に有利だったりするんですよね?」ということです。

確かに、理系に進んだ場合、特定の分野の技術が学べる(手に職がつく)ので、その分野の技術者を欲していたり、共同研究などで学校と関係性のある企業や団体があったりする場合は推薦枠があるため就職に有利といえるでしょう。

しかし、同じ理系でも、その専門分野を直接生かした就職先が少ない分野(一般的には基礎研究分野が少ない)では就職に苦労する場合もあるようです。

さらに、学生時代や新卒で就職するタイミングでは人気がある技術だったとしても、時代の変化とともに技術トレンドも変化していくため、現時点で「手に職がつけられて、就職に有利」なことが今後もそうかというのは難しいところです。

「手に職」も大事だけれど、文理選択で大切にしたいこと

ここで、理系などの一般的に「手に職」をつける分野はもちろん、文系の分野であっても、前提として忘れてはいけないことがあります。
それは、ある分野でプロレベルになるためには、その分野で一定以上の時間を費やすことが必要だということです。

このときに、やはり人間なので、興味のない分野よりは好きな分野の方が熱中して長時間取り組めるし、結果として熟達していくのではないでしょうか。

文理選択の際には「手に職をつける」「就職に有利」という基準も大事ですが、好きなことを選ぶということは大前提として大事にした方がいいことだと、色々な方のキャリア相談に乗っていて感じることです。
(少なくとも苦痛ではないものを選ばないと、いずれキャリアチェンジを検討されることに...)

また、前述した通り、時代の変化が早い昨今、技術トレンドもどんどん変わっていきます。そんな時代のキャリアに大切なものは、特定の何かの技術を身に付けてスキルとすることよりも、まず自分で考えて自分が納得する答えを選択できるスキルなのではないかと思います。

今回の文理選択はその第一歩、スキルを身につけるためのトレーニングとも言えるでしょう。

実際、理系に進むとどうなる?

最後に理系の進路についてよくいただく質問を簡単にご紹介していきたいと思います。

まず、「理系全般でいえる身につくことは?」ということについてですが、「物事を客観的に捉えて論理立てて考える力」は比較的身につくのではないかと思います。

分野や学校にもよりますが、理系に進むとカリキュラムの中にある演習や実験などはそういった力をみっちりトレーニングするものが多いためです。

次に、「理系から文系に転向できるって本当ですか?」ということについて。

こちらは可能ですが、大学で転向をする場合、それまでの授業で理系学科になくて文系学科では必須の授業を補充する必要があるため、安易に考えない方が良さそうです。

ただ、就職のタイミングで、理系学生が文系職種に応募するというケースはよくあるため、(例えば、コンサルなど思考力を問われる職種では理系出身ということが有利に働く場合もあります)理系に進んだけれど、やりたい方向性が違ってきた場合、就職のタイミングで考え直すということは可能です。

このように、途中で転向も可能ですが、学校生活を大きく左右する文理選択。
色々な角度から考えて、納得する決断をしたいですね。今回のコラムが少しでもみなさんの選択の役に立てば嬉しいです。

[中村 文香]
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プロフィール : 中村 文香(なかむら あやか)

国家資格キャリアコンサルタント。高校生からミドル世代まで、キャリアの転換期における意思決定や、周囲と協力しキャリアを築いていくためのサポートを行なっている。
高校の進路選択では、人の心に関わる分野に興味がありながらも、就職で潰しがきくと、工学部を選択。北海道大学総合科学院総合化学専攻修了後、電子機器メーカーにて研究開発に従事。三十歳を目前に、今後のキャリアで本気で取り組みたいことを考えた結果、学生時代から関心のあったキャリア支援の道への転向を決意。同企業の人事部を経て独立。理系出身の分析力と大幅なキャリアチェンジの経験を活かした視点や、楽しみながらキャリアに取り組めるワークが好評。